地震大国と呼ばれる日本。首都直下型地震など、大地震が起こることが心配されている。いざというときに焦らないためにも、知っておくべきことは何だろう。災害時に本当に役に立つ技や知恵を発信しているNPO法人プラス・アーツの坂本良子さんに、専用の道具がなくても身近なものでできる応急手当について聞いた。(文・野口涼、写真・野村麻里子)

NPO法人プラス・アーツ 坂本良子さん

災害時にけが人などを運ぶとき、担架がなかったり、足りなかったりしたらどうしたらいいのでしょう。過去の震災では壊れた家からドアやたたみなどを持ち出し、その上に布団を乗せて担架の代わりにしました。災害時には応急手当のための専用の道具はなかなか手に入りませんが、身近なもので代用できることがほとんど。止血や骨折の手当てのための方法を覚えておきましょう。

止血の方法

ハンカチなどをけがの部分に当て、血が止まるまで押さえておくのが直接圧迫止血法。心臓より高い位置に傷口を上げます。手当てをする人は、感染予防のために両手にビニール袋をかぶせて、血が付かないように注意しましょう。病院に連れていくのは血が止まってからにしましょう。

感染防止にビニール袋を使おう

骨折の手当ての方法

本来は骨折した箇所を添え木で動かないよう固定します。添え木は、ラップや丸めた新聞、折り畳み傘などで代用しましょう。大判の教科書を巻き付ける形でもかまいません。次に、腕をつるします。三角巾の代わりにスーパーのレジ袋を使うこともできます。首の後ろにハンカチを入れてあげれば痛くなりにくいので愛情もって手当てしましょう。最後に安定させるため、つり下げている布やビニール袋を、ネクタイや布などで胸に固定します。

ネクタイやビニール袋、ハンカチや新聞紙などを使って固定できる

【NPO法人プラス・アーツ】阪神・淡路大震災から11年後の2006年、防災への関心が薄れつつあった神戸で設立。震災時に実際に役立ったもの・ことを伝えるために全国で活動している。