男子無差別を制した松村颯祐(右)=決勝、中村博之撮影

■第39回全国高校柔道選手権・男子無差別(3月19日、東京・日本武道館) 前回大会と昨夏の全国高校総体(インターハイ)100キロ超級でベスト8に入った松村颯祐(島根・開星2年)が悲願の優勝を果たした。(小野哲史)

「自分は左の相手に対して組み手が弱いので、そこをどう持てるか意識しました」と、明確なテーマを掲げて今大会に臨んだ。一戦一戦着実に勝ち上がり、準決勝進出を賭けた4回戦で、左が強力な中島大貴(大分・国東2年)と対戦。その試合がポイントとなったと松村は振り返る。

「想定と違って出足が遅れてしまい、先に指導をもらう形になってしまいました。でも、『焦ってはいけない』と自分に言い聞かせ、しっかり組むこと、相手の動きを見ることを意識しました」

残り30秒で「有効」を取って逆転勝ちし、「そこから波に乗れました」。準決勝は支え釣り込み足で鮮やかな一本勝ち。決勝は体重140キロの自分より約40キロ軽い関根聖隆(神奈川・桐蔭学園2年)を攻めあぐね、「技のポイントを取り切れなかった課題が残った」と話したものの、「指導2」の差で勝利をもぎ取った。

小学6年生で日本一になった松村だが、その後は大きなタイトルに恵まれず、中学3年間は全国大会に出場することすらできなかった。それでも真摯(しんし)にけいこを続けた結果、5年ぶりに全国制覇を成し遂げ、「最高にうれしいです」と胸を張った。「これからはインターハイを目指して頑張りたい」と、次なる戦いへ視線を向けた。