【目次(TOP)】【最優秀賞】【優秀賞】【佳作】【入選】

 

【最優秀賞】
 
副島 亜海 (福岡・西日本短期大学附属高校2年)
 残されし祖父の畑を守り抜く朝風の中鍬を打つ祖母
 

受賞者コメント

私にとって大きな支えとなっている祖母のことを詠んだ歌で、このような大きな賞をいただくことができ、本当にうれしく思っています。ありがとうございました。天国で見守ってくれている祖父にも良い報告ができました。
以前休日になるとよく祖母の家に遊びに行っていました。今は一緒に暮らしていますが、その時に亡くなった祖父の畑で一生懸命に畑仕事をしている祖母の姿がとても印象に残っています。その姿を短歌に詠みました。
制作する中で、自分自身が伝えたい事を31音という少ない音数で伝えることはとても難しいと思いました。詠みたい情景をしっかりと思い返したり、じっくりと見て素直に言葉にすることが大切なのだと思いました。

 
【優秀賞】 
 
浦部 貴裕 (東京・大泉高校1年)
 古池や蛙飛びこむ暇もなく取り壊してはマンションが立つ
 

受賞者コメント

受賞しているとは思っていなかったので正直驚き半分嬉しさ半分です。
学校からの案内に目が止まり、応募を決めました。
制作する中で、感じたことや考えたことを5・7・5・7・7の31文字にまとめることは難しく短歌の奥深さを感じました。
今後の課題としては積極性を高めることです。アドバイスとしては考えすぎないことが重要だということです。

 
山野辺 幸太 (福島・白河高校3年)
 さやさやと風に吹かれて君思う色に染まらぬ百日紅かな
 

受賞者コメント

書道の授業の一環として制作したこの短歌に込めた私の思いが審査員の方々に評価していただき、このような賞を受賞することができたことを非常に嬉しく思うとともに驚いています。
私の自宅にある百日紅が白色という珍しい色であることを知り、短歌に用いたいと思い制作しました。辞典や歳時記を使い言葉を調べる作業から始め、どうしたらその情景をイメージできるかを考えました。
これまで古文の授業などで短歌には触れてきたつもりでしたが、いざ自分自身で作るとなると情景をイメージさせることや自分の思いを31文字でまとめることが非常に難しかったです。今回の制作過程を通じて私の周りにはたくさんの言葉やオノマトペで溢れていることを知りました。
将来、高校教師として生徒に古典文学の素晴らしさを伝えたいと考えています。
今年はコロナウイルスの影響もあり、私の水泳部の大会も開催されず、何か形に残せるものはないかと思いこのコンテストに応募しました。後輩のみなさんも辛いこともあると思いますが、諦めずに挑戦してみてください。

 
 
【佳作】
 
山田 実希 (東京・田園調布学園高等部1年)
落ちてゆく夕日の影を嘆くよりこれから昇る朝日の光
 
馬屋原 朋季 (岡山・井原高校 南校地3年)
雨に濡れ平和を願う祈念像あの日と同じ空を指さす
  
細川 依蕗 (富山・高岡第一高校3年)
無軌道な楕円のボール捉えんと君は身を投ぐ堅き大地へ
 
島袋 乃碧 (沖縄・昭和薬科大学附属高校3年)
観客のいない舞台を棺桶に最後の夏を静かに看取る
   
吉井 文哉 (茨城・結城第二高校3年)
ミサイルの空を来たのか夕燕このただならぬコロナ禍の世に
   
 
【入選】
 
須田 友雅 (東京・大泉高校1年)
雨の中同じ傘入る友の君僕の想いに気づかず帰る
   
吉原 青空 (石川・寺井高校2年)
道端に幾度も生える雑草の根気強さにはげまされたり
   
河合 美琴 (東京・学習院女子高等科3年)
携帯をスクロールするだけの日々どれだけのもの得られるだろう
   
岩崎 将英 (千葉・拓殖大学紅陵高校2年)
知っている父が一人でつらいこと知ってるからこそ笑っていたい
   
山本 夕愛 (岐阜・恵那高校2年)
檻の中徐々に流れる睡眠ガス捨てられた意味も分からないまま(捨てられた犬)
   
村岡 花乃 (群馬・太田女子高校3年)
コギトエルゴスム疑いないものはあなたが好きこの気持ちだけです
   
中屋 朝陽 (石川・金沢泉丘高校1年)
生意気でバカで気分屋で世間知らずでそんなおまえがほっとけなくて
   
神原 彩那 (茨城・結城第二高校3年)
車座になってランチを広げれば結城筑波は万葉の山
   
植松 幹太 (福岡・西日本短期大学附属高校1年)
母の墓何度も洗ふ父の背の少し小さく夕暮れてゆく
 
 
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