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- 【最優秀賞】
- 川畑 陽平 (福岡・西日本短期大学附属高等学校 3年生)
- あと一つどんな球でもつかみ取る仲間が必死に投げてきたから
- 最優秀賞の受賞コメントは近日公開!
- 【優秀賞】
- 森 翔吾 (岐阜県立関高等学校 2年生)
- 古文書の解読学び過去を知る歴史受け継ぐ地域探求
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受賞者コメント
自分の創作した短歌を優秀賞と評価していだだきありがとうございます。今後の創作活動の励みになりました。私が所属している地域研究部の仲間や顧問の先生、地域の方々など、共に取り組んでいる多くの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。
小学四年生から夏休みに短歌や俳句、川柳の創作をして、毎年、地元の市や県が開催する文芸祭コンクールに応募していました。高校生になり全国のコンクールに挑戦したいと思い、このコンクールに応募しました。高校に入学してすぐに部活で古文書解読セミナーを受講し、地域の歴史を深く学ぶことができ、更に地元の方々に協力していただき現地調査を行う度に発見や驚きがありました。この経験を短歌にしたいと創作に取り組み、地域探求で地元の歴史を受け継ぎ、次世代につなげていきたいという思いを込めました。
この作品は部活の活動で経験したことや伝えたいことを書き出し、たくさんの要素の中から絶対に伝えたい要素を絞りさまざまなパターンで創作しました。リズム感のある短歌ができたときはうれしかったです。今までは自分の経験や思いを残す為の短い日記を書くような記録感覚で創作していましたが、今回は古文書の解読や地域探求の大切さを読んでくれる方に伝えたいと読んでくれる方を意識した言葉選びを心がけました。何度も推敲を重ねることで納得ができる短歌ができて良かったです。
自分の思いや経験は時が経つと忘れていきます。限られた字数を自分が考えた言葉、選んだ言葉で残すことにより後になっても出来事の情景や心情を思い出すことができ、考えている時も少し時間が経ってからその文を読んだ時も心が豊かになれるのが魅力だと思います。
日々の生活の中やさまざまの体験の際に何か心が動かされたと感じたことを書き留める習慣を付けています。そのメモを夏休みに見ながら一年の出来事を振り返り創作することを夏休みの恒例にしています。
言葉には力があります。誰かに伝えたい。この気持ちを残しておきたい。と感じた時に自分の言葉でメモを残しておくことが創作活動の第一歩だと思います。そのメモからリズムの良い句ができたときは、すがすがしい気分になります。 - 廣瀨 天音 (茨城・茨城高等学校 3年生) ※廣の字は、广の中が黄の旧字体
- 平安の歌人名に負うむらさきに止まる蜻蛉としばし語りて
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受賞者コメント
高校最後だからと応募したコンテストで、このような素敵な賞を頂き驚きでいっぱいです。私の書き留めている短歌ノートに1年間ぽつんと住みついていたこの1首を評価して頂けたことは何よりも嬉しいことです。高校最後の年なので、今まで創作したものを応募してみたいと思いました。賞を頂いた1首は1年前、自分の将来や大学受験について考えていたころに作りかけていたものです。
家の庭に自然と生えていた植物の名前が紫式部と知り、休みの日に勉強の合間に庭に出ると蜻蛉が止まっていて、何となく蜻蛉に話しかけると蜻蛉はじっと私の話を聞いてくれて、時折目を動かしながら答えてくれているように感じたのを詠んだものです。
かの有名な女流作家紫式部も、もしかしたらこんなシチュエーションがあったのかも…と、爽やかな秋風が平安時代から現代へ流れてくるような1首にしたいと思いました。工夫したことは「むらさき」を漢字で書くと濃く強いイメージになってしまうので、優しいイメージの平仮名書きとしました。
苦労したことは作り始めた当初「名を持つ」と書いてみて、しっくりとこなかったので未完成のまま1年が過ぎてしまいました。古文単語帳で「名に負う」という言葉を知り「これだ!」と入れ替えてみると、まるでパズルの最後のピースがピタリとはまった時のように爽快でした。
中学2年のころに初めて短歌制作をしましたが、そのころの作品は現代の言葉が多いものでした。今回の1首は、「紫式部」がテーマとなっているため平安時代の雰囲気を出すために言葉選びをしてきました。たくさんの言葉の中から最もふさわしいと思う言葉を選び出す楽しさを知ることができました。
普段何気なく感じたことや季節に関する小さな発見、感動を自分だけの言葉で表現できる楽しさと言葉の響きや流れを自由自在に繋げていくことができる点が短歌の魅力だと感じます。普段の生活の中で気づいた言葉、感じたことをメモしておき作品作りへ繋げています。言葉の持つ響きや流れを大切にし、自分以外の読む人なりに解釈できるような1首も素敵だなと思っています。
難しい言葉や表現を使わなくても、自分の感じたことや気づいたことを表現することはできると思います。素晴らしい1首と作ろうというよりは、ちょっとした呟きみたいなものから始めると良いと思います。 - 【佳作】
- 佐藤 日和 (宮城・常盤木学園高等学校 2年生)
- 初夏の田は神様がした七並べ 端から端へ風はめくって
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受賞者コメント
自信作だったので、とても嬉しかったです。
夏休みの課題に指定されていたため、応募しました。祖母の家に行く途中の、均一に並んでいる一面の田んぼを見て思いつきました。
