スピードスケートの高木美帆(北海道・帯広南商3年)=北海道・札内中出身=が、高校最後のシーズンも日本代表として活躍中だ。2010 年バンクーバー冬季五輪で中学生五輪代表として脚光を浴びた後、高校3年間で毎年記録を伸ばし、着実にステップアップを続けている。 (岡崎敏)

進化を続けるシンデレラガールが、今季も高校生女子ではただ一人、W杯前半戦の日本代表入りを果たし、世界を舞台に戦っている。

常に浴びてきた周囲の視線も、「気にしないですね」とマイペースを貫く。3年間女子だけのクラスに在籍し、小学1年から続けるヒップホップダンスを文化祭で披露するなど、学校生活も「存分に楽しみました」と話す。他競技の友人知人が増え、子どもたちへの競技指導などボランティア活動にも熱心。競技外でも、様々な刺激を受けてきた。

実力もアップした。本人の印象に残る大会に、今年3月の世界ジュニア選手権(帯広)があるが、地元の期待や重圧の中でも総合初優勝を果たした。「地元での世界大会はあまりないですし、接戦だったのでうれしかった」と振り返る。指導歴30年以上の東出俊一監督は「スケートを始めてから記録が伸びなかった年はないんです。試合に向けた調整能力や精神的な強さはすごい」と、高木の強みを話す。

海外遠征を苦にしない、たくましさもある。指導者不在の海外で「いろいろ考える機会が増えた」と、自ら練習メニューなどを工夫してきた。学業もおろそかにしない。東出監督は、「遠征の時に勉強の課題をもらっても嫌がらない。つらいことでもポジティブに変えられる能力が高いんでしょう。常に先を見ているから、練習も嫌々やることがない」と、意識の高さを評価する。

目標は自分超え。今季は中距離に力を入れる予定だが、高木は「オールラウンドでやってきているので、まだ岐路ではない」と、今後も各種目で自分の可能性を追う。大学進学後は「スケートは第一に頑張るんですけど、勉強とかいろいろなことをやってみたい」。目を輝かせる先には、五輪でメダル獲得の夢がある。

 
【たかぎ・みほ】
 1994年5月22 日、北海道生まれ。兄、姉の影響で小学校入学前からスケートを始める。中学3年でバンクーバー五輪のスピードスケート1000㍍、1500㍍に出場(国内スピードスケートの五輪出場最年少記録)。短~ 長距離をこなすオールラウンダー。今年3月の世界ジュニア選手権で総合初優勝し、JO C 杯を受賞。昨季、500 ㍍日本高校記録(38 秒75)、1000 ㍍ジュニア世界記録(1分15 秒40)、1500 ㍍のジュニア日本記録(1分56 秒16)を更新した。163㌢。