もうすぐ文化祭シーズン。高校生活における大きなイベン トだけに、ぜひとも成功させたいものです。そこで、千葉工業 大学社会システム科学部プロジェクトマネジメント学科の田隈広紀准教授に、文化祭を成功に導く秘訣を伺いました。

田隈広紀准教授(左)

PMの手法は高校生活にも生かせる

「プロジェクトとは始まりと終わりがある活動で、この活動を、人、モノ、カネ、情報などをうまく活用して成功に導くための手法が、プロジェクトマネジメント(PM)です。製品やサービスの開発、企業や行政の仕組みづくりなど幅広い分野で活用されていますが、学校行事や部活動といった高校生の活動にも活用できるんですよ」という田隈准教授。それを聞いた福元さんは、早速「文化祭の企画を成功させる秘訣を教えてください」とお願いした。

「まずは、企画のコンセプトや目標を決めましょう。これを全員が共有しているとうまくいきます。次に、戦略を立てる。その際に有効なのがSWOT(スウォット)分析です。自分達の『強み』と『弱み』、自分達にとってチャンスとなる『機会』、障害となる『脅威』は何かを考え、書き出してください。ちなみに、機会と脅威は自分ではコントロールできない外的要因です」

例えばお化け屋敷を企画する場合、美術が得意なメンバーがいなければ、それが弱みになり、予算が削減されれば、それが脅威となる。「大事なのは、この4つを基に効果的で現実的な戦略を練ること。後はいつまでに誰が何をやるかを計画すれば、うまくいくはずです」

プロジェクトマネジメント学科では、こうしたPMに関する理論と実践を学び、チームの編成から目標達成に至るまでのすべての仕事を的確に運営する手法を身に付けていく。

プロジェクトの目的を共有しよう

予想以上に苦戦したブロックを使ったペアワーク

プロジェクトを進める上で特に難しいのが、チーム内のコミュニケーションだ。「例えばソフトウェア開発には、デザイナー、システムエンジニア、プログラマーなど多様な専門分野をもつ人が関わります。予算やスケジュール、品質などを守って目的を達成するためには、メンバー間の円滑なコミュニケーションが欠かせません」

コミュニケーションの難しさを体感するのにお勧めと紹介されたのがブロックを使ったペアワークだ。これは、一人が口頭で指示を出し、もう一人はそれに従ってブロックを組み立てていくというもの。学生の協力を得て福元さんもチャレンジ。だが、どの位置にどんな形のブロックをどの向きで置くかという指示がうまく伝わらず、予想以上に苦戦することに。

「実は、必要な情報を口頭で正確に、必要なタイミングで相手に伝えるのは難しいんです。だからこそ、伝え方に工夫が必要。最初に『これから何を作るのか=目的は何か』を伝えて共有しておくと、相手も自発的に、より速く効率的に組み立てる工夫をしてくれるはずです」という田隈先生の言葉にうなずく福元さん。「PM には、高校生でも『なるほど』と納得できることがたくさんありますね。早速活用したいと思います」

【取材を終えて】福元まりあさん(埼玉県・浦和ルーテル学院高等学校・3年)
 
 

 学校生活の中では、文化祭など、みんなを巻き込みながら一緒に何かを企画し、実施していく機会がたくさんあります。それらを円滑に進め成功に導くために、今回伺ったSWOT 分析などのプロジェクトマネジメントの手法はとても有効だと思いました。また、ファーストフォロワー戦略についてのお話がとても印象に残っています。チームをマネジメントする立場の人は、周りを俯瞰しつつ、ぶれない芯とチームのメンバーへの感謝と信頼を持ってチームをまとめていく必要があるのだと感じました。

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