応募総数18,277作品が寄せられた國學院大學・高校生新聞社主催『第25回全国高校生創作コンテスト』。各賞ならびに学校賞が決定しました!応募数の詳細と各賞の結果は以下の通りです。                        ※ 新型コロナウイルス感染症を考慮し、表彰式はオンラインで開催しました。

【応募総数】
18,277作品
・短篇小説の部:785作品 
・現代詩の部   :585作品
・短歌の部      :4,738作品
・俳句の部      :12,169作品

団体賞

【文部科学大臣賞】
東京・海城高等学校
【特別学校賞】 
東京・国際基督教大学高等学校    
 

 短篇小説の部

【最優秀賞】
  「ゴッホの書いた世界と見えない赤信号」
   鈴木 陽菜(兵庫・賢明女子学院高等学校3年生)
   ★作品はこちら★
 
【優秀賞】
  「閉じ込められた音楽」 宮脇 和希(愛媛・愛媛大学附属高等学校2年生)
  「人魚」 小川 友希(東京都立立川国際中等教育学校2年生)
 
【佳作】
  「羽衣娘」 山城 昌怜(沖縄県立那覇高等学校3年生)
  「電ウツボ」
   長谷井 佑香(横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校2年生)
  「伝染する青」 池田 愛生子(千葉県・二松学舎大学附属柏高等学校3年生)
  「ドアの向こう」 芹田 敦史(福岡県立北筑高等学校2年生)
  「夏の日の夢」 東 那侑多(新潟・長岡工業高等専門学校3年生)
 
【入選】
  「ふくろう」 中原 飛鳥(市立札幌旭丘高等学校3年生)
  「命のベッド」 稲岡 歩望(兵庫県立小野高等学校2年生)
  「誰もいない世界へ」 山本 柚葉(兵庫県立小野高等学校1年生)
  「青のリズム」 田中 千聖(東京・桐朋女子高等学校2年生)
  「朝の匂い。」 平井 華乃果(岡山・津山工業高等専門学校2年生)
  「水際のひとり言」 川上 心音(広島・AICJ高等学校2年生)
  「私の色、桜色。」 有賀 結菜(埼玉県立浦和第一女子高等学校1年生)
  「月夜にボトルメール」 岡本 芽依奈(兵庫・白陵高等学校2年生)
  「ナポリタンアイス」 瀧本 早蘭(山梨県立甲府第一高等学校2年生)
  「傷跡」 山本 理恵(北海道・北星学園女子高等学校3年生)
 

 現代詩の部

【最優秀賞】
  「ねじねじおじさん」 浜田 桃実(福岡・久留米大学附設高等学校2年生)
   ★作品はこちら★
 
【優秀賞】
  「セレモニーのあの子」 鹿島 あかり(愛知・中京大学附属中京高等学校2年生)
  「ぼんやりと」 岩田 一心(千葉・市川高等学校3年生)
 
【佳作】
  「うらがわ」 田野 美珠稀(神奈川県立川崎高等学校2年生)
  「言葉と、それから」 髙橋 尚暉(群馬・東京農業大学第二高等学校2年生)
  「ハモニカ横丁」 髙橋 理生(東京・開成高等学校2年生)
  「アニモ」 浅見 亮太(東京・麻布高等学校2年生)
  「あなたと出会ってこの世界が少しだけ変わった。」
   関野 実優(神奈川県立麻生高等学校1年生)
 
【入選】
  「咲き残るものたちのために」 照屋 アリサ(神奈川県立川崎高等学校3年生)
  「いとこ」 塚越 珠雫(岡山・津山工業高等専門学校1年生)
  「風船葛」 泉 まいこ(神奈川県立湘南高等学校1年生)
  「私のバッタ」 處 結月香(神奈川・横浜雙葉高等学校3年生)
  「苔」 豊田 隼人(東京・国際基督教大学高等学校2年生)
  「旱星」 跡部 日南子(神奈川・横浜雙葉高等学校3年生)
  「だから差別はいつもある」 蒋 騰(東京・海城高等学校1年生)
  「夏の晴れた暑い日が非常によく似合う犬」
   渡邉 瑞紀(神奈川・湘南白百合学園高等学校2年生)
  「弾丸」 浪花 小槙(東京都立豊多摩高等学校1年生)
  「アインシュタインに舌を出す」 薗田 希夢(奈良・西大和学園高等学校1年生)
 

