憲法改正を目指す自民党が改正の条文案をまとめた。日本国憲法は1947年の施行以来、一度も改正されていない。憲法改正はどのようにして行われるのだろう。

 

両院3分の2の賛成で発議

憲法改正の手続きは憲法96条に定められている。改正の原案は「衆議院議員100人以上」または「参議院議員50人以上」で国会に提出し、衆参両院で審議。衆院議員と参院議員のそれぞれ3分の2以上が賛成した案が国会の改正案となり、国民に提案される。これが「発議」と言われる。

18歳以上による国民投票

発議した日から60日以後180日以内に18歳以上の日本国民による国民投票が行われる。投票日は国会の議決で決められ、改正の承認には「国民投票で有効投票の過半数」の賛成が必要となる。承認されると天皇が「国民の名で」改正を公布する。「憲法は国民が定めるもの」だからだ。

国民投票は選挙と同様に投票所が設けられ、投票用紙には「賛成」「反対」が印刷されており、どちらかを○で囲んで選ぶ。選ばない方を×や二重線で消して投票してもいいが、自分の主張などを書き込むと原則として無効になる。

自民党は改憲対象として4項目を検討している。複数の項目を同時に国民投票にかけるケースも想定されるが、その場合、投票用紙は1枚でなく項目ごとに分かれる。項目ごとに投票用紙を受け取って賛否を記入、投票箱に入れる手順を繰り返す。

資金力ある側に有利か

国民投票の手続きを定めた国民投票法には不備が多いという指摘もある。広告は原則自由だが、資金力のある側が圧倒的に有利で公正さを確保できない恐れがある。

また、国民投票が有効になる最低投票率が設定されていないため、仮に投票率が20%程度でうち半数をわずかに上回る人が改憲賛成に投票すれば、全有権者の10%程度の賛成で改憲が成立してしまう。

【memo】自民党の改憲案 「参院選の『合区』解消」「教育の充実」「緊急事態への対応」「自衛隊明記」の4項目について現在の条文を改めたり、新たな条文を設けたりするよう求めている。自民党は年内の発議を目指していたが、実現は不透明だ。