【マナビ最前線】世界の中で日本を学び、「日本の、その先」を考える(東京外国語大学)<PR>


早津惠美子教授

東京外国語大学に2019年4月、新たに国際日本学部(設置申請中)が開設される。早津惠美子教授にお話を伺った。

2019年4月に東京外国語大学の3つ目の学部として開設される予定の国際日本学部では、私たちが暮らす「日本」を国際的な視野で学ぶことができる。「日本について一番よく知っているのは日本人だ̶̶まずは、そんな思い込みを捨ててほしいと思います」。そう話すのは大学院国際日本学研究院長の早津惠美子教授だ。「国際日本学部では、海外研究者の論文などから“世界から見た日本”への理解を深める授業を数多く用意します。世界の人々が日本をどう思っているのか、どう研究されているのかを知り、日本を客観的に捉え直すことで、世界に向けて日本を発信する力を身につけることができるのです」

日本をまるごと学びながら英語力に磨きをかける

それでは国際日本学部では、日本についてどのように学んでいくのだろう。研究フィールドは日本のすべて。「日本の政治・経済・社会・歴史」「日本文学・文化」「日本語学」「日本語教育学」といった多角的な視点で、日本を学ぶことのできる科目がそろう。「常に日本をまるごと学ぶという意識を持ちながら、興味関心のある分野の専門性を身につけてほしい。言ってみれば日本に関するジェネラリストかつ“自分が追究したい日本”のスペシャリストを目指す学部です」

約35人の教員の指導のもと、日本人学生45人と留学生30人が一緒に学ぶことも大きな特長だ。英語と日本語をコミュニケーションツールに、日本人学生は英語やその他の言語の、留学生は日本語の運用能力を高めながら、「日本」について総合的に学んでいく。

また、専門科目の多くが英語で開講される一方、日本人学生に向けた日本語の授業「クリティカル・リーディング」「ライティング・スキル」などを通じて、日本語運用能力の高度化にも力を入れていく予定だ。

日本人学生と留学生が協働で課題解決に取り組む

1・2年次の「協働実践科目」は、日本人学生と留学生が7~8人のグループに分かれてフィールドワークやプロジェクトに取り組む課題解決型の授業だ。「さまざまな文化的背景を持つ学生たちが話し合い、ときにはぶつかりながら協働することで、言葉の壁や意見の違いを乗り越え、学び合いながら一つのことをやり遂げる――そんな異文化体験から、多文化社会で生き抜くための力を身につけてほしいと思います」

なお、東京外国語大学では、夏・冬学期を利用した短期留学をはじめ、留学先での単位修得を目指す半年間~1年間の留学プログラムも充実している。「国際日本学部の学生には、できれば日本研究に力を入れている大学に留学してほしいと考えています。海外の大学で日本がどう教えられているか、学生が日本の何を研究しているかを知ることは、さらに日本を学ぼうという大きなモチベーションになるでしょう」

卒業後に想定される進路は、グローバル企業やマスコミ・メディア、観光・運輸業、国際機関、官公庁など。国内外で日本語教師などの教員になる道もある。「東京外国語大学には、もともと英語が得意な学生が入学してきます。なかでも国際日本学部は“英語を使って何かをしたい”という学生にぴったりの学部といえるでしょう」と早津先生。「世界全体が平和で幸福で平等で豊かになるために、日本人として何ができるのか。個々の立場でそれを考えることのできる人材を輩出できればと思っています」

海外の研究者による日本文学研究で日本を“再発見”する

SEN Raj Lakhi(セン・ラージ・ラキ)特任助教

 

 国際日本学部では、1年次で日本文学史を、2年次で日本の近現代文学を担当します。日本文学史では、それぞれの時代を代表する作品のワンシーンを1回の授業で1つ取り上げ、さまざまな角度から概要を学んでいきます。

 例えば「源氏物語」では、平安時代の貴族の生活や文化、価値観などの時代背景、作者の紫式部のプロフィールなどを解説。さらに物語のワンシーンを英語に翻訳したテキストと、海外の研究者による研究論文を照らし合わせることで、「源氏物語」が海外の研究者からどう見えるのかを検証していきます。ちなみに「源氏物語」の場合、海外の研究者の多くが注目するのは「ジェンダー」の問題。日本の研究者があまり取り上げないテーマです。授業では「源氏物語」をジェンダーの視点で読むとどうなるのか、そのことは現代の価値観とどう共通・相違しているのかをみんなで考えながら、ディベートやクリティカルリーディング(批判的な読み方)の力も身につけていきます。

この他、古今和歌集や新古今和歌集、近松門左衛門、滝沢馬琴など多くの作品を取り上げる予定です。この授業を通して、日本、そして自分を再発見してください。

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