 短歌の部

【最優秀賞】
小沢 真奈(東京・東京純心女子高等学校2年生)
雨風に負けぬ者にはなれずとも傘差し出せる者でありたい
 
【優秀賞】 
  「聳え立つビルの隙間の満月よカメラは捉えぬ奥深き光」
   矢吹 里穂(神奈川・横浜雙葉高等学校3年生)

  「性別に「どちらでもない」書く君は最後のとめに力込めたり」
   焼山 美羽(東京・開智日本橋学園高等学校3年生)
 
【佳作】
  「恩師逝く誓いし勝利掴むためぬかるみの中ダイビングキャッチ」
   早川 彰太郎(福岡・西日本短期大学附属高等学校2年生)

  「「生」にはさ百種以上の読み方が「死」にはたった一つの読み方」
   翁 謀業(東京都立墨東特別支援学校2年生)

  「平和への歌声響く街並みに見えざる兵士の行進止まず」
   加藤 結衣花(茨城県立結城第二高等学校3年生)

  「パーキンソン患う祖父を負んぶする昔祖父がしてくれたように」
   山口 雄大(福岡・西日本短期大学附属高等学校2年生)

  「青春も海も透明遠くから眺めないとわからない青」
   杉本 詠太(横浜市立戸塚高等学校2年生)
 
【入選】
  「マウンドは自信つけねば守れない守り抜くため走りこみする」
   江川 颯太(福岡・西日本短期大学附属高等学校2年生)

  「気がしてた思ってたとか多用して輪郭のない生活をする」
   長谷川 万葉(京都・洛南高等学校3年生)

  「柿食えど鐘は鳴らずや静かなり跡継ぎおらず廃れゆく寺」
   岩島 圭汰(岐阜県立恵那高等学校2年生)

  「ゼミ室は「彼女が欲しい」と囁いた少女の声を仕舞い忘れた」
   水野 春予(大阪市立咲くやこの花高等学校2年生)

  「ずっしりと種無し葡萄に満ちている人の歪めし生の理」
   原口 来瞳(兵庫県立武庫荘総合高等学校2年生)

  「自分にはないものばかり欲しくなるノットばかりの論理演算」
   増田 一太(群馬県立太田高等学校1年生)

  「道端に薊の花が咲いている「一人にしてよ」と言っているみたいに」
   石﨑 愛佳(山口県立岩国総合高等学校2年生)

  「深い夜飲まれぬように煌めいた六等星に勇気づけられ」
   長谷川 颯生(青森県立五所川原高等学校2年生)

  「立ち止まり自分らしさに悩む日の道の先には青葉があった」
   宮本 稜也(群馬県立太田高等学校2年生)

  「黒板に書かれた文字は消せるのにネットに挙がる文字は消せない」
   中原 菜々海(福岡・西日本短期大学附属高等学校2年生)
 

 俳句の部

【最優秀賞】
植松 幹太(福岡・西日本短期大学附属高等学校2年生)
      栗をむく母なき秋がまた巡る
 
【優秀賞】
  「深呼吸青葉深緑深呼吸」 毛塚 悠斗(茨城県立結城第二高等学校4年生)
  「贋作のひまわりに寄る刺蛾かな」 川田 暖士(東京都立昭和高等学校3年生)
 
【佳作】
  「囀を喰はむと妹の描きし蛇」
   魚地 妃夏(神奈川・慶應義塾湘南藤沢高等部2年生)

