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- 【最優秀賞】
- 伊佐 綾乃 (沖縄・興南高等学校 2年生)
- 風車混ざることなき色ふたつ
- 最優秀賞の受賞コメントは近日公開!
- 路面の鯨幕蝉の翅ひとひら
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受賞者コメント
このような素晴らしい賞を頂き、ありがとうございます。光栄であると同時に、とても驚いています。
このコンテストの短篇小説部門に応募しようと考えてチラシを見た際、俳句部門もあることを知り、ちょうどその頃創作していたこの作品も応募してみようと思いました。
この作品は、夏休み中に部活動のために登校し、帰り道で見た光景が印象的だったため創作したものです。夏の終わりに特有の寂寥感を込めました。「鯨幕」で、横断歩道の白線とアスファルトの対比や、それを生み出す南中した太陽の強い日差し、蝉の死を表現しました。また、薄く硬質なイメージのある「翅」に対して柔らかな「ひとひら」を使うことで、蝉の翅の硬さと脆さ、軽さ、蝉の命の儚さを表しました。「鯨幕」という言葉を含めることはすぐに決めたのですが、それ以外の部分の表現がなかなか思い浮かばず苦労しました。「ひとひら」という言葉を思いついた時が最も楽しかったです。これまであまり俳句を創作したことはなかったのですが、今回その楽しさに気付くことができました。
自分の感じたことや思っていることを気の済むまでこだわって形にできるところ、自分で世界を作り上げられるところが創作活動の魅力だと思います。創作する際は言葉の表記にこだわっています。同じ言葉でもひらがな・カタカナ・漢字では受ける印象が違いますし、漢字によっても意味に差があり、奥が深いです。普段から、思いついたアイデアや引っかかった単語などを記録するか、覚えておくようにしています。ふとした瞬間にそれらがつながって面白いものが生まれることがあるので、ぼーっとする時間を大切にしています。スマートフォンのメモ帳機能でも記録することができますので、印象に残った単語や思いついたフレーズを保存しておくことからやってみると、気軽に楽しく創作活動が始められるかと思います。 - 柳井 仁 (神奈川・慶應義塾湘南藤沢高等部 2年生)
- 夏深し祖父の机の露和辞典
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受賞者コメント
優秀賞という素晴らしい賞を頂くことができ、とても嬉しいです。
国語の授業で先生が紹介してくださり、応募したい作品があったため、このコンテストに応募しました。夏休みに亡き祖父の部屋で、祖父が使っていた露和辞典を手にした時にイメージが湧きました。「露和辞典」という言葉に、重み、深みを感じました。また、「夏深し」という季語に思いを託しました。どの季語が自分の俳句のイメージを最も引き立てるか、考えをめぐらせました。苦労した点は、自分の思いが伝わりやすい言葉や語順を選ぶことです。句を作ること自体、とても楽しむことができました。
俳句を意識することで、日常の何気ない物事もさまざまな視点から捉えることができ、世界が広がりました。自分の感情、感動を他人に伝えられることが創作活動の魅力だと思います。特に俳句は、自分が思い描いている情景だけでなく、音や香り、感触など全ての感覚をわずか17音で表現するため、より研ぎ澄まされた言葉で感動を伝えることができると思います。
普段過ごしている中で、「綺麗だな」「面白いな」「不思議だな」と思ったことなどをメモするようにしています。まずは感じたことを素直に言葉にすることが大切だと思います。また、自分以外の作品に触れると新しい視点を得られるので、仲間と句会をしたり、句集や歳時記を読むようにしています。俳句の番組も、俳句を身近に感じられるよいきっかけになると思います。 - 【佳作】
- 武藤 理央 (群馬県立高崎女子高等学校 1年生)
- 黒髪をやはらかに結ふ花の雨
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受賞者コメント
今回はこのような素晴らしい賞をいただくことができてとてもうれしいです。ありがとうございます。日頃の部活動での取り組みが今回の結果となって表れたと感じるのと同時に、ご指導してくださっている先生や先輩方のアドバイスが今回の結果に繋がったのだとも感じ、とても感謝しています。
