2017年4月から、1学部1学科、3コース制として新たに誕生する芝浦工業大学の建築学部。新学部の特徴や独自の人材育成について、自らも建築家として活躍する堀越英嗣教授に話をうかがった。
3コース制を採用、
将来社会で役立つ実践的教育
自然災害の発生・少子高齢化・環境問題といった社会的課題が山積するなか、建築という営みも曲がり角にきています。これからの社会がどうあるべきか建築をベースに考えるとき、必要となるのは工学的な知識・技術を背景に芸術・科学・哲学を統合した建築学。この枠組みを実現するため、これまでの2学科1領域を統合・再編し「建築学部建築学科」を開設することにしました。
この学部では、建築という営みを大小のスケールで分けた「空間・建築デザインコース(SAコース)」と「都市・建築デザインコース(UAコース)」、そしてこれまでの建築学の枠には収まらない学びを体験できる「先進的プロジェクトデザインコース(APコース)」の3コース制を採用します。中でもAPコースについて少し説明しましょう。 建築というのは人々の生活を豊かにするための形・空間を作ること。同時に、それを使う人々の関係性をデザインすることでもあります。例えば地方の空き屋問題を解決するためのプロジェクトでは、空き家をリノベーションする以前に「誰に使ってもらうか」「どうすれば使ってもらえるか」を考えることが必要で、それも建築の一部であるという考え方です。とはいえ従来こうしたプロジェクトのプランニングは文系の人材が担うことが多く、建築を学んだ人材は技術的な側面からこれを支えていました。APコースで育成するのはその両方ができる人材、いわば“建築技術をもったプランナー”です。卒業後は行政やコンサルティング会社での活躍が期待できるほか、起業などの可能性も大きく広がっているといえるでしょう。
豊洲キャンパスで4年間一貫教育
都心ならではの建築学を学ぶ
これら3つのコースを入口に総合的に建築を学びながら、3年次のプロジェクトゼミ、4年次の卒業研究は、所属するコースにかかわらず全研究室(10分野29研究室)から選択が可能。学びを深めたり展開したりしようとする自発的な決断を受け止めるフレキシブルな学びの体制が整えられています。
一方、急速に開発が進むベイエリア・豊洲キャンパスでの4年間一貫教育もメリットです。川を渡れば門前仲町や月島などの下町が広がり、銀座などの都心部も近い。そんな立地を生かして、防災を含めた都心ならではの建築課題に取り組んでほしいと願っています。
建築は人に喜ばれる手応えのある仕事です。人々のより豊かな暮らしを支えるため、ぜひ建築学部に入学してください。