優秀賞

すべての子どもに夢を

学校法人聖和女子学院中学校 3年 大浦 向日葵

 

14歳の大きな決心。「苦しんでいる子ども達を助けたい」「友達になりたい」私は勇気を出してインドへ行くことを決めた。なぜなら、インドはカースト制度やダウリー(結婚持参金)という慣習があり、日本人も犠牲になったレイプ事件が起きた国だったからだ。

街を歩くと、男の人ばかりがいて、ゴミが散乱し糞尿の悪臭がする。バラック小屋があちこちにあり、人々が道端に寝ていた。クラクションが鳴り響き、信号機もなく車は渋滞。同じ道をトゥクトゥクやリキシャ、牛も犬も人も通っている。「ここがインドか」と震えた。車の後部座席の窓に子ども達が手を口に入れるしぐさをして私に近づいてきた。日本との違いに驚き、悲しくなった。

私はクラスで集めた学用品9㎏を背負い、寝台列車でバラナシへ向かった。そして、ガンジス川を渡り、最も低階級の不可触民(人として扱われない存在)の子ども達が通う学校を訪れた。机も椅子もない教室で、幼い子ども達が5桁×5桁の計算をしていた。「さすがインド、数学に強い国だ。」と感心し、涙が溢れ出した。私は英語やヒンディ語を交えながら、象(ヒンドゥ教の神様ガネーシャ)の折り紙を教えた。子ども達の目は輝いていて、私に感動と元気を与えてくれた。

カースト制度は3000年も前から続く複雑なインド社会そのものだ。階級は死ぬまで変われず、不可触民の職業はゴミ拾いや排泄物処理と決められている。また、親の職業を受け継ぐ慣習が根付いているため、教育は必要ないと思われている。しかし、私が出会った子ども達は、近い将来必ずカースト制度はなくなると信じ、今学校に通える喜びの中で懸命に生きていた。子ども達の夢はエンジニアやIT関連の職業だった。それは、不可触民であってもITなどの新しい職業なら、カーストの職業差別から逃れることができるからだ。

現在、法的には禁止されているカースト制度だが、私は差別と偏見に満ちたカーストが一日でも早くなくなるように世界に発信していきたい。そして、不可触民の子ども達が階級に関係なく職業に就くことができる学校をつくりたい。また、日本はインドの社会や環境を活かしながら、ゴミや排泄物処理の技術協力をしてほしい。そうすれば彼らにとって辛い仕事ではなくなるだろう。

インドに行ったことで、私も世界を少しずつ変えることができる気がした。これからも「何ができるか」「力になりたい」という想いを大切にし、積極的にボランティアに参加していきたい。世界を変える鍵は思いやりや優しさだ。一人ひとりが世界の子ども達の現状を知れば、私のように誰だって今すぐ行動を起こしたくなると思う。だから、私はもっとインドの不可触民の子ども達のことを周りの友達に伝え、外国の文化や歴史を理解し、いつか私も国際協力の一員として働きたい。

ナズラナ、サチン達の夢が叶うように。

 

 

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