活躍する受賞者 

2014年度 高校生の部 優秀賞
愛知・名古屋大学教育学部附属高校3年 吉野 裕斗君

JICAエッセイコンテスト応募をきっかけに、はじめの一歩を踏み出してほしい

JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト2014で優秀賞を受賞した吉野裕斗君は、受賞翌年の2015年に1年間学校を休学し、一人で世界一周の旅に出た。アジア、アフリカ、南米、北米をまわり、訪れた国は計29カ国。国際協力の現場を自らの目で見てきた体験談とともに、エッセイコンテスト応募者へのメッセージをもらった。

─エッセイコンテストの思い出を教えてください。

1年生の夏休みにタイの山岳民族であるアカ族・ラフ族の村にホームステイし、そのときの体験をもとにして書いたのが、エッセイコンテストの応募作品でした。ホームステイの後、高校生国際ボランティア団体を結成し、活動の幅を広げていったのですが、その活動を文字にすることで、評価してもらいたいという気持ちもありました。賞をいただけたことは大きな自信になりました。

 

─世界一周を思い立った経緯は?

エッセイ応募の時期と前後して、2年生の秋に『世界一周』を思い立ちました。将来国際協力の仕事に就きたいと考えるようになっていたのですが、国際機関・企業・ジャーナリストなど、さまざまな仕事があるなかで、何が現地で本当に需要があるのか分からなかった。仕事によって進学すべき大学や学部も変わるとも考えたので、その前に世界の現状と国際協力の仕事を確かめようと決心しました。

 

─半年以上におよんだ世界一周を終えて、国際協力についての考えはどう変わりましたか?

現地の人たちを笑顔にして、自分も笑顔になりたい、という気持ちが強まりました。ただ、災害時など『無償の支援』が必要な場合もありますが、きちんと対価をもらうビジネス的視点が入った支援のほうが重要だと考えるようになりました。というのも、無償支援だと一時的な笑顔や依存性のある笑顔を作ることにつながりやすい、と感じたからです。フィリピンの訪問先で、路上生活する子どもにサンダルをあげて喜んでもらえたのですが、1週間後に訪れると今度は違う子どもたちから『僕にもちょうだい』とせがまれることに。もらった子ともらってない子でケンカになってしまう場面を目の当たりにして、そのとき『持続可能性のある支援』について考えさせられました。この例でいうと、やっぱり子どもに何かあげるよりも、その家族が収入を得られる支援を考えないといけないし、同様に地域が活性化しないといけないですよね。だから将来的には、現地に雇用を生むことで問題解決を図る仕事をしたいと考えるようになりました。

 

─エッセイコンテストの応募を考える高校生にメッセージをお願いします。

実は1年生のはじめのころは国際協力にそれほど興味がありませんでした。僕の場合は、タイのホームステイからすべてがはじまりました。はじめの一歩は人によって違いますが、エッセイを書くということは、その『一歩』になると思います。また、言葉や文字にする事で、自分の考えを整理することにもつながります。まずは、軽い気持ちでもいいから、多くの高校生に、はじめの一歩を踏み出してほしいですね。