中学生、高校生を対象に武蔵野大学工学部数理工学科が募集する「数理工学コンテスト」。第7回となった今回は、全国から58作品の応募があり、そのうち17作品が入賞を果たした。

次代を担う中学生・高校生たちが栄えある受賞

数理工学の普及や数理工学教育の推進に貢献することを目的に開催されている「数理工学コンテスト」。今回は全国の中学校・高校から58作品の応募があった。作品は、物理や化学、生物などの自然科学分野をはじめ、日常的な統計やシミュレーションなど、分野は多岐にわたり、中高生らしいアイデアが盛り込まれた研究が多かったことが印象的。そのなかで、最優秀賞1作品、優秀賞3作品、奨励賞5作品、選考委員賞4作品、ジュニア奨励賞4作品の計17作品が選ばれた。

3月27日(土)には、オンラインにて授賞式を開催。受賞者、選考委員が画面越しではあるが一同に集まり、表彰および選考委員による入賞作品の講評が行われた。

 

選考委員評

武蔵野大学工学部数理工学科 教授 西川哲夫

身近なテーマ・今年ならではの作品が多くあった

今回も全国から作品が寄せられ、58作品の応募があった。作品のテーマ設定や検証方法も多様であったが、今年度はコロナ禍の下、新型コロナウイルス感染症関連作品が多くあったことが特徴的であったと思う。また、最適化を活用した作品も多く、ゴミ問題などの環境問題に焦点を当てたものが複数あった。セミの鳴き声・動物の寿命などの日常的テーマを統計的に扱った作品も多くあり、中学、高校で学んでいる数学・情報の知識・方法が、実社会の幅広い分野で活かされる可能性を知って、これからももっと学び続けて欲しい。

 

 

第7回(2020年度)受賞作品一覧

最優秀賞(1作品)
渋谷駅周辺地域におけるゴミ箱設置の最適化​ 
豊島岡女子学園高等学校 

◆研究の内容

ポイ捨ての削減を目的に、渋谷駅周辺のゴミ箱の設置を数理的に最適化することで、実地調査で得たデータを基に、最低限必要なゴミ箱の数とその設置場所を求めました。

◆研究のきっかけ

渋谷で食べ物をテイクアウトして食べ終えた後、ゴミの捨て場所に困った実体験がきっかけです。ゴミ箱があっても、ゴミが溢れ出ていて捨てられず、結果としてポイ捨てにつながっていると思い、研究を始めました。

◆研究の感想

数学がもともと好きでしたが、実際の社会問題を解決するために数学が活用できると実感できたことは大きな発見でした。今年はコロナ禍で思うような学校生活が送れなかったけれど、その分研究に打ち込むという経験ができて嬉しかったです。

 

 

優秀賞(3作品)
Unityを用いた新型コロナウイルス感染症のシミュレーション 
京都市立堀川高等学校 
 
ゴミ箱案内板の設置によるゴミのポイ捨て抑制効果の検証 
広島大学附属高等学校 
 
重回帰分析を用いた特殊詐欺の都市部、地方における構造的違いの発見とそれぞれの要因分析​ 
東京都立白鷗高等学校 
奨励賞(5作品)
秘書問題の拡張 
富山県立富山中部高等学校、金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高等学校 
 
セミの鳴き声による気温の推察 
須磨学園高等学校 
 
気柱共鳴の数理モデル ~位相変化と音量変化を表せるモデルを目指して~ 
玉川学園高等部 
 
渋谷スクランブル交差点における信号制御の最適化 
金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高等学校、開成高等学校 
 
無線脳波測定器を用いたゲーム時の脳内変化の研究 
茨城県立竹園高等学校 
選考委員賞(4作品)
身近なもので紙を強くするには ~繰り返し使える紙でエコな袋を~ 
長野県屋代高等学校 
 
野良猫に遭遇できる確率と天候についての分析 
桐蔭学園高等学校 
 
楽天市場のデータを利用した経済指標の作成​ 
愛知教育大学附属高等学校 
 
ボールの空気圧と反発係数の関係​ 
岐阜県立加茂高等学校 
ジュニア奨励賞(4作品)
動物の寿命 ~寿命の差はどこからくるのか~​ 
光塩女子学院中等科 
 
世代別による情報の受け取り方の違い ~コロナ禍で考える~ 
光塩女子学院中等科 
 
日照時間・栄養素とうつ病との研究 
立命館慶祥中学校 
 
メディアと表・グラフ
明治大学付属明治中学校
 

大学ホームページに後日、優秀作品や選考委員による講評を掲載予定です。

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