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【最優秀賞】
 
蓮沼 徳仁(東京・巣鴨高等学校1年生)
 鳥達よ祖父はもう来ないこの庭に最後の枇杷を共に食べよう
 
最優秀賞の受賞コメントは近日公開!
 
 
【優秀賞】 
 
多久 将太(福岡・西日本短期大学附属高等学校3年生)
 捕手として守り抜かねばならぬ夏痣を誇りに受け止めてきた
 

受賞者コメント

 このたびはこのような大きな賞をいただくことができ、自分でも驚いています。これまで一生懸命に取り組んできた野球について詠んだ短歌で入賞することができてたいへんうれしく思います。ありがとうございました。 
 授業や部活動で短歌や俳句の創作に取り組んでいたので、応募させていただきました。 
 日々のキャッチャートレーニングでの練習を自信にし、試合に挑む気持ちを作品に込めました。 キャッチャーとして一生懸命に練習してきたことを三十一文字でどう表現するか悩みました。また、読む人が情景を思い浮かべられるよう具体的に表現するように工夫しました。 
 短歌を創作していく中で言葉を体得できました。その体験によって少しずつ自分の視野が広がっていったように感じます。 
 俳句や短歌は字数などに制約があり、自分の表現したいことを言葉にするのは難しいと感じることもありますが、苦労して納得いく作品ができあがった時に達成感や喜びが感じられるところが魅力です。 
 日頃から心が動いたことや緊張した場面などをメモに取っています。私も創作を始めた最初の頃は語彙が乏しく苦労していましたが、辞書や歳時記で言葉を調べるようになってから言葉選びが楽しくなり、自分が表現したいことを表現できるようになりました。 

 
髙山 怜花(埼玉県立浦和第一女子高等学校2年生)
 手話使い、無邪気に笑う女の子この光景が平凡になれ
 

受賞者コメント

 優秀賞という賞を頂けるとは思っていなかったので大変驚きましたが、とても嬉しく思います。 夏休みの課題でこのコンテストに応募しましたが、この賞を頂けてこれからの創作活動に意欲が湧きました。 
 この短歌は夏休みに1人でデパートに行った時に、3人の女の子が手話で会話している様子を見て作りました。その女の子たちは手話で話すことにとても慣れており、手話を使うことをものともせずに楽しそうに会話をしていました。3人の仲睦まじい様子にうらやましい、と感じたほどです。その姿を見て、言葉でなくても自分達の気持ちを表現できることは素晴らしいと感じました。それがとても印象に残っていたので、短歌にしました。 
 その中で、自分の感じたことを素直に表現することを意識しました。自分の見たこと、感じたことをいつもとは違う言葉で表現することで自分の視点も変わるのだということを感じました。 
 創作にあたっては、国語の授業で月に1回短歌を作って提出するという課題があり、授業の中で先生から短歌を作る上でのアドバイスを頂きました。 
 先生が教えてくださったのですが、短歌は場面を動画として切り取るのではなく1枚の写真として切り取って言葉に表すことが大切です。また、自分の気持ちを素直に表現することも大事だと思います。 

 
 
【佳作】
 
三宅 珠貴(静岡・静岡雙葉高等学校2年生)
人間は悪を殺して満足するそれは正義と呼べるのだろうか
 
當間 未実(沖縄県立名護高等学校3年生)
ストレート想いを伝えた高二の夏試合も恋も空振り三振
  

受賞者コメント

 まさか自分の作品が全国の数人に選ばれるとは思ってなかったので驚きました!クラスのみんなが私以上に自分のことのように喜んでくれたので嬉しかったです! 
 応募のきっかけは、国語の授業での取り組みです! 
 作品を作成した時に野球の大会が行われていたので関連させてみました!なので作品は実話ではなくフィクションです(笑) 友達と一緒に考えながら楽しく作品を作成しました! 
佳作を取れるほどの才能が自分にあったのだと驚き、今後も様々な創作コンテストに参加していきたいです!  
 今回創作するにあたり、過去の作品を見ました!どれも面白くてすごいなと思いました! 
 創作活動をこれまでやったことがない人でも意外と才能があったりすると思うのでどんどんチャレンジしてほしいです!! 

