今年で3回目を迎える古事記アートコンテスト。ここでは、第2回高校生部門で受賞した作品を紹介するとともに、審査員からのワンポイントアドバイスを紹介する。(受賞者の学年は受賞時)
★11/30〆切 応募要項はこちらから!

特選

大國主神と白兎 半戸健太(東海大学付属相模高校3年)

 

【作品の説明】

因幡(いなば)の白兎(しろうさぎ)の場面を想像して描きました。大國主神(おおくにぬしのかみ)が襲われた白兎を蒲の穂で治療し、回復したところを抱擁しています。大國主神の悲しげな表情は白兎に同情し哀れみの気持ちを表現しました。彼の優しさを窺えるような絵に仕上げました。

そして、手前で小指を赤い糸で結ばれている人物は、白兎が恩返しに大國主神との結婚を宣言した八上比賣(やかみひめ)の手です。白兎が彼と彼女をしっかりと赤い糸で結ばれているように描きました。

【審査員講評】

全6人の審査員が、大国主神の慈愛に満ちた表情を高く評価しました。たくさんの応募作品の中でも群を抜いてインパクトがあり、一目見て印象に残る作品です。白兎の無垢さと赤い糸が作品にさらなる物語性を与えています。半戸さんのおおらかな画風、自分の世界を大切にしながら、基本や効果を学んで、たくさんの絵を描き続けてほしいと思います。

入選

集い 鈴木知慧(真岡女子高校2年)

 

【作品の説明】

部の友人が國學院大學に興味を持っていたことがきっかけでこのコンテストを知りました。作品に描いたものはすべて古事記の中に登場したものなのですが、読みながら、どんな配置にすれば一番しっくりくるか、試行錯誤を繰り返しました。絵具を使うことはもともと好きなので、色を塗るのがとても楽しかったです。自分の作品が評価され、とてもうれしく思います。

口誦撰録 村山凪沙(東海大学付属相模高校3年)

 

【作品の説明】

この作品は、私が太安万侶(おおのやすまろ)の視点となり、稗田阿礼(ひえだのあれ)が誦習したものを筆録している様子を描きました。なかでも私の好きな伊邪那岐(いざなき)、伊邪那美(いざなみ)の話、日本武尊(やまとたけるのみこと)の大蛇退治、豊玉姫(とよたまひめ)、山幸彦(やまさちひこ)の話を題材に、イメージを膨らませました。稗田阿礼の思い描いていた古事記の世界をあざやかかつ繊細な絵で描きました。

佳作

イザナギとイザナミの鬼ごっこ 福田晏那(宮崎日本大学高校2年)

 

【作品の説明】

黄泉の国から逃げ出そうとするイザナミをとらえようと黄泉醜女をコミカルにかきました。

 

天の岩戸隠れ事件 山本愛結奈(北海道芽室高校2年)

 

【作品の説明】

天岩戸(あまのいわと)は岩でできた洞窟であり、そこに太陽神である天照大神(あまてらすおおみかみ)が隠れ、世界を真っ暗にさせてしまいます。岩の扉を手力男命(たぢからのみこと)が開け放ち、天照大神が天岩戸から出てくることができた場面を描きました。

 

 

元始、女性は太陽であった 植田理紗子(横浜緑ヶ丘高校2年)

 

【作品の説明】

古事記に登場する女性(女神)の美しさを太陽にみたてて表現しました。中央上から時計回りに、スセリヒメ、タゴリヒメ、クシナダヒメ、タギツヒメ、アマテラスオオミカミ、イチキシマヒメ、アマノウズメ、ヤガミヒメをイメージしています。

 

審査員特別賞

希望のアマテラス 桑畑莉花(佐土原高校2年)

 

【作品の説明】

天岩戸神話を意識した作品です。世を明るく照らす希望に満ちあふれたような表情ができるように頑張りました。

 

 

 

応募者必見! 入賞へのワンポイントアドバイス

これまでの応募作品は、『古事記』上巻の神話、とりわけ天石屋(あまのいわや)・八岐大蛇退治(やまたのおろちたいじ)・稲羽の素兎(いなばのしろうさぎ)などのような、絵本や漫画、教科書でよく知られた場面を描いたものが多く寄せられました。そのため、取り上げられることの少ない場面、たとえば中・下巻のエピソードなどは、審査員の目に留まりやすいかもしれません。

絵画的な技法や工夫はもちろん重要ですが、『古事記』という作品をどのように捉えて表現するのかが評価の鍵となります。『古事記』の捉え方は、同じ場面を取り上げても人それぞれ違います。『古事記』のエピソードを読み、あなたが描き伝えたい『古事記』を表現することが評価のポイントとなります。

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