Unlimited Corridor(廣瀬・谷川・鳴海研究室提供)

東京大学大学院情報理工学系研究科の廣瀬・谷川・鳴海研究室とユニティ・テクノロジーズ・ジャパンは、錯覚を利用したバーチャルリアリティー(VR)空間が体験できる「Unlimited Corridor」(無限の回廊)を開発した。VRの世界を「無限」に動き回ることができる。

真っ直ぐ歩いていると錯覚

頭部にディスプレーを装着すると、目の前には地上200メートルにある工事現場の映像が広がる。子どもが飛ばしてしまった風船をキャッチするため、壁を伝いながら足場を歩き回る設定だ。

人は視界がないと真っ直ぐ歩くことができない。ディスプレーを装着した際に視界を少しずつ回転させることで、感覚が狂い、曲がって進んでいるにも関わらず、あたかも真っ直ぐ歩いているかのように錯覚させることができるという。

この装置は壁を触りながら歩くのがポイントだ。実際に壁を触ると、VR上にも手が現れ、壁を触っている映像が流れる。実際の壁を触り、視界に手が見えることで、より「確かに真っ直ぐ歩いている」という感覚を強くすることができる。

ディスプレーを装着すると見える映像。200メートル上の足場を歩く(廣瀬・谷川・鳴海研究室提供)

 

建築やアミューズメントに利用できる

これまでは直径44メートルの空間がないと、そう錯覚させることができないとされてきた。だが、この装置では「壁を触る」という触覚を利用しているため、直径5メートルの狭い空間での実現を可能にした。

研究を主導してきた鳴海拓志講師は「建物を設計した際にこの装置を使えば、建築する前に設計した建物の内部をVR空間で歩いて体感できる」と話した。そのほかにも狭い敷地でも楽しめるお化け屋敷など、アミューズメント施設のアトラクションに応用できるという。

VRは人の能力を伸ばす

東京大学 鳴海拓志講師

 

鏡に映る表情を変える技術があります。例えば、テレビ電話を使い遠隔で会議するときに、表情を変える技術を導入すると相手が笑顔に見えるので話しやすくなります。相手が笑顔の状態でアイデアを出し合うと、出てくる量が1・5倍になるという実験結果があります。私たちは勉強することで頭がよくなると思っていますが、周囲の環境も大事なのです。VRで人の能力を、より引き出すことができるのです。

また、私たちは体を動かすことでも新しい気づきを得られます。VRで体を動かし、人の想像力を増幅させるかもしれません。