全国の高校生が自作した鉄道ジオラマのできばえを競う「第9回全国高校鉄道模型コンテスト2017」(8月5・6日、東京ビッグサイト)が行われた。奈良・奈良工業高等専門学校機械研究会が「HOゲージ車輌部門」(12校が参加)で最優秀賞を得た。(文・写真 中田宗孝)

オレンジの帯が際立つ「323系」を精巧に作り、最優秀賞を受賞した三部君(右)と白木君(左)

運転席は金属の粉末から加工

「HOゲージ車輌部門」で最優秀賞に輝いた奈良・奈良工業高等専門学校機械研究会の作品「JR大阪環状線の車輌・323系」の制作は、三部竜太郎君(3年)と白木快君(1年)の2人で取り組んだ。HOゲージ(実際の電車の約1/87の大きさ)は、海外の鉄道模型で主流の規格で、日本でポピュラーなNゲージよりも大きい車輌が特徴だ。

普段の授業で習得した金属加工の技術を駆使して車輌はすべて金属で制作。「特に電車の『顔』の部分は全体のイメージを決定づけるので、力を注ぎました」と三部君が話すように、運転席は銅やニッケルなどの金属粉末から金属製品を造る「粉末冶金」と呼ばれる専門的な製法を用いている。

リベンジ成功 制作9カ月の努力実る

三部君は昨年も同部門に参加したが、納期に間に合わず、未完成品を出品してしまい、悔いが残っていた。今大会では、主に塗装を担当した白木君の協力もあり、構想から約9カ月かけて質感、重厚感ともに納得のいく車輌を仕上げることができた。「白木には僕のHOゲージ作りへの情熱を引き継いで欲しい。革新的な車輌作りを目指して!」(三部君)。後輩に思いをたくし、自身最後の大会で有終の美を飾った。一方、同部は別作品で「モジュールレイアウト部門」の優秀賞を獲得するなど、好成績を収めた。