広島・長崎に原子爆弾が投下されてから79年。被爆地・広島に住む私は、小学生の頃から毎年戦争や平和について学んできました。ところが関東圏に住む友人から「平和学習を受けたことがない」と聞き衝撃を受け、なんとかしなきゃと立ち上がりました。(高校生記者・長谷川遥=3年)

「平和学習の機会ない」に驚き

私は広島に住んでいます。小学生の頃から毎年、戦争や原爆について学ぶ、平和学習の機会があります。

「平和」のためにできることはたくさんある

しかし、他県に住む友人から「平和学習の機会が皆無に近い」と聞きました。「平和学習の機会格差」に驚くと同時に、「広島の小中高生は平和教育をただ受けているだけで、自分から行動していない」と気付きました。

私の通う広島国泰寺高校には「グローバル平和探究」という世界の諸問題について考える科目があります。意気投合した同級生と一緒に、担当の先生に「他県の高校生と平和学習をしたい」と提案。以前から学校同士の交流のある福島県のふたば未来学園高校と、今年3月にオンラインで約50分間、平和について意見を交わす授業が実現しました。

福島の高校生とオンラインで意見かわす

広島国泰寺高校からは約240人、ふたば未来学園高校からは約60人が参加。はだしのゲンが平和教材から削除された理由を知り意見を交わす、原爆に対する日米報道の違いを知るなど、いくつかのテーマに分かれてグループ討議を行いました。

私のグループでは「平和とは何か」について議論。戦争や紛争に限らず、世界の諸問題を解決していくことが平和につながるのではないかと意見が出ました。相手校は東日本大震災の当事者であることから、広島のことだけでなく、「惨禍の記憶風化」についても考えました。

事後アンケートの作成と集計も行いました

戦争の記憶を自分ごとにするには

授業後のアンケートでは「核問題について話し合う機会が多く設けられている広島に比べ、福島は機会があまりないと気付いた」「原爆の二次被害などを調べられてよかった」など声が挙がりました。ただ、福島の高校生と交流する中で、教育の機会は少ないにしても、福島の原発事故を経験し、自分ごととして核問題を捉え真剣に考えている人が多いとわかりました。

長谷川さん(右)と、一緒に企画をした友人

国泰寺高校では生徒企画の授業は前例がありません。企画書作成や交流内容を考えるのは大変でしたが、企画が実現して本当によかったです。恵まれた生活を送る現代の私たちが、二度と悲劇を繰り返さぬために何ができるのか。受け身でなく行動に移せた経験になりました。

戦争非体験者だから、平和学習を受けたことがないから、「平和」について考える必要はないなんてことはありません。平和の種はあちこちに落ちています。小さなことでも今日から、平和について考えてみてください。