大学入試の方式は年々変化し、年内で進路を決める高校生も多い時代。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者から寄せられた「自分は一般、周りは推薦でモチベーションが保てない」というお悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】自分は一般、周りは推薦でモチベが保てない

大学受験生です。一般受験を受けることに決めたので、2月まで進路が決まりません。仲の良い友達や双子の妹はみんな推薦で進学するか専門学校に進学するかで、ほぼ進路が決まっています。たまに「遊ぼー」と言われるのですが、「ごめん、受験勉強やばい」と何回断ったか分かりません。

勉強のモチベーションが上がらない(写真はイメージ)

一緒に勉強を頑張れる人いないので、どうしてもモチベーションが上がりません。無理やり勉強しようと思って塾に来ても親から「何時に帰ってくるんだ? 夕方には帰ってこい」と連絡が来たり、「犬の散歩に行け」と言われたりします。もう少し配慮してほしいし、妹と同じように暇だと思わないでほしいです。もう少し勉強しやすい環境にしてほしいのですが、家族や友達に分かってもらうためにはどうすればよいでしょうか。また、こんな環境でどうやってモチベーションを保てばよいですか?(高校3年女子・はるる)

受験終了組と学ぶのはつらい…

こんにちは。石田勝紀です。周囲が推薦で決まっている中、一人受験勉強をしていく状況はきついですね。気持ち、よくわかります。

現在の大学入学者のうち50%が一般受験ではない受験を経て大学等に進学しています。つまり約半数が推薦型選抜や総合型選抜で入学しています。そうなると一般入試よりも先に合格する生徒がそれだけ多くいることになり、学校では受験終了組とこれから受験組の混在状態となります。

「受験終了組」と「これから受験組」が教室に混在

これは明らかに、受験勉強をこれからする生徒たちにとっては適切な環境とは言えないでしょう。特に、はるるさんは双子の姉妹もいて妹さんはすでに進路が決まっているということで、家庭内においても混在状態にあるということで苦しいと思います。しかし、似たような状況にありながら一般入試を乗り越えていく生徒も世の中にはたくさんいます。ということは方法がないわけではないのです。

ではここから対策についてのお話です。学校と家庭に分けて説明します。

遊びは「勉強やばい」と断り続けて

今の学校の雰囲気や状況を変えること(受験組とそうではない組に分けるなど)は難しいと思いますが、自分の対応しだいで場を変えていくことはできます。例えば、質問の中に「『遊ぼー』と言われるのですが、『ごめん、受験勉強やばい』と何回断ったか分かりません」とありますが、それでいいと思います。

図書室や自習室を活用して

おそらく、この断りで友達たちは理解したと思うので、今後は言ってこないと思います。もしこれからも、同じお誘いがあったら、同じ回答をすればいいでしょう。

一般受験組とコミュニケーションしよう

そして、もう1つは、自分と同じ一般受験をする生徒たちとのコミュニケーションをとるようにしていきます。学校内にいないようであれば、図書室や自習室へ行くようにします。おそらくそこには同じような境遇の生徒がいるはずです。直接話をしなくても、そのような場に自分の身をおくことが大切です。雰囲気が極めて重要です。

あえて親が気遣ってないのかも

通常は、家に受験生がいれば、家族は気を遣うはずですが、それはそれで受験生にとってみたら、気が重くなることもあります。つまり、家族からの期待が大きくなり、その負担に押しつぶされる場合もあるからです。

家族からの期待に押しつぶされるパターンもある(写真はイメージ)

その点、はるるさんの親はそのような気遣いがないようです。それは妹同様に暇だと思っているのではなく、もしかしたら妹と同じように接することを心がけているかもしれません。その方が受験へのプレッシャーが少なくなるからです。

仮に、そうではないとしたら、家で勉強する時間を減らし、図書館やカフェなど別の場所で勉強する予定を立てる方法もあります。家に帰ったら、他の家族と同様の生活をするだけにするのです。そうすれば、家族からの影響は少なくなります。

これを「よい試練」と捉えて

いずれにしても、自分と同じ空気感の人と場所を選択していくことが大切です。全国には、一般受験する生徒が30万人はいることを忘れないでください。皆、同じように頑張っています。試練は厳しければ厳しいほど、それだけ大きな人間的成長が待っています。はるるさんも必ずそのような状態になることでしょう。これをよい試練ととらえ、乗り越えていってください。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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