放送部などで活動する高校生が作品制作やアナウンスなどで日本一を目指す第70回NHK杯全国高校放送コンテスト(通称:Nコン、全国放送教育研究会連盟・NHK主催)の全国大会が7月25日から27日まで行われ、6部門の優勝者・優勝校が決まった。(文・写真 野村麻里子)

コンテストはアナウンス、朗読、ラジオドキュメント、テレビドキュメント、創作テレビドラマ、創作ラジオドラマの6部門で実施された。都道府県大会には1426校1万2679人が参加した。

入賞した放送部員たち

各部門の結果は次の通り(「優秀」以上を掲載、敬称略)

  • 【アナウンス部門】

  • ▽優勝 古賀美希(長崎・諫早高校2年)
  • ▽準優勝 堅道夕夏(鹿児島・鹿児島純心女子高校2年)
  • ▽優秀 佐藤毬子(青森・弘前高校3年)、山﨑南(熊本・熊本学園大学付属高校3年)
  • 【朗読部門】

  • ▽優勝 古田桃香(岐阜・岐阜北高校2年)
  • ▽準優勝 川野優華(大分・別府鶴見丘高校3年)
  • ▽優秀 篠塚咲希(北海道釧路北陽高校3年)、二宮碧美(兵庫・伊丹北高校3年)
  • 【ラジオドキュメント部門】

  • ▽優勝 北海道札幌丘珠高校「枠をはずして」
  • ▽準優勝 長野・松本昭和学園エクセラン高校「スタートライン」
  • ▽優秀 兵庫・東播磨高校「未来への宿題」、広島・呉三津田高校「ヒロシマからあなたへ」
  • 【テレビドキュメント部門】

  • ▽優勝 宮崎・延岡星雲高校「私の家族」
  • ▽準優勝 兵庫・御影高校「ダメ、ゼッタイ?」
  • ▽優秀 東京・日本大学第二高校「Public Phone -最後の砦-」、長野県松本深志高校「自分ごと」
  • 【創作ラジオドラマ部門】

  • ▽優勝 北海道札幌西高校「残り1センチの希望」
  • ▽準優勝 福井・藤島高校「わっちゅわねーむ」
  • ▽優秀 埼玉・深谷第一高校「自主デン」
  • 【創作テレビドラマ部門】

  • ▽優勝 鳥取・米子工業高等専門学校「果歩は覚えられない」
  • ▽準優勝 東京・錦城高校「ENCOUNTER」
  • ▽優秀 島根・浜田高校「いつでも、いつまでも真剣に」

ラジオドキュメント部門・障害を個性と捉えて多様性実現を願う

優勝した北海道札幌丘珠高校「枠をはずして」は、事故に遭い目に障害を負った女子生徒にスポットを当てた。「迷惑よりも心配をかけてはいけない」がモットーで、明るく前向きに高校生活を過ごす彼女を周囲が支える姿を伝えた。「一番のバリアフリーは心」というメッセージと共に、障害を個性として捉え多様性が認められる社会実現を願う作品となった。

創作ラジオドラマ部門・シャー芯がわずか、ピンチどう乗り越える?

優勝した北海道札幌西高校「残り1センチの希望」。テスト中、残り1センチしかないシャープペンの芯。ピンチの状況で、文房具たちが主人公に次々話しかける。勇気を出して先生に芯をもらいたいが渋る主人公、応援するシャーペン……実際の経験をベースに創作した物語で、会場の共感と笑いを誘った。

テレビドキュメント部門・食肉牛の繁殖農家が牛を手放すまで

食肉牛の繁殖農家が牛を手放し廃業する姿を捉えた宮崎・延岡星雲高校「私の家族」が優勝。名づけ親となり子牛をかわいがる妹の姿。親牛の出荷の日、歩くのを渋る様子に心を痛める祖母など、別れの日までを静かに伝えた。この繁殖農家は放送部員の家族。「とても悲しかった出来事だった。どんな気持ちで牛を育てているのか、動画に残そうと思って作品にした」という。

テレビドラマ部門・顔が覚えられない主人公の葛藤と成長

優勝した鳥取・米子工業高等専門学校「果歩は覚えられない」は、顔を覚えられない相貌失認の女子高校生が主人公。孤独で自称「ぼっち」なクラスメートが主人公の秘密を知り、クラスメートの顔の特徴を一冊のノートにまとめることを提案するなどサポートするが、主人公は覚えられず衝突してしまう。外見にあらわれない生きづらさや障害を受け止め、当事者が生きやすい世の中になってほしいという願いが込められた作品だ。