中学生、高校生を対象に武蔵野大学工学部数理工学科が募集する「数理工学コンテスト」。第6回となった今回は、全国から220作品の応募があり、そのうち18作品が入賞を果たした。

次代を担う中学生・高校生たちが栄えある受賞

数理工学の普及や数理工学教育の推進に貢献することを目的に開催されている「数理工学コンテスト」。今回は全国の中学校・高校から過去最多の220作品の応募があった。作品は、物理や化学、生物などの自然科学分野をはじめ、日常的な統計やシミュレーションなど、分野は多岐にわたり、中高生らしいアイデアが盛り込まれた研究が多かったことが印象的。そのなかで、最優秀賞1作品、優秀賞3作品、奨励賞5作品、選考委員賞4作品、ジュニア奨励賞5作品の計18作品が選ばれた。

授賞式は、新型コロナウイルスの感染拡大の状況に鑑み中止となったため、選考委員のコメントをお届けする。

選考の様子。応募作品は、数理工学科教員である選考委員のもとへ。すべての作品を順に評価していく。

選考委員評

 

武蔵野大学工学部数理工学科 学科長 高石武史

数理工学としてのものの見方

自然現象や数に注目した研究ばかりではなく、日常生活や学校生活から題材をとったもの、災害等の非常時の対応に注目したものなど、様々な視点から解決方法を考えている研究のレポートが集まりました。私達も、こんな見方があったのか、こんなとらえ方があったのかと、楽しく審査させていただきました。世の中には様々な要因が複雑に絡み合って簡単に解決できない事象も多く見られます。今回のように視点をいろいろ工夫すれば解決する道筋が見つけられるという経験を、皆さんのこれからの人生に生かしていただきたいと願っています。

 

 

武蔵野大学工学部数理工学科 教授 西川哲夫

作品の質が高くなり、参加校も大幅に増加した

今年は、モデル化と統計テーマのバランスが良く、作品の質はより高くなり多様なテーマの応募がありました。新規参加校も多く参加校数も大幅に増加していました。世の中のAIブームや政府のデータサイエンス振興策が浸透しつつあり、本コンテストの意義がより広く理解されてきているものと思われます。対象としては日常的な課題が多く、エスカレーター両側立ちの問題など移動に関連したテーマが多くみられ、物理的テーマや文化についてのテーマ等がありました。方法としても、シミュレーション、テキストマイニング、視線追跡装置等、高度な手法を活用した作品と共に、地道に統計をとり興味深い結果を導いた作品も多く見られました。是非、学んだ知識を実社会の幅広い対象に活かすことで、本物の知識へと育てていって下さい。

第6回(2019年度)受賞作品一覧

最優秀賞(1作品)
エスカレーター両側立ちにおける輸送効率と危険性の考察 
東京都立三田高等学校 2年 
優秀賞(3作品)
電車内での行動シミュレーション -もし全国の高校生が荷物を前に持ったら- 
広島大学附属高等学校 3年 
 
自転車の石跳ねに関する研究 
岡山県立岡山一宮高等学校 2年 
 
スマホのホーム画面におけるアプリ配置の最適化 
豊島岡女子学園高等学校 2年 
奨励賞(5作品)
ごみ受けの形状による排水性 
岡山県立岡山一宮高等学校 2年 
 
学校における物品移動の最適化 
金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高等学校 1年 
 
落下する花弁の運動について 
広島大学附属高等学校 3年 
 
サイコロゲームの数学 
関西学院高等部 1年・2年 
 
文章の「起・承・転・結」は1/4ずつか? 
明治大学付属明治中学校 2年 
選考委員賞(4作品)
人はどこを見ているか―視線を科学する― 
広島大学附属高等学校 2年 
 
ピンポン玉の頂点の変化をデータで捉える 
愛知教育大学附属高等学校 2年 
 
川崎市における開設不要型応急給水拠点の設置順序の最適解 
豊島岡女子学園高等学校 2年 
 
放射環状路の効果 
東京都立戸山高等学校 1年 
ジュニア奨励賞(5作品)
2.02秒の世界 
明治大学付属明治中学校 2年 
 
物体形状によるカルマン渦列の変化についての研究 
新ひだか町立静内第三中学校、新ひだか町立静内中学校 3年 
 
スムーズに改札を通るには 
光塩女子学院中等科 1年 
 
寒くなると自転車のペダルが重く感じる!? 
明治大学付属明治中学校 2年 
 
なぜ静岡県には快速がないのかを調べる 
静岡学園中学校 3年 

大学ホームページに後日、優秀作品や選考委員による講評を掲載予定です。

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