新設の学校活動部門などで力作が入賞
國學院大學・高校生新聞社主催による第10回「地域の伝承文化に学ぶ」コンテストの表彰式が2014年12月7日、同大学渋谷キャンパスで開催された。最優秀賞に選ばれた沖縄県の生徒をはじめ、全国各地から入賞者たちが集まった。
國學院大學は創立132年の歴史があり、かつて柳田國男や折口信夫といった民俗学の先駆者も教えていた。「日本を学ぶ」教育を実践しており、このコンテストは高校生に地域研究を発表する機会を持ってもらうとともに、同大学が所有する伝承文化に関する資産に触れ、さらに研究を進めてもらうことを目的に開催。
10回目を迎えた今回、部門を「地域文化研究部門」と「地域民話研究部門」に再編し、また「学校活動部門」を新設した。応募は団体・個人合わせて634点あり、厳正な審査の結果、入賞者が決まった。
「自分の足で地域を回る」姿勢を評価
表彰式では冒頭、赤井益久学長があいさつ。日本の社会や家族のあり方が変化していることに触れたうえで「そうした中でも地域に根差した伝承文化は、日本の個性や特色を支えている」と強調した。また、「伝統と創造」「個性と共生」「地域性と国際性」のそれぞれの調和を図ることが國學院大學の使命であることを紹介。「皆さんの研究活動は本学の理念ともつながる」と話し、「作品を読んで、それぞれの地域に生きる伝承文化の大切さを痛感した」と入賞者を称えた。
来賓祝辞に続いて、赤井学長より入賞者たちに表彰状を授与。その後、上位入賞した生徒たちが、研究に取り組んだきっかけやプロセス、成果などについてプレゼンテーションを行った。
講評ではまず、小川直之教授が全体を総括。評価ポイントとして「地域に寄り添いながら、あるいは地域社会の一員として何かを調べ、取り組むこと」を挙げた。そして実際、優秀賞などについて「自分の足で地域を回ったり、インタビューを行ったりしている」と現場に出向く姿勢を高く評価。新設の学校活動部門に関しては、「みんなで何かひとつのことに取り組むことにより、今までの認識がどう変わったか、それを示してほしい」と、来年度のさらなる応募への期待も込めて話した。続けて各部門の審査員が講評を行った。
表彰式終了後は、若木タワーの有栖川宮記念ホールで懇親会を開催。入賞者たちは上階からの眺めも楽しみながら、和やかな雰囲気で語り合った。
最優秀賞はレポート用紙約400枚の大作
今回、地域文化研究部門(個人)の最優秀賞と同時に折口信夫賞も受賞したのが、沖縄県立首里高校3年の伊良波賢弥さん。小学生のころから沖縄文化に興味を持ち、中学時代からは沖縄各地の祭祀を調査してきた。その中で多く見学してきた「綱引き」に焦点を当てて、離島も含めた各地で聞き取り調査などを行い、収集した膨大な資料から比較検討を加えてレポートを作成。「沖縄・シマジマの祭礼〜綱引き儀礼を中心に〜」のテーマで、A4レポート用紙で400枚近くとなる大作をまとめた。
審査員が「大変感動的」と絶賛するほどで、群を抜いての受賞。伊良波さんは受賞を喜びつつ、「綱引きだけではなく、芸能に関する疑問などもいろいろあります」と、尽きない探求心について語った。今後は地元の大学に進学し、沖縄の祭祀や芸能に関する研究をさらに深めたいと考えている。
学校活動部門優秀賞は2校とも伝統産業の研究
新設の学校活動部門では、滋賀県立湖南農業高校園芸工学科園芸バイオ班と、長野県の上田西高校ECCが優秀賞を受賞した。湖南農業高校は友禅染の下絵に使われてきた「アオバナ」、上田西高校は「上田紬」についてと、ともに伝統産業に着目した研究の成果をまとめた。
また地域文化研究部門(団体)では、静岡県立三島北高校郷土研究部が「三嶋暦」、岐阜県立益田清風高校地域研究・社会探求チームが「朴葉寿司」についてまとめ、いずれも優秀賞を受賞。さらに今回、民話創作から変更となった地域民話研究部門(個人)では、福島県立小野高校1年の松本朱音さんが優秀賞を受賞したほか、浦島太郎にまつわる伝説などが入賞した。
【「地域の伝承文化に学ぶ」コンテストに関するお問合わせ先】
高校生新聞社 コンテスト係
TEL.042-724-2750 FAX.042-724-2710 E-mail:contest2014@sclpa.jp
コンテストの結果は國學院大學のHPからもご覧いただけます。 http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/cotest.html
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