神奈川県産学チャレンジプログラムに挑戦する國學院大學経済学部の学生たちの活動をシリーズで紹介していく。今回登場するのは、経済学部秦ゼミに所属する3人のチーム。10月に行われる企業での審査を前に、これまでの活動を振り返ってもらった。

課題解決型ビジネスコンペで 生きたビジネスの世界を知る

「神奈川産学チャレンジプログラム」とは、神奈川県内にキャンパスをもつ大学と(社)神奈 川経済同友会の会員が所属する企業・団体が協同し、学生の人材育成を行う産学連携の課題解決型コンペティションだ。企業が出すテーマに対し、学生が主体となって、チームで取り組んでいく。レポートを作成し、一次審査を通ったチームはプレゼンテーションを行い最優秀賞・ 優秀賞を競う。第10回を迎える今年は、30企業が参加し、38テーマが提示された。

同学は、第2回から経済学部ゼミ内のチームで参加を推奨してきた。過去には優秀賞の受賞経験もあり、学生にとっては企業との関わりの中、生きたビジネスの世界を知るよい機会となっている。

今回紹介する秦ゼミは、企業金融やベンチャーファイナンスを学ぶゼミ。プロジェクトの参加について秦信行教授はこう語る。

「私のゼミでは、課外活動として任意での参加ですが、3~4人のチームを組み、今年は全員参加しています。プロジェクトで課されるテーマは、マーケティング関連が多く、実は私のゼミにとっては専門外。学生が学外の大人とふれ合うことは貴重な経験ですし、チームで活動することで学生が互いに親しく なるよい機会でもあります」

朝ドラ「梅ちゃん先生」の町蒲田の町おこしプランで活動

リーダーに山口浩司さんを据えたチームは、3人で活動中。 彼らに与えられたテーマは㈱京急アドエンタープライズによる “京急線沿線「品川・蒲田・羽田」エリアの「町おこし」をねらったイベント事業案、及びPRプランを立案してください”というもの。6月に企業側の説明を受け、活動を開始した。

まず資料集めとヒアリングのために、大田区役所と区の産業支援の拠点となる大田区産業プラザを訪ね、これまでどんな町おこしをしてきたのか、どんな特長をもった地域なのかを調査した。

「大田区には約4,000の工場があり、『モノづくりのまち』であることがわかりました。そこで、ただイベントで町おこしをするのではなく、もっと違った視点からのアプローチを考えることができました。独創的なアイディアを出すため、毎週アイディアを持ち寄りました。その結果、自分たちの専門であるベンチャーを軸として、まち工場の人・区役 所・学生・京急グループをつなぐプランを今話し合っています」 と山口さん。

チームで活動する難しさについて、矢野公香さんは「スケジュールを合わせるのが大変ですが、それぞれの考え方の違いによって気付かされることも多く、勉強になります。たとえば、私と吉羽君は思いつきですぐに意見を出しますが、山口君はそれをバッサリ(笑)。継続的に続けられる現実的な意見を出してくれます」と話す。

「2人のアイディアはユニークで。そのおかげで多方向から考えられました。それに僕は、内向的で人と話すのが得意な方ではありませんでしたが、アポイントを取ることから勇気を振り絞り、一歩踏み出すことでいろんな経験ができるのだと知ることができました」とは山口さん。

短い間に、チームとしてまとまり、各自成長する機会を得た山口さんチーム。今は、10月のレポート提出に向けて、プランをまとめている最中だ。独特な着眼点で10月の審査に挑む、その結果に期待したい。