中学生、高校生を対象に武蔵野大学工学部数理工学科が募集する「数理工学コンテスト」。第9回となった今回は、全国から60作品の応募があり、そのうち17作品が入賞を果たした。

次代を担う中学生・高校生たちが栄えある受賞

数理工学の普及や数理工学教育の推進に貢献することを目的に開催されている「数理工学コンテスト」。今回は全国の中学校・高校から60作品の応募があった。作品は、物理や化学、生物などの自然科学分野をはじめ、日常的な統計やシミュレーションなど、分野は多岐にわたり、中高生らしいアイデアが盛り込まれた研究が多かったことが印象的。そのなかで、最優秀賞1作品、優秀賞3作品、奨励賞5作品、選考委員賞4作品、ジュニア奨励賞4作品の計17作品が選ばれた。

3月25日(土)には、オンラインにて授賞式を開催。受賞者、選考委員が画面越しではあるが一堂に集まり、表彰および選考委員による入賞作品の講評が行われた。

 

選考委員評

武蔵野大学工学部数理工学科 教授 西川哲夫

現実の課題解決を強く意識した作品が多くあった

今回、応募作の分野・方法は多種多様であり、受賞作の内、モデル化の作品は6件、統計の作品は7件、実験の作品は4件であった。今回は、現実の課題解決を強く意識して方法論を組み立てていた作品が多くあった。
モデル化では、理論的方法を実際の場面へ適用させた作品、例えば、合気道の稽古方法の最適化や、フードコートの待ち時間のシミュレーションによるテイクアウト割合の最適化の作品があり、統計では、社会的課題に対して重要な発見を導いた作品、例えば、外れ値の分析から新たな仮説を提唱し、ごみのリサイクル率向上を目指した作品や、実際の横断歩道の観察によって、信号無視の削減を目指した作品などがあった。また、実験では、綿密な実験計画に基づき確かな結論を得ている作品、例えば、十字型パラシュートの降下実験による、ズレと降下速度を小さくするための条件最適化(最優秀賞受賞作品)、教室の黒板を見えやすくするための条件最適化などの作品があった。
数学・統計・コンピュータの活用による、現実の問題解決を目指したアプローチは、今後あらゆる分野で必須になると考えられるので、本コンテストの後も、幅広い勉強を続けると共に実践力を磨いていって欲しい。

 

9回(2022年度)受賞作品一覧

最優秀賞(1作品)
天空の城から舞い降りるパラシュート 
岡山県立倉敷天城高等学校 
優秀賞(3作品)
災害時の気象データを活用した「防災音楽てんでんこ」自動生成処理の設計​ 
成田高等学校 
 
稽古の不成立を未然に回避!―掛かり稽古のモデル化と一般化―​ 
東京学芸大学附属国際中等教育学校 
 
黒板の反射を無くすには? 
光塩女子学院中等科 
奨励賞(5作品)
慣性モーメントが変化するフライホイールを用いた風力発電 
愛媛県立松山南高等学校 
 
大洲の霧・肱川を流れる霧・肱川あらし 
愛媛県立大洲高等学校 
 
横断歩道・信号機の特徴と信号無視の関係~信号無視をさせないために~ 
光塩女子学院中等科 
 
フードコートのご飯が食べたい! 
広尾学園中学校 
 
高校野球における最適打順と一般的なイメージの差異 
広島大学附属高等学校 
選考委員賞(4作品)
エレベータの移動方法の効率化ついて 
明治大学付属明治高等学校 
 
スポーツ選手における相対年齢効果 ~早生まれは不利なのか~ 
田園調布学園高等部 
 
弓道競技における射技向上のための分析 
田園調布学園高等部 
 
睡眠の統計的データ分析による翌日の体調への影響の検討 
広島大学附属高等学校 
ジュニア奨励賞(4作品)
感染症モデルによるヒット現象の解析 
広尾学園中学校 
 
洗剤の液性と水の温度による 食器の効果的な油汚れの落とし方 
光塩女子学院中等科 
 
ごみのリサイクル率を上げるには? 
光塩女子学院中等科
 
ラグビーワールドカップ2019から導く日本代表チームの強さ ~決勝トーナメントで勝ち進むためには~
光塩女子学院中等科
 

大学ホームページに後日、優秀作品や選考委員による講評を掲載予定です。

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