 
石川 ゆい(宮城・常盤木学園高等学校1年生)
雨の中貴方は傘を差し出した気付いてくれた心の雨も
 

受賞者コメント

 予想外の受賞に驚きました。 応募のきっかけが学校の夏休みの宿題だったからです。 
 自分が体験したことなんですが、辛くて先が見えなく、誰も気付いてくれない。そんな時にある人が私の心に気付いてくれたことでこの短歌を思い付きました。あとは、雨の中で泣いてる人にも気付いて欲しいという思いも込めました。 
 創作にあたっては、簡単で誰にでもわかりやすい言葉で情景を想像できるように言葉を工夫しました。 
 学校の授業で学んだのですが、作品を通して、短歌を創ることの楽しさを得ました。 
 まずは伝えたい言葉を箇条書きに書いて、まとめてから創った方がいいと思います。 

 
弓削 千賀子(鹿児島・志學館高等部2年生)
滝の音は子らが巣立つも変わらずに響きとどろくふるさとの母
 

受賞者コメント

 全国的に有名なコンテストだったので応募しました。一生懸命考えた歌ではありましたが、まさか賞を頂けるとは思っていなかったので、驚きました。とても嬉しいです。 
 生まれた時から同じ町に住んでいて、家から歩いて行けるところに滝があり、その滝のことを考えて創作しました。小さい頃からその滝の近くによく行き、思い出のあるところです。また、百人一首が好きで、「滝の音は絶経て久しくなりぬれど名こそ流れてなほ聞こへけれ」という歌を意識して読みました。 
 地元の滝が私にとって、そして住んでいる人にとってどのようなものかを考えてつくりました。今は大人ですが、小さい時は滝の近くでよく遊んだという知り合いがおり、この街で育つ子どもたちを滝はずっとみてきたのではないかと感じて、滝をふるさとの母と表現しました。 また、滝のもつ歴史や、地元の人にいかに滝が愛されているかが伝わるように作りました。これまでは何となく見ていた滝でしたが、短歌の創作を通して、滝が人々の心に寄り添ってきたことを深く感じることができました。  
 短歌の創作は初めてで、造詣が深いわけでもなかったのですが、思いを込めることを意識してじっくりつくりました。滝と地元のつながりが31文字という少ない字数で伝わるように自分なりに考えてつくりました。また、元々好きだった百人一首の和歌を本で調べ直し、どういう歌が人の心を打つのか、どのような言葉を使えば滝の良さが伝わるのか考えました。 
 短歌の創作に興味がある人は、自分の気になったものをじっとみつめ、その魅力を引き出せるように丁寧に言葉を選んでつくると納得のいく歌ができると思います。 

 
平良 航暉(沖縄県立八重山高等学校2年生)
青に咲く雲の淡さが君みたいひとりで想う風はもう春
   

受賞者コメント

 うれし~~~~~ ありがとうございます! 
 国語で短歌を作ってみようという授業があり、先生からすごく褒められて、短歌のコンテストに応募してみない?と言われたのがきっかけで、何作か作って応募してみることにしました。 
 今回の作品では、自分が空の景色とか水色とピンクの組み合わせとかが好きなので、それを文字に映し出したいなと思って作りました。恋愛っぽい表現を絡めた方が儚い感じがしていいな~とか考えてます。具体的な表現よりかは、ふわふわとした抽象的な書き方のほうが想像が膨らむのでそっちの方が好きです。 
 短歌も含め、色んな創作作品って沢山の要素同士(短歌で言うと言葉とか)がそれぞれに相互作用していく「掛け算」だと思ってます。単語のひとつひとつが、漢字の一文字一文字が、互いにどういう和音を作って、どんな色になるのか...それを考えるのが難しくて、すごく楽しいです。
 水色:青、雲、淡、風
 桃色:咲、想、春
 こういう風に漢字だけでも一文字づつ色があるので、それらの配色を考えて作りました。この歌の最初と最後の一文字を合わせると「青春」になります。これ気付いてたらすごい!私はこういう遊び心とかを無意識に重視してるんだろうなと思います。いつも隙あらばこんなことしてます。 
 今回の作品は結構色彩の意識ができてたんじゃないかなと思います。他にも空気の感触とか気温とかも感じられるようなものになったので、そこの感覚が少し研ぎ澄まされたような気がしました。それと、ザ・青春みたいなテーマってあんまり好きじゃなくて(その人の特別を青春とかいう一言で括られそうで嫌だから)普段書いてなかったんですけど、自分らしさを残しつつやってみたら案外評価されててびっくりしました。とりあえずやってみるもんだなぁと学べました。 
 普段は短歌ではなくて、イラストを描いたり曲を作ったり作詞したりしています。そこでの経験が今回の作品でも生きてきたんだと思います。そうやって沢山作品を作ってみることで、他の人の作品を見たときに感じ取れることが増えたり、視野が広がって面白いものを見つけやすくなったりできるところも魅力なのかなと思います。あとは完成したときの達成感とか、褒められたときにニヤニヤしちゃう時間とかですね。こだわりとしては、中身のメッセージよりも言葉の組み合わせだったり表現だったりからどういう雰囲気を感じるかとか、どんな気持ちになるかを大事にしています。それと、完全な自分視点の作品は書かないようにしています。私は気分の浮き沈みが早い人なので、自分の今の感情をそのまま形にしようとしても良いものが書けません。なので「自分と似たような感性を持った想像上の人」の視点で書いています。でも完全にそっちに依存するわけでもなくて、自分の持ってる感覚や経験も作品に影響しています。全部が全部想像だったら説得力が無くなっちゃうからです。他にもこだわりは色々ありますが、一番大切なのは自分の気持ちにとことん素直になることだと思います。マイペースにやりたいときにやってます。 