学校の掲示物にこのコンテストが載っていて、日頃から創作活動を行なっているため自分の作品を色々な人に見ていただきたかったため応募させていただきました。
この俳句はコンテストに応募するために作ったものの中で1番気に入っている俳句です。もともとは違う季語を使い、織姫を想像して作った句でしたが、コンテストのために推敲していくうちに、もともとの句とは全く異なった句になりました。もともとの句と同じなのは上五の「黒髪を」だけです。「やはらかに」や「結ふ」といった、表記にハ行を含む旧字体にすることで「柔らかい」というイメージが強まったと感じています。私は表記ミスが多いので今回は表記ミスがなくてよかったと心から安心しています。
普段は多作を心掛けて創作活動を行っているので一つの作品に時間をかけることはほぼありません。しかし、今回時間をかけて推敲した作品が賞をいただけたことで時間をかけて創ることの大切さに気が付きました。
私は多作をすることが上達するために重要なことだと思うので、週に5句作ればいい場合も毎日5句以上、週では25句以上作るようにています。私は高校で文芸部に入部し、散文は上手に書けないことに気付き、俳句に興味があったため俳句を始めました。俳句は始めるのも作るのも詩や散文と比べて簡単だと思うのでおすすめです。 - 原田 晋之介 (長崎・長崎南山高等学校 3年生)
- 終列車言葉交わさず賢治の忌
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受賞者コメント
私は、中学生の時から俳句の創作活動を行っています。多くのコンテストに応募してきましたが、入賞すら掴めない状態でした。自分が、秀逸な俳句を創作できないことが悔しく、努力し続けてきました。今回の受賞はその努力の賜物だと思います。これを機により、活発な創作活動にしていきたいです。
自分の俳句をよりレベルアップさせたい。どんな俳句が美しく、皆に受け入れられるかを知るために応募しました。私は、高校生になって改めて、銀河鉄道の夜を読みました。ジョバンニとカムパネルラが列車の中で会話をするシーンを読んでいて、私の思い出が想起されました。
高校1年生の秋、人生で初めて、友と終電に乗りました。その友とは、家が遠く、学校も違うため、会うことはほとんどありません。だから、話しておきたいことは、たくさんあるはずなのに、寂しさからか話せない。けど、話してなくても、心で言葉か何かを交わせてる気がする。その複雑なシーンを俳句で表しました。
工夫した点は終列車という寂しさと、友という明るい存在の対比です。よりイメージしやすいようにするために賢治の忌を使いました。この俳句の創作にあたって苦労したことはありません。ですが、この受賞までの道のりまでがとても長く、苦労したことだと思います。楽しかったことは自分の想像力を高めれたことです。自分の成長を感じられたのが楽しかったです。
今回の作品は自分でも納得がいく作品でした。この作品は自分の想像力を最大限に生かしたものだと思います。自分の成長を感じました。この、創作を通して、自分の想像力を向上させていこうと思いました。
自分の個性、人生、感性を17というくくりの中で表現できることが美しいと思っています。また、自分の人としての成長になることも創作活動の魅力だと思います。複雑な感情を人生の中でいくつも経験してきました。その複雑な感情を紐解くことで、初めて人としての成長ができ、深みが出ます。複雑な感情を紐解く機会をくれるのが創作活動です。
創作のポイントとして、今日は何の日なのかということをよく、調べます。祝日をはじめとし、文学忌や、何かの記念日、悲惨な出来事が起きた日。これを胸に刻みながら、その日を過ごします。
創作活動を始めようとしている人へ、きっと、見えないものが、見えてくるはずだと思っています。一度経験してほしい。この経験はあなたに深みを与えます。諦めないで、やり続けてほしいです。 - 塚本 凛 (埼玉県立浦和第一女子高等学校 2年生)
- 「霹靂神停電とシャンプーの甘味
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受賞者コメント
まさかこのような賞をいただけるとは思っていなかったので驚いていますが、とても嬉しいです。ありがとうございます。
夏休みの課題の選択肢にこのコンテストがあり、普段から俳句に関するテレビ番組をよく見るので俳句の分野で応募させていただきました。
