石飛結衣さん(島根・出雲高校3年)の写真作品「17歳」を紹介します。宙に浮いた体育館シューズを捉えたこの作品は、全国高校総合文化祭(かごしま総文2023)の写真部門で文化庁長官賞を受賞しました。どのように撮影したのか聞きました。(文・写真 椎名桂子)

17歳(第47回全国高校総合文化祭 かごしま総文2023 写真部門・文化庁長官賞)

「今しか撮れない写真」目指して

―この作品のテーマを教えてください。

高2の時も総文祭に写真を出展していて、そのときの講評での「今しか撮れないものを撮ってほしい」という言葉がとても心に残っていました。高校最後の年に撮るなら「やはり『青春』だな」と考えました。学校の階段、体育館シューズという高校生ならではのアイテムを使って「青春」を表現しました。

「青春のひとこま」が見事に切り取られた作品と並ぶ石飛さん

―「17歳」というタイトルにした理由を教えてください。

はじめは「駆ける」とか「翔ぶ」といった明るくて前向きなタイトルを考えていたんですが、出来上がった作品を見てみたら、シューズの影がとても印象的でした。明るい中にも影があるところがすごく青春ぽいなと思って、写真部のみんなにも意見を出してもらって「17歳」に決めました。

シューズ投げた一瞬を狙って

―「体育館シューズが宙に浮いている瞬間」は、どうやって撮影しましたか?

学校の校舎内の階段で、体育館シューズをソフトテニス部の友達に投げてもらって撮影しました。構図を決めて、ピントを合わせたところにシューズが入ってくるように投げるのはとても難しかったと思いますが、納得いく画が撮れるまで何回も投げてくれました。コントロールもすばらしかったです。

―撮影するうえで大変だったことはありますか?

シューズの影が壁に狙い通りに浮かぶ時間は限られているので、その短い時間の中で思うような一瞬を切り取るのが難しかったです。撮影をしたのが8月だったので、とにかく暑くて集中力を切らさないようにするのが大変でした。

写真から「物語」を感じてほしい

―撮影するときに意識していることは?

子どもの頃から映画が好きだったので、1枚の写真からでも映画のように物語を感じてもらえるようなものを撮りたいと考えています。私はそこにある自然な姿を撮るよりも、「自分の描きたい物語をどう撮れば見せられるのか」と考えて作り込んで撮るタイプです。

―写真部での活動を振り返ってみてください。

写真を撮り始めたのは高校からで、それまではスマホでの撮影さえほとんどしたことがありませんでした。写真部では先生も自主性を尊重してくれて、同期が10人以上いて、みんなで褒め合い、励まし合って作品を撮ってこられたのでとても楽しかったです。これからも写真を撮ることは続けたいと思っています。