7月25日、東京・千代田区の日経ホールで開催された第17回日経エデュケーションチャレンジ(主催:日本経済新聞社、以下エデュチャ)。企業で働く大人たちが、自らの仕事を紹介しながら「働く楽しさ」を伝える授業を行った。約300人の高校生が参加した今年のエデュチャをリポートする。
「好きなことを見つけよう」 まずは校長が熱いメッセージ
多くの高校生にとって、「自分が仕事をする」のは先の話で、まだイメージが湧かないかもしれない。毎年夏休みに行われている「エデュチャ」は、そんな高校生たちに現役バリバリの社会人が自らの仕事を授業形式で紹介してくれるイベントだ。今回は、計8つの企業が参加し高校生に授業を行った。
まず始業式に登場したのは校長を務める一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授・同研究科長の一條和生先生。AI(人工知能)が当然のように使われる時代が到来することを伝えた上で、「人間には創造する力がある」と強調。そして、「ワクワクすることに情熱を燃やし、自分が好きなことをやり続ける。これは、AIの時代になろうとも、人間がずっとやっていくこと。だから、好きなことを見つけよう」とメッセージを送った。その後、8人の講師が紹介され、授業に向けての抱負を語った。
グループワークを交えた授業で活気あふれる教室
始業式に続き授業が始まった。各企業を代表する講師たちは今回のために用意した特別なテキストを使用。講師陣の熱に引き込まれ、次第に高校生の集中力も高まっていく。いずれの授業も大いに盛りあがった。
授業終了後は、参加した高校生と講師たちによる交流会が行われ、講師に積極的に話しかける高校生が多数見られたのが印象的。「1人で参加したのではじめは不安だったが、他校の人たちと触れ合うことができて良かった」といった声もあった。その後、参加者全員が修了証を授与され、熱気あふれた夏休みの一日が終わった。
各企業の授業内容
一般消費者ではなく企業を相手に取引をし、ニッチな電子材料市場でシェアNo.1の製品を擁する企業。そんな知られざる同社の主要製品を紹介。
脳科学やゲームを通じて、誰もが起こしがちなヒューマンエラー(うっかりミスや思い込みによる間違い)のメカニズムをわかりやすく解説。
「とっつきにくい」「難しい」というイメージがある「法律」。動画の投稿など、高校生に身近な話題を例にした法律に関するクイズを出題。
同社を経営する社長の木下さんが講師。ベンチャー企業としてゼロからスタートし、8年半で売上138億円に成長させた自らの体験談を熱く紹介。
黒人女性に人気No.1のエクステンション「カネカロン」。現物のサンプルも用いながら、アフリカでの取り組みやアフリカ女性の今を伝えた。
森林・緑化研究センター長の中村さんが取り組んでいる、森や木を後世に残すための研究を紹介。高校生も顕微鏡をのぞき、その一端を体験。
「落としても壊れない腕時計」として世界的ブランドとなったG-SHOCKの開発者・伊部さんによる開発秘話。製品の強度を試す実験を交えた授業となった。
★優秀リポート全文は公式サイトで公開中!
授業のより詳しい内容は日経エデュケーションチャレンジのホームページで公開中。また、授業を受けた高校生たちは、後日「自分の将来と社会をつくる、私の思い」をテーマにリポートを提出。そのなかから、優秀賞4 人が選ばれた。
高校生記者が感じた「エデュチャ」はココが良かった、すごかった!
参加者
芦刈 深紗さん(法政大学女子高等学校)
徳山 夏音さん(カリタス女子高等学校)
柴田 亮輔くん(早稲田大学本庄高等学院)
矢嶋 春花さん(立教女学院高等学校
Keyword1 「グループワーク」
矢嶋さん 私が受けた授業ではグループワークが多く、学年が異なる人たちともたくさん話し合いました。
芦刈さん 私が選択した新日本法規財団では、一つの事案に対して法的知識を用いて解決するというグループワークを行いました。人によって解釈が異なり、法に携わる仕事の難しさを実感しました。
矢嶋さん グループワークはとても大事なんだと思いましたね。
Keyword2 「情熱」
柴田くん 私が参加した住友林業の中村さん、カシオ計算機の伊部さんのいずれからも、仕事に対する情熱を感じました。情熱を持って何かに打ち込むことが成功を引き寄せるということを学べたと思います。
徳山さん これからの社会は、『Power of Dream』、つまり社会のために自分の思いを持って未来をつくるための力が重要だと言うことを学びました。
Keyword3「出会い」
矢嶋さん 交流会では授業で仲良くなった子とお菓子を食べながら話したり、和気あいあいとして賑やかな雰囲気でした。高校生同士もそうだけど、社会人の方からお話をうかがう機会はなかなかないので、来年以降はもっとたくさんの人が参加してくれたらいいとおもいます。
徳山さん 私が授業を受けたエコスタイル、カネカのいずれも、仕事で成果を出すには「思い」「考え方」「仲間」「能力」が大事なことを学びました。高校生活や大学生活にも同じことが言えると思うので、今からでも実践してみようと思っています。
グループに分かれ、講師・高橋さんの担当分野である「建築」の視点から「10年後の住まい」について意見を出し合い、それぞれのまとめを発表。
大京グループ 高橋 賢司さん