2024年4月に2つ同時に誕生する千葉工業大学の新学部「情報変革学部」と「未来変革学部」。それぞれの学部・学科に所属する先生に高校生記者が特別に取材した。今回登場するのは、WEB3.0やメタバースなどを研究している「未来変革学部 デジタル変革科学科」の髙木徹教授だ。
WEBの歴史どれだけ知っている?
デジタル変革科学科のメインコンテンツは、「WEB3.0(ウェブスリー)」。高校生の皆さんは、この言葉は聞いたことがありますか?
歴史を簡単に説明すると、インターネットができたときがWEB1.0。世界中がネットワークでつながりました。ただこの時は、サーバーと呼ばれるコンピュータ同士がつながって、そのサーバーからデータを受け取るという仕組みでした。
WEB2.0になると、それがクラウドになります。多くの高校生のスマートフォンはAndroidかiPhoneのどちらかだと思うんですが、それは両方ともクラウドです。GoogleやApple、META(フェイスブック)などの企業のサービスを、僕たちはクラウドを通じて使っています。今はほとんどの人がGoogleやAppleのアカウントを絶対持っていますよね。そのアカウントを持ってログインをした瞬間に、その人がどこにいるか、何をしているかが企業側にわかる仕組みになっています。
WEB2.0は、数少ない企業が、世界のほとんどのデータを持っているという状態です。逆に言うと、それらの企業に僕たちのデータとかデジタルの情報はコントロールされてしまっている状態なんです。もちろんそういった企業は、民主的でとても良い会社だと僕は思っています。でも、今後そういった企業が大きな赤字を抱えて50年後とかに無くなってしまうリスクや、データごと別の企業に買収されたりするリスクだってあるわけです。だから、WEB2.0の状態は「中央集権的」という風に表現します。
さて、ではWEB3.0がどういうことかというと、民主的でなおかつ非中央集権的です。WEB2.0の対極をなす感じなんです。それがどのようにして実現しているかというと、ブロックチェーンという仕組みです。これはその名の通り、本当にブロックが鎖みたいに繋がっています。そのブロックの中にプログラムのような感じで仕様・スペックが書かれているんです。この技術なら、中央の誰か(どこかの会社)がすべてのデータを持っているという状態ではなくなるんですね。今はそういう時代になってきています。
居心地の良い空間から外に出よう
ここからが高校生のみなさんに伝えたいことになります。WEB3.0は今はまだ難しい、わからないという人が多いと思います。だけど若い人は抵抗なく吸収していけます。新しいコンテンツや仕組みが出てきても、違和感なく、便利なものは使うんです。新しい音楽アプリだって、ゲームだって、インストールして遊びまくるじゃないですか。新しいコンテンツを抵抗なく入れるということは、とくにデジタルの世界では、ものすごく大きい武器なんです。僕らが知らない多くの情報を、すでに高校生の皆さんは持っているんですよ。それは勉強にすぐには結び付かないかもしれませんが、全く違う分野で絶対に役に立ちます。今回体験してもらったVRゴーグルだって同じです。
コンフォートゾーンという言葉の意味はわかりますか? 皆さんは自宅に帰ると自分の部屋があると思います。自分の部屋は自分の領域だから、すごく心地良いでしょう。だけど、そこから抜け出すことはとても大事です。
人は放っておくと、僕だって、コンフォートゾーンに戻ろうとするんです。でもそれでは全然成長しないんですよね。コンフォートゾーンを出ると、「恐れ」のゾーンというのが絶対にあります。新しいことをやる時は誰だって怖いものですよね。僕もそう思います。だけど、その恐れのゾーンを超えて、新たな領域に踏み出せれば、学習(ラーニング)ゾーンという学びのゾーンがあるんです。それまで知らなかったさまざまな新しい世界に入ると、さまざまなことを知り、学ぶことができるわけです。できるだけコンフォートゾーンに戻らないことを意識して、頑張ってラーニングゾーンで勉強を続けるんです。そうするときっと成長していけます。
今回の話で言うWEB3.0も同じです。初めて聞く言葉でしょうし、ブロックチェーンなんかは、難しそうだと思うかもしれないけども、実際にはいろんなことができる世界だし、とても民主性のあるものなんです。新しいことに恐れずに触れてみて、デジタルの世界をともに歩んでいきましょう。
提供:千葉工業大学
海結さん