シャネル、クリスチャン・ディオール、ジバンシー……。これらに代表される、ラグジュアリー・ブランドの世界、アメリカのアパレルメーカー中心に発展してきたビジネス手法。さらには、米国の衣料小売店GAPや日本のユニクロ、スペインのZARAといった製造小売型のブランドが人気を呼ぶなど、ビジネスモデルが複数あるといわれるファッションビジネス分野――。

明治大学商学部では、日本ではまだ開拓しきれていないといわれるこのファッションビジネス分野に着目し、実践的な教育を4月から本格的にスタートさせた。

「これまでファッションビジネス分野の人材育成はデザイナーや、デザイン画をもとに型紙を引くパタンナーの養成といった、専門学校で技術や技能を磨く教育がほとんどでした。しかしパリ、ロンドン、ミラノ、ニューヨークに東京を加えたコレクションが5大コレクションと称され、ユニクロが世界に進出するなどファッションビジネス分野は、自動車産業やエレクトロニクス産業同様に、日本を代表する産業としての側面を持ち始めてきています」

商学部商学科長を務める小川智由教授はこう説明。「ファッションビジネス分野はまた、人々のライフスタイルや価値観という生き方の根源にかかわる分野であるだけに、時代を先取りして新しいものを生み出す究極の分析力・企画力が求められる分野でもあります。商学部で育てたいのはこうした能力を身につけ、デザイナーやパタンナーといったスペシャリストを統合して新しいビジネスを創造する……。そんなファッションビジネス全体を統括できるゼネラリストなのです」と続ける。

 

それだけに教育内容は非常に充実している。

まずは講義課目「ファッション・ビジネス論A・B」。次いで「特別テーマ実践科目」や「特別テーマ研究科目」。「前者は企業や地域社会と連携するフィールドワーク型学習で、例えば総合ファッションアパレル企業のワールドなどと連携して、自分たちで調査し企画立案し実際に新ブランドを開発するなど、より実践的に学んでいきます。後者は教員の専門領域に関する高度な内容について、学生たちにわかりやすく学んでもらうものです。ちなみにここでは中国・上海の東華大学服装芸術設計学部・楊以雄客員教授による集中講義『アジアのファッション・ビジネス』も予定されています」(小川教授)

 

その他にも、実際のファッション関連企業の要職にある方々が経営戦略やマーケティングの実例などについて講義する学部間共通総合講座「ファッションビジネスの実際」。「さらにはシャネル代表取締役社長のリシャール・コラス氏による、6回にわたる特別講演シリーズ『ラグジュアリー・ブランド論』など非常に充実した内容です」と小川教授。昨年11月にはイギリス、フランス、中国、オーストラリアの大学から計5名の研究者をパネリストとして招き「ファッションビジネス教育のグローバル展開」をテーマに国際シンポジウムも開催した。

「これらに加えて9月と3月にはパリの協定大学に、約2週間短期留学する『フレンチファッション・プログラム』なども用意しています。本学のファッションビジネス関連の学びで培った力はファッション業界だけにとどまらず、それ以外のどんな分野に進んでも通用します。ファッションを切り口にビジネス、さらにはその奥にある伝統や文化も含めて、広く深く学びませんか?ファッションを通してビジネスを学びたい!という高校生を待っています」と呼びかける。