中学生、高校生を対象に武蔵野大学工学部数理工学科が募集する「数理工学コンテスト」。第8回となった今回は、全国から67作品の応募があり、そのうち18作品が入賞を果たした。

次代を担う中学生・高校生たちが栄えある受賞

数理工学の普及や数理工学教育の推進に貢献することを目的に開催されている「数理工学コンテスト」。今回は全国の中学校・高校から67作品の応募があった。作品は、物理や化学、生物などの自然科学分野をはじめ、日常的な統計やシミュレーションなど、分野は多岐にわたり、中高生らしいアイデアが盛り込まれた研究が多かったことが印象的。そのなかで、最優秀賞1作品、優秀賞3作品、奨励賞5作品、選考委員賞4作品、ジュニア奨励賞5作品の計18作品が選ばれた。

3月26日(土)には、オンラインにて授賞式を開催。受賞者、選考委員が画面越しではあるが一同に集まり、表彰および選考委員による入賞作品の講評が行われた。

 
 

 

選考委員評

武蔵野大学工学部数理工学科 教授 西川哲夫

作品の分野やテーマが多種多様だった

今回、全国から67作品の応募があった。作品の分野や分析方法も多種多様であったが、モデル化と統計の作品のどちらも優秀なものが多くあった。モデル化の作品には、日常的な掃除の最適化やエレベーターの渋滞などのテーマも多かった一方で、社会的課題である選挙のシミュレーション(最優秀賞受賞作品)や火災時の避難シミュレーションなどもあった。統計の作品としても、室内干しの匂いや電車発車時刻の正確さなど日常的テーマが多い一方、鳥と航空機の衝突など社会的に重要なテーマや、疫学的にも重要なうどんを噛む回数の研究などもあった。数学・統計を活用した課題解決は、今後社会の中でより一層重要性が増すと考えられるので、本コンテストをきっかけに、ますます勉強と実践に励んでほしい。

 

 

第8回(2021年度)受賞作品一覧

最優秀賞(1作品)
投票の仕方でこんなに違う!-投票の数学理論- 
啓明学院中学校 啓明学院高等学校 

◆研究の内容

代表的な投票方法である、最大多数法式、決選投票式、ボルダ式、コンドルセ式について計算機シミュレーションで調べ、投票方法によって結論が変わる確率を計算しました。

◆研究のきっかけ

数学・プログラミングに興味のある生徒たちが集まり、数理科学研究会を発足したことが始まりです。選挙の方法について教えてもらう機会があり、世界ではいろんな投票の方法が使われていることから、投票方法によって結果が変わり得ることを知ったことがきっかけとなりました。

◆研究の感想

プログラミング言語によって機能が多かったり、計算速度が異なるなどの特性があり、情報量にあった言語を使用することで工夫をしながらプログラミングを一から学び研究を進めていく中で、新しい発見を楽しみながら研究することができたと思います。

 

優秀賞(3作品)
掃除の効率化​ 
広島大学附属高等学校 
 
うどんの噛む回数と健康問題​ 
香川県立高松商業高等学校 
 
生乾き臭がしない室内干し条件を探る​ 
光塩女子学院中等科 
奨励賞(5作品)
減圧に伴う表面張力の低下​ 
愛知県立明和高等学校 
 
火災発生時の避難シミュレーションによる避難誘導の研究 
山口県立山口高等学校 
 
東京国際空港におけるバードストライク防止のための原因分析~空の安全を守れ!~ 
筑波大学附属駒場中学校 
 
インソールの装用による身体動揺の減少と自分に最も合ったインソールを見つける方法​ 
慶應義塾高等学校 
 
待ち行列理論を用いたエレベーターの渋滞緩和 
広尾学園中学校 
選考委員賞(4作品)
感情認識を目的とした音声波形のフーリエ解析 
広尾学園高等学校 
 
肱川あらしの統計的データ分析 
愛媛県立大洲高等学校 
 
線形回帰分析を用いたプロ野球チームの成績予測 
筑波大学附属駒場高等学校 
 
カレーうどんの麺と汁の軌道​ 
広島大学附属高等学校 
ジュニア奨励賞(5作品)
より多くの人にとって使いやすい公衆トイレを探る 
光塩女子学院中等科 
 
日本の電車は本当に正確なのか? 
光塩女子学院中等科 
 
大変な落葉掃除を効率よく行う 
光塩女子学院中等科
 
新型コロナウイルス感染症の国別感染者数に影響を与える因子の研究
筑波大学附属駒場中学校
 
世界各国の平均身長から考察する「身長と幸福度・環境・食事」との関係性
San Roberto International School(サン ロベルト インターナショナル スクール) 
 

大学ホームページに後日、優秀作品や選考委員による講評を掲載予定です。

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