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高校生新聞の人気企画「マナビ最前線」と明治大学のコラボ企画「明治のマナビ」では、さまざまな学部の教授陣の研究室を訪問し、今イチオシの学びを紹介しています。

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来年度からスタートする2専攻体制でカリキュラム再編

理工学部電気電子生命学科 波動信号処理回路研究室 和田和千准教授

「電気電子」と「生命」。一見、異なる性質のものが学科の名称に並ぶ。その意味について和田先生は丁寧に教えてくれた。

「最近、私たちの身の回りには電池を入れて動くものが多いですよね。その中身には電気電子の知識が必要で、かつ各部品の技術の集大成で作られます」と話すのは同学科の電気電子系で教鞭をとる和田和千先生だ。

一方、医学や農学の分野でも、電気電子が必要な医療機器や計測機器が使用される。「電気を利用することで、生命に関わる医療機器や話題の植物工場など、これまで無関係と思われた分野においても貢献できます。つまり、電気や生体を共に学ぶことで、より大きな研究につなげようというのが本学科名の意図と言えます」。

2015年4月には、「電気電子工学専攻」と「生命理工学専攻」の2専攻体制となる。それぞれ学問分野の連携が期待される同学科だが、必要とする知識に違いがあることは否めない。

「電気電子系は自動車産業や情報通信、さらに医療や農業分野の電子機器など裾野が広く、どの分野にも通用する多くの基礎知識が必要となります。一方、生命系であれば、脳波や細胞、タンパク質など生命に関わる知識が多く求められます。そこでカリキュラムを再編することになったのです」。

新しい体制で、さらに充実した研究活動に期待ができそうだ。

電化製品に搭載されている様々なセンサーの正体

和田先生の研究室は電気電子系で、先生自身は電子回路を中心とした研究を行ってきたそうだ。私たちの身の回りの電化製品には、光や電波、音、温度や圧力などさまざまな物理現象を捉え、信号に変換させるセンサーが搭載されている。「そのセンサーから出てきた微弱な信号をどうやって増幅(大きく)させるかという研究をしています」と先生。

例えばデジタル体温計には、熱に応じて発生する電圧が異なる温度センサーという小さな部品が入っている。そういった電圧の大きさ(=信号)をどう正しく読み取るかが重要だ。そのための処理として増幅が必要なのだが、「その働きをするのがトランジスタという数万分の1㎜の部品で、一つの製品に数千万個ものトランジスタが使用されます。つまり『トランジスタの上手な使い方』が私たちの研究と言えるでしょう」。

同学科では、3年次から研究室に配属されるが、実際に活動が始まるのは後期から。和田先生の研究室では、3年次には実際に簡単な技術を身につけ、4年次は、個人の知識や技術に合わせたテーマを設定し、卒業研究を行う。昨年の3年生は、「増幅回路」「FMワイヤレスマイク」「マイクロ波フィルター」「ワンセグチューナーを利用し航空機情報を取得する回路」の4つの電子回路を順番に製作。

「4つ目は、飛行機好きの私の趣味で、ちょっとしたお遊びですが…」と照れ笑いする和田先生だが、そこにはちゃんとした狙いがある。普通科出身で工業技術に不慣れな学生たちが多い中、「電子回路っておもしろい」と思ってもらいたいと話す和田先生。また、机上の知識と実際の技術を結びつける狙いもあるという。

「来年度の入学者は、2専攻のうちどちらの専攻を選んだとしても電気回路、電子回路、電気磁気学などは、いずれも必ず学びます。物理が苦手だと入学後に苦労するので、今からしっかり学んでおいてくださいね」と和田先生は、高校生に向けてアドバイスをくれた。

先輩に聞く

網野賢太さん(4年)(神奈川県立生田高等学校出身)

 

子どもの頃から機械の中を見るのが好きで、いらなくなった携帯やテレビなどを分解していました。機械の中には細かい部品がたくさんあって、そんな小さなもので動く仕組みがおもしろくて。やがて自分で回路を設計してみたいと思い、この学科に進学しました。現在、卒業研究で外乱を取り除くためのフィルターに関する研究を行い、パソコン上でシミュレーションしています。思うような結果がなかなか得られませんが、その過程もまた楽しんでいます。苦しんだ分、思い通りの結果が得られた時の喜びが大きいですから。将来はアナログ回路の設計者を目指しているので、大学院で研究を続けるつもりです。受験生は、まずは大学にどんな研究室があるのか調べてみてください。電気電子生命学科は研究室が多く、きっとやりたいことが見つかるはずです。

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