今年で16回目を迎えた、中央大学の「高校生地球環境論文賞」の入賞者が
発表された。応募総数795通の中から最優秀賞に選ばれたのは、愛知県立時習
館高校1年の仲川晴斐さん。2016年12月9日に、同校を中央大学の入学セン
ター所長・商学部の清水克洋教授らが訪問。仲川さんに表彰状を授与した。そ
のときの様子をリポートする。
謎解きと発見の過程を読者と共有した受賞作品
毎夏、地球環境のための活動の一環として環境教育を実践することを目標に、中央大学が
募集をする「高校生地球環境論文賞」。12月には最優秀賞1名、優秀賞2名、佳作3名、入選20名、学校賞2校の受賞が決まり、各受賞者に喜びの報告がなされた。今回は大学で式を行うのではなく、受賞者のもとを大学関係者が訪れ、表彰するという形となり、最優秀賞の仲川晴斐さんの通う愛知県立時習館高校でも、仲川さんと母親、担任の近藤先生、教頭先生、校長先生が列席し、表彰状の授与が行われた。
受賞作品のタイトルは「渥美半島表浜海岸におけるウミガメ事情」。まずは、審査委員長
である同大学経済学部教授の田中廣滋氏の講評が読み上げられた。仲川さんの作品につい
ては、「ウミガメに対する活動の内容説明だけでなく、作者がどうしてこのような活動がウミガメのためになるのかを良く理解するために努力した点と、独自の問題の発見から行動にいたる過程が良く書けている」と評し、さらに論文の中で「地球環境というパズルの中からひとつずつのピースをとりあげてその関係を解き明かすという謎解きと発見の過程が、読者により共有される事が魅力となっていた。環境に関する問題提起だけでなく、取り組みの意義を読者に明確に説明できている点」が評価のポイントだったとした。
柔道部部長としても活躍 文武両道を目指す
仲川さんは、現在1年生。柔道部に所属し、部長も務めている。時間の取れる夏休みを利用し、約3週間をかけて論文を仕上げたそうだ。受賞について、「とにかくうれしい」と話す仲川さんは、小学校の頃から自分が書いたもので共感を得ることが好きだったという。
「今回は、幼い頃から勉強してきたウミガメについて書くことでチャレンジしようと決めました。まず、自分のウミガメについての知識を整理し、それでどういうことが伝えられるかを考えました。構成を立てる作業が一番大変でしたね。自分用のネタ帳を常に携帯していて、何かほかのことをしているときでも、アイデアが浮かんだらメモを取るようにしました。論文という形式は今回が初めてだったので、細かく注釈をつけていく作業も苦労した点です。自分の考えたことに賛同していただけたことがとても嬉しいです」と話す。
時習館高校は、SGH、SSHに指定されており、今後は理系の道に進んでいく予定だという
仲川さん。最後に、将来の夢を尋ねると、「興味を持つことがたくさんあって、うつりかわりがはげしいのですが、今は町のデザインに興味があるんです」と力強く語った。