 
 
【入選】
 
前川 菜々子(岐阜・多治見西高等学校1年生)
青空は地球の果てまで続いてる小麦の国に平和の青を
   

受賞者コメント

 短歌が好きなので、率直に嬉しかったです。 
 応募の理由は、中学生の時も短歌のコンテストに応募したので高校生もチャレンジしようと思ったからです 。
 ニュースで平和だったウクライナの綺麗な青空や豊かに実った小麦畑を見て思いつきました。ウクライナの人々の笑顔が一日でも早く戻るように短歌に願いを込めました。創作にあたり、ウクライナのことを色々と調べて、国旗の意味を知りました。また、平和の大切さ、尊さの有難みを痛感しました。
 創作活動をする中で、浮かんだ単語を沢山書いて、それがパズルのようにぴたっとはまった時が快感です。 
 思い浮かんだ言葉をノートにどんどん書いておき、創作しています。創作は、自然体が良いと思います。 

 
佐藤 柊也(宮城県仙台第三高等学校2年生)
亡き友を遣らずの雨が包む古都送り火はただ逆らいて燃ゆ
 

受賞者コメント

 正直入選しているという感覚はなかったが、表現技法(掛詞や擬人法など)をいくつか盛り込んだので、それが入選に繋がったと思いました。自信はそこまでありませんでしたが、このように評価していただき嬉しいです。 
 学校の授業で短歌を創作する授業があったので応募させていただきました。 
 テレビで京都の送り火の様子が流れていて、雨の中でも負けずに燃えている炎を見て書きたい内容が浮かんできました。自分の伝えたいことを相手に伝えるために語順や表現などを試行錯誤しました。創作していく中で掛詞を探すのが一番楽しかったです。また、活動を通して、自分の感性であったり創作技術を磨くことができました。 
 自分の考えたことを詩歌というリズムに乗せることで他の人に共感してもらったり、また生活して感じたことを短歌にすることで、印象に残り、一種の思い出になることが創作の魅力であると思います。 
 短歌に情報を詰め込みすぎないようにすることが個人的に創作のポイントだと思います。ルーティンはNHKの短歌や俳句の番組を見ることです。 
 短歌を作ることは楽しいので是非このコンテストに参加してみてください。 

 
轟木 琉惺(福岡・西日本短期大学附属高等学校3年生)
八回裏四点の差を追いかけて亡き母捧ぐホームラン打つ
   

受賞者コメント

 僕の短歌が入賞すると思っていなかつたので、素直に嬉しいです。天国の母にもこの短歌が届いていればいいなと思います。 
 今まで高校生活を送ってきて感じたことや思ったことなどを残したいと思ったのでこのコンテストに応募しました。
 これまでの約2年半、部活動で野球をしてきて嬉しいことや辛いことなどたくさんの経験をしました。特に春の県大会の決勝戦で8回に4点差を追いかけて打席に立ったときのことが深く印象に残っていて、今回短歌に詠みました。なんとしても優勝したいと思っていたので、とにかく塁に出ることだけを考えてのスイングをしたところ、それがホームランとなったときのことを作品にしました。 
 僕はあまり短歌を作ったことはなく、その時の情景や心境を31字で表すのがとても難しかったです。この作品を通して表現力が身についたと思います。また、人の作品を読む時に想像力を働かせてその歌の歌意を考えるようになりました。 今年初めて短歌の創作に部活動で取り組むことになり、何をどう詠めばわからない状況でしたので、先生から感動した瞬間をまず素直に表現するようアドバイスをもらいました。 
 最初は何を書いたらいいかわからずとても難しいと感じることがあると思いますが、自分が詠みたいことを素直に文字にあらわしたらいいと思います。頭の中だけで言葉を五・七・五・七・七とつむぐのではなく、ノートに思ったことなどをたくさん書き出し、それを繋いでいくと案外すぐできるのでオススメです。 

