全国の高校生が自作した鉄道ジオラマのできばえを競う「第9回全国高校鉄道模型コンテスト2017」(8月5・6日、東京ビッグサイト)の「一畳レイアウト部門」(11校が参加)で、東京・大崎高校ペーパージオラマ部が同校3年ぶり2度目の最優秀賞に輝いた。(文・写真 中田宗孝)

雪景色の中を走るスイスの鉄道を3段構成にするなど、どの角度からも楽しめる見せ場を作った

スイス最大の私鉄を再現 9割以上を紙で制作

「一畳レイアウト部門」は、畳一畳分のスペースの中に、Nゲージサイズ(実際の電車の1/150の大きさ)の鉄道が走るジオラマを制作する。「モジュールレイアウト部門」の作品より、ダイナミックでスケール感のある風景を作り込むことができる。

東京・大崎高校ペーパージオラマ部による最優秀賞受賞作「紙の世界!スイス絶景の旅」は、世界遺産に指定されるスイス最大の私鉄「レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」を再現。部の特色を生かして作品の90%以上を紙で制作し、1㍍を超える高さのあるジオラマを作り上げた。部長の井川彩香さん(2年)は、「圧倒的な高さをだすことでスイスの壮大な風景を伝え、その中を走る鉄道も際立ちます」と狙いを話した。

作り込んだというランドヴァッサー橋を渡る鉄道

360度回って運行する橋が見どころ

鉄道は、紙で表現した作品内の上段、中段、下段、3つの路線で山岳地帯を走行する。中でも作品下段の、急勾配を登るために鉄道が360度回りながら運行する「オープンループ橋」は、大きな見どころだ。「作品の見せ場を作るために彩色のトーンには工夫を凝らしました。岩肌など背景の色を少し暗めにして橋をより目立たせています」(井川さん)。

約3カ月の制作期間中、井川さんは責任者のプレッシャーから「何度も心が折れかけた」。そんな彼女を励まし続けた副部長の大場正之君(2年)はじめ、部員たちの頑張りも光った。「毎年、鉄道模型コンテストを乗り越えると部員同士がもっと仲良くなるんです(笑)。お客さんに作品をほめられ、賞も取れて感極まってます」(井川さん)。

同部は1畳部門で、これまで2014年に最優秀賞、2015年に優秀賞を受賞しており、今回で2度目の最優秀賞となる。

部長の井川さん(後列左)、副部長の大場君(後列右)と部員たち