8月8日~11日に開催された創作ダンスの全国大会「第25回全日本高校・大学ダンスフェスティバル(神戸)」。神戸野田高校ダンス部は、高校生が抱える苦悩や揺れる心を独創的な踊りで表現し、高校の部で文部科学大臣賞(最優秀賞)を獲得した。 (松本妙子、写真は学校提供)

作品のタイトルは「『ヒエラルキー』高校という社会に潜む階層制」。部長の眞野郁実さん(3年)は「教室や部活で集団になると、私たちはなぜかお互いにランク付けをしてしまう。とらわれている現実から一歩踏み出して、もっと広い世界が見たい。そんな思いを込めました」と、テーマを説明する。

小道具のドラム缶は、「生徒にのしかかるヒエラルキーの重み」を表す。セーラー服を着たダンサー29人は、戸惑い、もがく彼女たち自身だ。

振り付けがなかなか決まらず苦労したが、大会直前には仕上げのため4日間の合宿を敢行。朝4時に起きて全員で日の出を見た。「感動を共有したことで踊りがまとまり、深みが出たと思う」と副部長の梅田歩実さん(3年)は振り返る。

眞野さんは言う。「いつか社会で大きな壁にぶつかり、自らの力で乗り越えることができたとき、ようやくこの作品は完成に達するのだと思います」。顧問の平内千景先生は「どんなにきつい練習でもついてきました」と部員を称えた。