バンクーバー五輪金メダリストのキム・ヨナ(韓国)に憧れているという樋口

 

小学生のころから全日本クラスの大会で活躍し、2015・16年の全日本選手権で2位に入るなど、活躍ぶりに注目が集まる樋口新葉(東京・日本橋女学館2年)。スピードを武器にしたジャンプを繰り出せるのが強みだ。目標は五輪でのメダル。平昌(ピョンチャン)五輪を見据え、「勝負のシーズン」はすでに始まっている。(文・小野哲史、写真・幡原裕治)

短距離走が得意

フィギュアスケートを始めたのは3歳。「お母さんがやらせたかったから」という理由だった。6歳の時、「普通にやったら勝てるだろう」と臨んだ初めての大会で5位に終わり、「それが悔しかったのが競技にのめり込むきっかけになった」という。

「もともと短距離走が得意」という樋口の武器は、類いまれなスピードにある。それにより「スケーティングスキルの部分で点数が上がるし、ジャンプが跳びやすく感じる」と話す。樋口を5歳の頃から指導する岡島功治コーチは「身のこなしが上手な選手。最近になって表情をうまく出せるようにもなりました」と分析する。

腰・膝の痛みに耐え

シニアデビューとなった2016~17シーズンの前半は、腰痛や膝の痛みなど、故障に苦しんだ。痛み止めを飲みながら強行出場した昨年12月の全日本選手権は2位に食い込んだものの、日本代表として臨んだ四大陸選手権は9位、世界選手権は11位と本来の力を発揮できなかった。

しかし、シーズン最終戦となった今年4月の世界国別対抗戦で自己ベストを大幅に更新する高得点で3位に入り、日本チームの優勝の原動力となった。「団体戦なので緊張感はありましたが、落ち着いてできました。自分で納得できる演技ができたのは、今までで初めてかもしれません」

目標は「五輪でメダル」

リンクで滑る練習は基本的に毎日。ほかにも体幹トレーニングや1時間程度の走り込みなどを行っており、「うまく滑れたときは楽しいけれど、練習はだいたいつらいです」と笑う。ただ、シーズンオフにプログラムの作成や振り付けで海外に行く際、飛行機にいる間はスケートができない。そんな時は「早く滑りたいと、うずうずする」という。

最終目標は五輪でのメダル獲得。「まずは次のシーズンで平昌に行くこと。そして、自分自身が楽しく滑れるようなスケートを心掛けたい」 

ひぐち・わかば】2001年1月2日、東京都生まれ。ISUパーソナルベストスコアはトータル216.71、ショートプログラム71.41、フリー145.30(いずれも17年の世界国別対抗戦)。14年ジュニアグランプリファイナル3位。世界ジュニア選手権でも15年と16年に3位入賞を果たしている。152センチ。
 
Q&A

笑顔作ってリラックス

Q 休日の過ごし方は。

A 休日はほとんどありませんが、友達と買い物に行ったり、散歩に行ったりしています。近所をぶらぶら歩くのが好きです。

Q 好きな本、音楽は。

A 最近読んだ住野よるさんの「君の膵臓をたべたい」は面白かった。音楽は邦楽も洋楽も聴きますが、バレエが好きなので今はクラッシックを聴くことが多いです。

Q 試合前のリラックス方法は。

A 誰もいない所で1人、鏡に向かって笑顔を作っています。松岡修造さんが「笑ったら何とかなる」と言っていて、実際に効果がありました。

Q 10年後は何をしていると思う?

A ちょうど引退しているか、していないかという時期だと思います。プロとしてアイスショーに出ているかもしれませんが、普通の社会人も経験してみたいです。