  「新しい制服で行く墓参り」 菊間 麻涼(静岡・加藤学園高等学校1年生)
  「点滴の支柱に蝉の殻一つ」 冨里 光詩(愛媛県立松山工業高等学校3年生)
  「卒業の日やハンカチに馬が跳ね」 南 幸佑(東京・海城高等学校2年生)
  「皿一枚割れた三月十一日」 落井 源真(福井県立武生高等学校3年生)
 
【入選】
  「春雷や楽譜をめくる指をとめ」 戒能 李咲(福島県立安積黎明高等学校1年生)
  「雨蛙鳴けば緑の香りかな」 中井 道満(京都府立北嵯峨高等学校1年生)
  「教科書を立たせて作る日除かな」
   井澤 里映(和歌山・和歌山信愛高等学校1年生)

  「まだ白き鎌を構える子かまきり」 江藤 雄士(埼玉・星野高等学校2年生)
  「蜘蛛の囲を透かして星座仰ぎけり」 渋谷 和真(秋田県立秋田高等学校1年生)
  「失恋の姉と静かなかき氷」 金井 つぐみ(山口・柳井学園高等学校1年生)
  「図書館の本の香りや夕月夜」 鈴木 美冬(北海道・旭川実業高等学校1年生)
  「マレットの打音重なる雲の峰」
   江﨑 麗菜(福岡・西日本短期大学附属高等学校2年生)

  「マドレーヌ食う一瞬も驟雨かな」
   清水 一澄(千葉・芝浦工業大学柏高等学校3年生)

  「唖蝉を聞く鶏肉の筋を剥ぐ」
   小林 菜々美(東京・国際基督教大学高等学校2年生)
 
 