今年の夏は雷雨が多く、私の住んでいる地域では何回か停電しました。そのうちの一回は私がお風呂で髪の毛を洗っている時に起こりました。咄嗟の出来事にびっくりして見えなかったこともありシャンプーが私の口の中に入ってしまいました。その時初めてシャンプーの味を知り、案外甘くておいしいのだなと感じました。その出来事をそのまま詠んだ句です。
学校の帰り道にもっとしっくりくる季語や言葉はないかぼんやり考えていたとき、これだと思うものを自分の中で見つけて嬉しくなりこれが創作の楽しさだと感じました。こんなに日常生活の中で一つ一つの言葉と真剣に向き合ったことがなかったので、限られた音数の中で相手に伝えることの難しさやおもしろさに触れる貴重な経験になりました。
俳句に関するテレビ番組をよく見るので俳句に触れる機会は多かったのですが、興味はあったものの自分で詠んだことはありませんでした。今回のコンテスト応募をきっかけに初めて自分で俳句を詠み、人の俳句を鑑賞するだけでは分からない俳句を詠むことのおもしろさを知ることができました。
日常の中で題材にしたい出来事はないかアンテナを張ることが大切だと思います。意識を変えると題材の幅が広がるし、なにより普段は見逃しているような小さなことにも目を向けるようになるので人生が少し豊かになる気がします! - 本田 七菜 (熊本県立熊本高等学校 3年生)
- 秒針もぬらぬら動く炎天下
- 西森 結海 (大阪・関西大学第一高等学校 2年生)
- 赤本とリップクリーム冬隣
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受賞者コメント
受賞の知らせを聞いたときとても驚きました。自分の作品が選ばれたことに感激しています。創作していたところを見ていた母も大変喜んでいました。この受賞を励みにまた俳句の創作を続けていきたいと思います。
昨年、学校で俳句を作り応募する授業があり、入選することができました。俳句の創作はとても楽しく、またコンテストに応募してみたいと思いました。応募できるコンテストを調べていく中でこちらのコンテストを知り、応募しようと思いました。
いろいろな俳句や川柳の応募作品を創作する中で、「受験」がテーマのものがあり、受験生の気持ちになって俳句を創作していました。秋が終わり冬が近づく頃、受験生にとっては本格的な受験の追い込みが始まります。寒く厳しい冬が来る心構えと、長く厳しい受験の日が来る心構えを重ね合わせ、赤本とリップクリームを目の前にいざ厳しい冬へ…という受験生の思いを詠んだ句です。
中高一貫校で、受験は小学生の時以来経験がないので、受験生の気持ちになるのは少し苦労しました。受験生を表す冬のアイテムを何にするかは工夫した部分かなと思います。リップクリームにすることで女子高生の冬への準備が表現できたかなと思います。いろいろな言葉を思い浮かべ、五・七・五で表現することがとても楽しかったです。また、季語選びの難しさを感じました。まだまだ季語の知識はないので、創作をしていく中で学んで知っていきたいなと思いました。季語を知り創作の幅を広げていきたいです。
創作活動は素敵な言葉や、いい響きのフレーズがあると、俳句に使いたいなと日頃から思ったり考えたりするのが楽しいところです。素敵な言葉や、いい響きの五文字や七文字の言葉を見つけるとメモしています。あと、このシチュエーション俳句になるかも!と思ったらメモしたりしています。難しい知識がなくても創作できると思うので、言葉遊びのように創作すると楽しいと思います。 - 【入選】
- 岡本 龍太郎 (兵庫・灘高等学校 3年生)
- 秩序無き祭りの後の蝌蚪の水
- 平野 直太郎 (岡山県立岡山朝日高等学校 2年生)
- 針金のまつすぐならぬ暑さか
- 佐藤 拓智 (東京・海城高等学校 2年生)
- 「人魂のポポポポポポと春の闇
- 野村 颯万 (愛媛県立今治西高等学校 2年生)
- 星月夜母のにほひのフルートは
- 田村 謙悟 (兵庫・灘高等学校 3年生)
- 掃除機のホースのかたさ涼新た
- 岩田 侃大 (鳥取・湯梨浜学園高等学校 2年生)
- しゃぼん玉吹く牧場の木陰から
- 山本 理貴 (愛知・名古屋高等学校 1年生)
- 口笛や長閑に廻る風見鶏
- 白濱 遼平 (神奈川・慶應義塾湘南藤沢高等部 3年生)
- 風邪の人昼のアニメに笑ひけり
- 安田 悠月 (福岡・西日本短期大学附属高等学校 2年生)
- 死球浴び拳突き上ぐ夏の空
- 土居 かえな (埼玉・星野高等学校 1年生)
- 歩道橋塗装の剥げと蛾の死骸
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