 
曺 永武(東京・東京朝鮮中高級学校2年生)
暗雲をかきわけその手で掴みとれ空の青さを知る者たちよ
   

受賞者コメント

 授業の一環で応募しました。まさか自分が受賞すると思ってもいなかったので嬉しさより衝撃の方が大きかったです。
 私は普段から青空をながめることが好きなのですが、思いついたのも例に漏れず空を眺めていた時でした。その日は曇り空だったのでいつもの青空が見れずがっかりしていた気持ちを歌にぶつけてみました。思ったことをそのまま文にしたのでとても楽しかったです。 
 自分が今何を思っているかという、自分の気持ちと向き合って創作したので、感受性が以前にもまして豊かになった気がします。 
 今回初めての創作にあたり、型にはめるより自分の感情を素直に表したほうが良いなと思い、歴代の受賞作品などは見ずに作りました。 
 自分の感情をことばにして文に書くだけでそれは創作活動だと言えると思いますし、その活動はとても楽しく奥が深いものです。是非その楽しさを味わってみてください。 

 
谷口 結子(岐阜県立吉城高等学校3年生)
車庫にブルーシートをハンモックにと巣の子燕に吊しやる祖父
 
中川 果音(石川県立松任高等学校3年生)
忘れるな夜に揺れた家の中親が私を守った姿
   

受賞者コメント

 まさか選んでいただけるとは思わず教員から入賞したというむねを聞き驚きました。私の書いた短歌を入選という形で賞をいただけたこと誠に光栄に思います。 
 国語の授業の一環として参加させて頂きました。 
 祖母の家へ言った時、震度五強の揺れに襲われ夜も揺れパニックになりました。しかし私の両親が身を呈して守ってくれたことが心の底から嬉しく安心したのでそれを書いてみようと思いました。
 案外書いてみればそこまで難しくなく、俳句と違い思いを描きやすく楽しかったです。今回の創作を通して、自分の思いの描き方や端的に伝えるにはどうすればいいのかがわかったと思います。ただ単に自分の思いを描きました。 
 私のように何気なく書いてみても入選するかもしれません!少しでもやってみたいと思ったならやってみた方が良いと思います! 

   
井阪 龍之助(三重県立松阪商業高等学校2年生)
グランドで戦いたかった最後の夏響く太鼓に思いをのせて
 
樫下 小春(神奈川県立光陵高等学校2年生)
このチョコが甘くなるのに必要な砂糖ぐらいにあなたが好きだ
   

受賞者コメント

 受賞して、単純に嬉しかったです。部活を通して短歌は日常的に作るようにしているので自分の努力が無駄ではなかったと思えました。 今回このコンテストに応募したのは、顧問の先生の紹介で、自分の実力を試したかったからです。 
 チョコははカカオからできていて、カカオは元々全然甘くなくて、むしろ苦いと言う話を聞いたことがあります。実際に、カカオ70%のチョコを食べた時に本当に苦くて、これがチョコだとは思えませんでした。だからこそ甘くなるには大量の砂糖が必要だと実感しました。それを恋愛に置き換えて君は私に興味がない=苦いカカオだけれども私が君が好きな分くらいの大量の砂糖を加えればきっと甘く、チョコになれるんじゃないかという意味を込めました。 
 「あなたが好きだ」の部分が物凄くストレートなのでそこでインパクトを出せるように最後に持ってくることを意識しました。意外と自分の気持ちをストレートに込めた方が伝わりやすく、比喩も良いけれども、使いすぎると何が言いたいのかわからない短歌になってしまうので比喩と事実(感情)のバランスを考えるのに苦労しました。感情をピッタリな比喩に落とし込めたのには満足しています。 
 ストレートに気持ちを表現するのは恥ずかしいけれども、やってしまえば意外とすっきりする。長々しく言うよりきっぱりと表現してしまった方が575に収まりやすいので短歌的にはメリハリのあるものになるとわかった。 
 私は性格的にはっきりした人間ではないので自分で自分の意思がわからなくなったり、迷走することがよくあります。ですが、創作することを通して改めて自分ってこう思ってたんだということに気付かされ、自分自身を見つめられる気がします。 
 私は学生で忙しいので学校の帰りの電車で1日のことを振り返りながら場合によっては日記的な感覚で短歌を作ることが多いです。良い表現を思いついた時はスマホのメモに溜めておくようにしています。 
 私も初めて短歌を作ったのは文芸部に入ってから流れでというような感じで物凄く短歌に興味があるわけではありませんでした。だからこそ、とりあえずやってみることが大切だと思います!(短歌は短いので始めるのも簡単だと思います!)短歌自体の良し悪しを気にして難しく考えてしまうこともあるかもしれませんが、まずは自分で納得のいくものを創作することに意味があると私は思います。 

 
仲本 拓桃(沖縄県立名護高等学校3年生)
オフの日も練習するよしのすけいつか打てるよ努力の一打
 
森本 信太(東京都立産業技術高等専門学校荒川キャンパス3年生)
たすきかけ街へ繰り出す若者を遠くで見守り汗をかく父
 
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