短篇小説の部 最優秀賞作品 

ゴッホの書いた世界と見えない赤信号
街路樹はすっかり秋色に染まって、吹き付ける風も随分と強くなってきた。風が木の葉をさわさわ揺さぶっているが耳にひやりと聞こえる。濃厚な秋の気配の裏には少しだけ冬が覗いていた。
 こうして一緒に歩くのも久しぶりな気がする、なんて考えながら私は弟の横顔を盗み見る。
 「なに?」
私は見上げた弟は怪訝そうな顔で瞬きをした。本当に同じ親から生まれたのかと疑問に思うほどに大きな二重の目。昔はよくこの目を妬ましく思ったものだ。
「ううん。」
 誤魔化すように言ってから、わざとぐしゃぐしゃと頭を撫でる。
「大きくなっちゃったなぁ、って。」
 戯れ合うように手を伸ばしあって、それから弟は初めて頬を緩めた。笑うと糸のように細くなる目はどうやら私とそっくりなのだそうだ。少しだけ年齢より幼く見える笑顔が、何故か不意に小さい頃の弟顔に被った。
 「今、身長いくつよ。」
「159」
得意げに言った弟はにやりと笑う。
「姉ちゃんは?」
「162」
「もうあと3センチだね。」
「まだあと3センチだから。」
 ザッと風が強く吹いて、前髪が乱れる。空はもう暗くなり始めていた。あたりが少しずつ暗くなるにつれて、ぽつぽつと街灯が灯り始めた。
「早く帰ろっか。」
 足を早めた弟の荷物がガタリと音を立てる。そういえば随分と重そうだ。
「持とうか?」
「いい、いつも自分で持ってる。」
手を引っ込めると弟は可笑しそうに言った。
「もう子供じゃないんだから。」。
「そうだね。」
 向けられた私の微笑を見て思うことがあったのか、弟は不満気に顔を顰めた。
 車が一台も通らない道に2人分の足音が響く。そういえば虫の鳴き声もすっかり聞こえなくなった。今はただ乾いた風が時折服の裾を揺らしていくだけだ。チカチカと信号が点滅して、目の前で赤に変わった。
 「そういえばさ、なんでここの信号、新式になったんだろうね。」
 時間の流れに取り残されたような交差点の中で、新しくなった信号機だけが違和感を放っていた。
 「バツが見えるんだ。」
弟は赤いランプを指差してなんでもないかのように言った。
 「真ん中にバツ印があって、赤信号だってわかりやすくなってるんだよ。」
 そう言う弟の顔は信号が落とす赤い光で照らされていた。
 先天的に弟は赤色と緑色を見分けるのを苦手としていた。夕焼けも、紅葉も、美しさが良くわからないと、以前弟は言った。そうなのかと思ってその時はそれで終わったのだ。赤と緑が苦手。そうか、ちょっと考えれば信号も当てはまるとわかったはずなのに。
 「そっか。知らなかった。」
 正確に言えば考えたこともなかった。赤信号がわかりにくかった人がいたのだ。しかもこんなに身近に。赤信号は赤信号。わかりやすくて然るべきだと思っていたのはただの先入観だった。
 「僕は全く見えないわけじゃないから、よく見ればちゃんとわかるんだけどね。ぱっと見わかりにくいから。」
「今まではどうしてたの。」
「周りに人がいればその人に合わせる。誰もいない時はよく見て、それでももしわかんなかったら勘、かな。」
 弟は私を見上げた。
「やっぱり姉ちゃんには見えないんだ?」
 目を凝らしたがやっぱり私には赤い光しか見えなかった。
「うん。見えない。」
もう一度視線を戻すと、信号は青に切り替わった。
「あっ、青になったよ。」
「知ってる。」
荷物を担ぎ直して弟はゆっくり歩き始めた。
 「信号って青色って言うじゃん。あれって僕以外はマジで青に見えるもんなの?」
「緑…緑だと思う。あれは。」
「でも青信号だよね。」
「確かに。隣の芝は青いって言うけどやっぱり芝は緑だし。文化的な問題かな。」
「やっぱりそうなのか。まあ青々とした新緑とかって言うしね。一文で矛盾が起きてるような気もするけど。」
 靴音が暗い道に響く。どこか遠くを見つめていた弟は唐突に口を開いた。
「ゴッホの絵、見たことある?」
 急に話が飛躍しがちなのは弟の癖だ。急に突拍子もないことを話し始める弟に、小さい頃は困惑していたけれど、それも随分慣れた。
「糸杉…とかなら。」
「どう、思った?」
「どう…って。上手だなぁとか?」
 何かを考えるように弟は真っ直ぐ前を見ていた。
「ゴッホがどうかしたの?」
「ゴッホの絵ってさ、教科書に載ってるでしょ。」
「うん。」
「初めて見た時ビックリしたんだ。」
 光って見えるんだ、と弟は何かすごい秘密を打ち明けるように私に囁く。
 「それからネットで調べたらやっぱりゴッホは色弱だったんじゃないかって言われてた。どうやらゴッホや僕と、姉ちゃんとは見え方が違ってるみたい。」
 ―青と黄色がね、目に飛び込んできて、パッとそこだけ光って見えるんだよ。星だとか、店先から漏れる光とか、本当に光ってるみたいに見えるんだ。それでね……
「絵とかあんまり詳しくないからわかんないけどさ、初めて絵を見て感動したんだ。これがもしかしてお姉ちゃんたちがみえてる世界と同じなのかもって。でも、そのまま友達にいったらよくわかんないって言われた。普通でしょって。」
 弟は咀嚼するようにゆっくりと言葉を紡ぐ。そういえば以前、話に脈絡がないと私は彼を咎めたことがある。自分は話したいことの背景を知っていても、相手は知らないということはあるのだと。だからなのか、彼は内にある言葉未満の思いをゆっくりと言葉に昇華していく。
 「いわゆる普通の人はさ、今自分が見えてる世界はもしかしたら本当の世界の色じゃないかもしれないなんて考えた事ない人もたぶん結構居てさ。でも、ゴッホが描いたのは多分、ゴッホが見えてたものなんだろうなって。そう考えると世の中の大多数の人は本物のゴッホの絵を見たことがないんだ。青信号が緑に見える人もいる一方で、そもそも色の違いがよくわかんない人間もいる。でさ、赤信号が赤信号に見えない人もいれば、見えてるのに見えてない人もいるんだよ。」
 なんか何が言いたいのかよくわかんなくなってきたと、弟は何故か泣きそうに笑った。
 「色々と考えてたんだね。」
弟は小さく息をついて独り言のように呟いた。
「姉ちゃんが信号無視の車に撥ねられてからだよ。そこからずっとこんなこと考えてた。でもやっぱりわかんなかった。」
 姉ちゃんはさーなんで死んじゃったの。
 弟の口ぶりは別に何かを責めるような色はなく、ただ何かを悔やむようにその大きな目が揺れた。
「大きく、なったんだね。」
「もうあと3センチだから。」
「まだあと3センチだね。」
 こくりと頷いた弟は迷子になった小さな子供みたいで、思わず抱きしめたい衝動に駆られる。
 「帰らなきゃ。母さんが心配する。」
「そうだね。」
 数歩先をいく弟の背中は確実に大人の体格に近づいていた。記憶の小さな弟は、いつの間にか一人で歩き始めていた。それが無性に誇らしくて、愛おしくて、少しだけ寂しかった。
 遠ざかっていく弟を見送る。もう感じないはずの胸の痛みに気づかないフリをして、私は笑顔を浮かべ続けた。弟は一度も振り返らずに真っ直ぐに歩いて行った。
 そっか。大きくなったんだよね。
 多分だけど今、私は泣いているんだろうと、訳もなくそんな気がした。
 

