短歌の部 受賞者インタビュー
最優秀賞 『鳥達よ祖父はもう来ないこの庭に最後の枇杷を共に食べよう』
東京・巣鴨高等学校 蓮沼 徳仁さん

―受賞した感想を教えてください
初めて頂いた大きな賞で、嬉しさよりも驚きの方が大きいです。未だに信じられませんが、先生方や友人達におめでとうと祝福され、やっと実感が湧いてきました。
―このコンテストに応募しようと思った理由を教えてください
現代文をご指導下さっている津久井先生に「これからの君達は、与えられた課題を指示通りに解答するだけでなく、各種コンクールやコンテストを通して自らの問題を発見し考察し、他人とは違う自分だけの回答や見解を見付けて欲しい」と、このコンテストをお勧め頂きました。学校では「読書手帳」というものがあり、本を読み感想を書いていますが、最初はどのように書けば良いのか分からず、稚拙な文章しか書けませんでした。それでも、津久井先生は隈無く目を通して感想を書いて下さり、良い所を探して褒めて下さいます。格好の良い文章でなくても良いのだ、自分の心のままに書けば良いのだと気付き、「書く」事が好きになりました。今回は自分の心の内を発信してみたいと考え、コンテストに応募しました。
―受賞作品の誕生秘話(こんな場面で思いついた など)や込めた思いを教えてください
昨年、祖父が他界しました。元気な頃は仕事やゴルフへと毎日出掛けていましたが、肺を患い、徐々に外出が困難になりました。そんな祖父の楽しみは庭を手入れをする事と鳥達の来訪でした。金柑や枇杷の庭木があり、鳥達が啄みに来ていました。それに加え、好物の果物を半分鳥達に分け与えるような祖父でした。祖父とは庭を前にして沢山話をしました。昔の事、現在の事、未来の事。しかし未来の時間は短く、「来年もまたこの枇杷を一緒に食べられるといいなあ」と笑いながら言った祖父の願いは叶いませんでした。僕一人きりで庭を眺めるようになった今、祖父の心を支えてくれた鳥達と気持ちを分かち合いたいと思い、この歌を詠みました。
―受賞作品の創作にあたって、工夫したこと、苦労したこと、楽しかったことをそれぞれ教えてください
長いようで短い三十一文字でした。自分の思いを表現するにはどの言葉が適切なのかを、辞書を片手に何度も書いて何度も消してを繰り返しました。歴史に名を刻む人々も、同じ様に試行錯誤を繰り返しながら「歌」を世に送り出していったのかもしれないと想像すると、彼らを身近に感じられる様な気持ちがします。
―受賞作品の創作を通して、得たことや成長したことがあれば教えてください
同じ表現をするにも様々な言い方があり漢字があり、日本語の繊細さ面白さ素晴らしさを知る事ができました。
―創作活動は日頃から行っていますか?
いいえ
―初めて創作するにあたって、どのように方法を学びましたか?
現代文と古文の授業で短歌の基本を学びました。
―創作活動に興味がある人、創作活動を始めようとしている人へアドバイスをお願いします
短歌は短い時間で創作できるので、気軽な気持ちで登下校中や休憩時間に詠んでみるのはいかがでしょうか。失敗や不正解はないのです。「みんなちがって、みんないい」のです。
★応募に関する情報は、応募概要ページでご確認ください。
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- ★審査員を務める 田中章義先生からの一言アドバイス