中学・高校生活は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】周囲から「天才」と言われてつらい

全てのテストでいつも90点以上を取ったり、授業で問題を解くときにはすぐに解いてクラスメートに教えたりしていることから、僕は昔から「天才」と言われていました。でも、全くそんなことはありません。普段は毎日1~2時間、試験の1カ月前からは1日4時間ほど勉強しています。努力で成り立っているだけなのです。

「良い点数を取らなければ…」とプレッシャーに(写真はイメージ)

テスト返しのときに先生が良い点数を取った人数を発表するのですが、クラスメートに「絶対歯車のことだろう」と言われると、「良い点数を取らなければ……」と強いプレッシャーを感じます。僕の気持ちを皆に分かってもらうにはどうすればいいでしょうか?(中学2年・P.N.歯車)

こんにちは。石田勝紀です。歯車さんの気持ち、とてもよくわかります。私も公立中学校のとき、同じような経験をしたことがあり、周囲からそのように見られていたこともあります。でも、あと1年もすれば皆、高校受験のことで頭がいっぱいになるため、そのようなこともなくなっていくと思います。

結論から言えば、歯車さんの気持ちを皆にわかってもらう必要はありません。わからせようとしてもそれは徒労に終わることでしょう。それよりも次の3つのことを心得ておいてください。

【1】今まで通りに勉強を続けよう

一つ目は、「今まで通りの勉強をして点数を取っておく」ことです。これまでやってきた勉強はそのまま継続してください。私はこれまで中学生を数千人指導し、また現在は中学生の勉強法講座を全国の中学生対象に行っていますが、そこでわかったことは、高得点を取るには勉強法があり、それをやれば誰でも点数が取れるということでした。君はその方法をすでにやっていることになります。

すでに高得点を取る勉強法を実践している

ですから今まで通り、淡々とやってください。全国にいる君と同じ様な中学生も同様の対応をとっています。

【2】テストの点数は周囲に言わない

二つ目は「周囲に『テストどうだった?』と聞かれたら、『まあまあ』と答えておく」ことです。おそらく周囲の子たちは、点数が気になることでしょう。そして点数を直接聞いてくるかもしれません。

でも点数を言う必要はありません。それはプライバシーの問題です。でも返答しないと友達との人間関係もあるでしょうから、「まあまあ」という無難な用語を使って返答しておくといいでしょう。それ以上は聞いてくることはないと思います。

【3】「天才」は単なる褒め言葉

三つ目は、「周囲の『天才』という言葉を、真に受けない」ことです。周囲の子たちは、「すごいなぁ」という言葉の代わりに「天才」という言葉を使っています。

また、世界には一定数、「天才」という人も確かにいますが、学校の点数が取れるというのは、正しい方法で勉強したからであって、天才(あまり努力しなくても点数が取れる)だからということはありません。ですから、周囲の言葉をそのまま受け取る必要はなく、単なる褒め言葉として受け取るといいでしょう。

プレッシャーを気にする必要はない(写真はイメージ)

「勉強は自分のため」だと忘れずに

また、プレッシャーについてですが、君は周囲のために勉強しているのではなく、高校受験やその先の自分の人生につながるための勉強をしているので、気にすることはありません。もちろん人間ですから、気分の浮き沈みはあるので、時に点数が振るわないこともあると思いますが、それはプロ野球やプロサッカー選手と同様です。常に最高のパフォーマンスを発揮することはありません。

でも、日々コツコツ努力していくと、全体で見るとかなり上がっていることがわかると思います。プロの選手にはものすごいプレッシャーがかかっていると思います。しかし、彼らは人々の期待に応えるために頑張るというよりも、自分らしくプレーできることに意識を集中させていきます。これがプレッシャーをはねのけるコツです。

二度とやってこない残りの中学生活を楽しんでくださいね。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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