 

現代詩の部 最優秀賞作品 

【ねじねじおじさん】

ないちゃいそうなときはね
といれのなかでなみだがぽたぽたおちるのがまんするの
あめがふっててうれしかったからままとおいかけっこしたんだ
ままにすごいとこみせたくていっしょうけんめいはしったら
ままに
みえないところまでいっちゃだめでしょ!!
っておこられたの
そんなつもりなかったのに
びっくりしてないちゃったらままはぎゅっとだきしめてくれた
でもおうちにかえったらまたかなしくなっちゃった
なかなおりしたのにまたないちゃったらだめだから
といれのなかでぽたぽたなみだをがまんするの
めのまえがぼやぼやになっちゃっててんじょうをぎゅっとにらんでたら
ねじねじおじさんがひらひらおどってたの
それをみたらうれしくなってぽたぽたなみだがぴたっととまったの
もっかいうえをみあげたら
ねじねじおじさんはただのねじとはがれかけちゃったかべがみのはしになってた
 

泣きそうなときは
トイレに入ってなみだがあふれそうになるのをぐっとこらえる
今日いつも仲良しのゆうちゃんがいきなり話してくれなくなった
しゃべりかけると聞こえなかったって風にすっとちがうところへ行って
そのときわざとちょっとだけほくそ笑む
わたしはくやしくてゆうちゃんの前じゃ絶対泣くもんかと思った
家に着くまでちゃんと我まんした
玄関のドアを開けたらちょっとなみだが出てきたから
ママに顔を見られないように急いでトイレに入った
トイレに入ったらすぐに目の前がぼやぼやしちゃって
ぼやぼやが流れきるまでずっと上を向いてねじねじおじさんを見つめてた
もうねじねじおじさんはネジじゃなくてクギだってことも
おどって見えるのは光のくっ折のせいだってのも知ってるけど
ねじねじおじさんを見てると心がだんだん落ち着いてくる
 

泣いてしまいそうなときは
トイレに籠もって涙が零れそうになるのを堪える
深夜3時まで勉強したのにテストで平均点が取れなくて
部長として頑張ってもやること成すこと空回りしている気がして
大好きな友達にそんなに大切にされていないことに気付いて
こんな私に意味などあるのだろうかと
夕飯の皿を下げているときにふと考えてしまった
慌ててトイレに駆け込んで顔に跡が付かないようにと天井を見上げる
見えたのは涙越しに揺れ動く釘と剥がれかけた壁紙の端だけ
私の意味は私が決めると涙を拭ってドアを開けた

ご応募をいただき誠にありがとうございました。             本コンテストは来年も実施予定です。詳細は2022年4月以降に発表いたします。