まっすぐな言葉になるように努めました。下の句に来る言葉に悩みましたが、七並べのカードゲーム要素を入れるためにめくるという動作を当てはめました。上の句を書いた時、初夏の爽やかさや神聖さを文字から味わえたのが楽しかったです。短歌よりも俳句や詩、エッセイなどを書く方が好きだったので、今回の創作で短歌の楽しさに気づけました。
誰にも見せなくても、自分が納得できるものが完成した時は胸の中で大勢の人がサンバを踊っている気分になれます。 - 春山 天 (山形県立致道館高等学校 3年生)
- 何もかも五つの星で決める世の夜空の星は幾千万も
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受賞者コメント
短歌のコンテストへの応募は初めてのことで、佳作まで頂けるとは予想外でした。大変光栄なことだと喜ぶばかりです。
国語の授業での取り組みで短歌を創作した際、志望校である國學院大學が主催するコンテストがあり応募することにしました。現代では「五つ星評価」が当たり前になっており、ネット社会の進展によって更に身近に。気になる商品、お店、映画などを調べると全て他人の評価の集合体である五つの星を必ず目にします。それに左右されて行動することも多いです。この世には数え切れないほど星が輝いているのに、たった五つの星を模した尺度で人は動きます。自分の心でたくさんの星を見れるようになりたいものです。
伝えたいことが決まっても、そこからが難しい。短歌のリズム感、言葉の響き、文字列として並んだ際の印象など全てがしっくりくるまで推敲したつもりです。しっくりきた、その時の静かなる感動が忘れられません。想ったことを1つの作品として仕上げるにあたり、無限の素材の中で必要なものを選ぶ力や様々な角度で細かな表現の違いを見極める力がついたと思います。
自分の感覚でしっくりくる、これが1番大切だと思います。マイペースでゆったりした環境で創る。しかしいつ閃きが訪れるか分からないので常にメモ帳は持っていた方がいいと思います。 - 大関 郁匠 (北海道登別青嶺高等学校 3年生)
- 気づいたらチラ見している僕がいる僕の気持ちは千本桜
- 岸本 華 (沖縄県立名護高等学校 3年生)
- 突然の大きな地響き母は言う「オスプレイだよ」慣れていいのか
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受賞者コメント
まさか受賞しているなんて思っていなくて驚きました。とても嬉しかったです。ありがとうございます。
国語の夏休みの宿題でした。家で短歌の内容について考えているとき、突然地響きがして食器棚が揺れたんです。私が何事かと母に尋ねると「オスプレイじゃない?」と返事しました。沖縄の上空ではオスプレイなどの航空機を見ることが日常になっています。でも、それでいいのかなとふと違和感を感じ短歌に込めました。
場面がより伝わるような言葉選びを工夫しました。伝えたいことを短歌の型にはめる表現を見つけるのに苦労しましたが、短歌をつくることは楽しめました。創作を通して、短歌づくりを楽しんでいる自分に気づきました。日常生活で感じたことや、ささいな瞬間をきりとり、たった31音で表現する短歌の魅力を体感することができました。
短歌は中学生から授業でつくることをしていたので、特に方法を学ぶことはしませんでしたが、素直に自分の考えたことを言葉にしてみました。私は、創作活動などが好きだと感じます。ですが、これまでコンテストなどに挑戦する機会は少なかったです。今回の受賞をきっかけにこれからいろいろなことに挑戦したいと思いました。興味のあることに挑戦することで自分の可能性を広げることができると思います。 - 森口 夕理香 (東京・渋谷教育学園渋谷高等学校 2年生)
- 涙見せぬことは強さかと問うようなニホンオオカミの剥製の義眼
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受賞者コメント
精神的に追い詰められていた中、ふと心に浮かんだ歌です。推敲する心の余裕もなく勢いのまま応募してしまい、受賞のお知らせをいただいたとき、その稚拙さを少し恥ずかしく思いました。しかし今振り返ってみると、字余りだらけの歌が当時の苦しさを投影しているようにも感じます。改めて、評価していただきありがとうございました。
人には言いにくい気持ちや日常を形に残せる点が創作活動の魅力だと思います。Twitter上で毎日配信される「お題」に答える形で短歌をつくり、半年ほど前から継続的に投稿しています。 - 【入選】
- 岡田 ひよ乃 (神奈川・横浜雙葉高等学校 3年生)
- 今は夏飛行機雲になりし祖父機長の昔に想いを馳せて
- 辻 美結 (千葉・市川高等学校 2年生)
- 我走る燃ゆる太陽背に抱え0.1秒縮めるために
- 荒殿 こころ (鹿児島・志學館高等部 3年生)
- おはようと君のあいさつそれだけでその日は常に2ミリ浮いてる
- 森 結菜 (福岡・九州産業大学付属九州産業高等学校 1年生)
- 手の平のばんそうこうも煌めくの努力の結晶私のジュエリー
- 李 𤋮征 (東京・東京朝鮮中高級学校 2年生)
- 無理だろと周りは君に言うけれど無理でも挑むそれが財産
- 井口 陽香 (神奈川・横浜隼人高等学校 1年生)
- 友達と話さず1人睨めっこ真の願いは短冊の裏
- 羽渕 陽菜乃 (名古屋市立名東高等学校 3年生)
- ゆっくりと監獄めいてく惑星で希望はきみのかたちをしている
- 栗田 夏希 (茨城県立水戸第二高等学校 2年生)
- 本の秋栞片手に大正へタイムマシンは僕には不要
- 齋藤 若颯 (兵庫県立篠山鳳鳴高等学校 3年生)
- 復興の報道のうらに独力でがれきを拾う老婦の背中
- 多田 太志 (兵庫県立伊丹高等学校 3年生)
- コツコツと働く母へカーネーション枯れても捨てぬ母の思いよ
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