2014年12月7日、國學院大學渋谷キャンパスにおいて、第18回「全国高校生創作コンテスト」(國學院大學・高校生新聞社主催)の表彰式が開催された。応募総数は昨年を大きく上回る17,389点。見事、受賞を果たした生徒が晴れやかな顔で会場に集った。
表彰式冒頭、赤井益久学長は「皆さんがある物事、ある一瞬に感じ、考え、それを自分の言葉で表現してみようと思い立ったことが作品に結実した。こういった活動を継続してほしい」とあいさつ。受賞者に表彰状を手渡した。
続く講評では、各部門の審査員がそれぞれ受賞者を温かく激励した。
短篇小説の部
最優秀賞を受賞した橋本沙羅さん(千葉・木更津工業高等専門学校1年)は、ある出来事をきっかけに化学反応を起こした人間関係を描いた。「クラスメートと話していて、知らなかった一面を発見することがある。そんな面白さを小説にしました」
加納千晴さん(岐阜県立岐阜農林高校3年)は江戸時代を舞台にした『福面の飴売り』で優秀賞を受賞。「江戸時代の男は“粋と張り”があってカッコイイ。お気に入りのキャラクターを動かしているときが一番楽しいです」と話す。
現代詩の部
昨年、優秀賞だった山崎華子さん(神奈川県立麻生高校3年)。今年は『三行日記』と題した定型詩で最優秀賞を受賞した。山崎さんは詩を架空の人物の一人称で書くことが多い。「その人物に問いかけながら作る。作品が完成したあと、私自身が言いたかったことに気が付きます」
「アニメのキャラクターに対する“2次元を超えた愛”を詩にした」と照れるのは和久井航さん(広島・広島学院高校2年)。「技術的なことは考えず、好きなように書きました」
短歌の部
最優秀賞を受賞した竹本聖さん(茨城県立結城第二高校3年)が着眼したのは「1」という数字。「唯一の自分」というテーマを、「カギ括弧」や「なのだ」という表現を工夫し強調した。
高橋佐梨奈さん(埼玉県立浦和第一女子高校2年)は、夏休みの課題で作った短歌が入賞した。「5・7・5・7・7に言葉をあてはめればよいと思っていた。表彰式で先生が『31文字に思いを込める』と話すのを聞いて、改めて興味が湧いてきました」
俳句の部
中学1年の時に東日本大震災を経験した阿部仁実さん(宮城・常盤木学園高校2年)は、「仙台七夕祭り」の風景を詠んだ句で最優秀賞を受賞。「早く皆が震災前のような生活ができるよう祈りを込めました」
作田渉さん(青森県立七戸高校1年)は、マグロ船に乗せてもらった時の感動を思い出して句にした。「賞をもらって、自分は才能があるのかもしれないと思った。また挑戦したいです」と次回への意気込みを語った。
審査員による講評 【短編小説の部】 ●桜庭一樹氏(作家)…登場人物の変化というダイナミズムのある作品、理解しがたいけれど理解したいと思わせる魅力のある作品など、面白い作品が多くて驚かされた。プロの作家を目指す人には古典をたくさん読み、物語の基礎を身につけてほしい。 ●中村航氏(作家)…少し前に高校の文芸部を舞台にした小説を書いたこともあり、楽しく応募作を読んだ。それぞれ何かを表現しようとしていてグッときた。書くことは自分と向き合う行為。皆さんも小説を書くために自分と向き合い、成長したのではないだろうか。 【現代詩の部】 ●西岡光秋氏(詩人)…17、18歳くらいの頃から小説家になりたかったが、だいぶ長いこと人生をやってきて、今さら変えるわけにはいかない。これからも一生懸命詩人という名前を汚さないように生きていく。皆さんの大きな躍進を期待したい。 【短歌の部】 ●田中章義氏(歌人)…4500首以上の応募作から数週間かけて皆さんの作品を選んだ。大変だったが、出会えてよかったと思える31文字があった。入選作には人の体温が感じられる。最初に皆さんの作品に出会えた読者のひとりとして皆さんの将来に期待したい。 【俳句の部】 ●佐川広治氏(俳人)…受賞作を読み、俳句には未来があると思った。なかでも最優秀賞を受賞した阿部仁実さんの句には、まだ復興が終わっていない、晴れ晴れとしない気持ちで七夕祭りに行く様子と、未来への思いがよく出ていた。俳句にこそ本当のポエジーがあると訴えたい。 |
【全国高校生創作コンテストに関するお問合わせ先】
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コンテストの結果は國學院大學のHPからもご覧いただけます。http://www.kokugakuin.ac.jp/guide/cotest.html
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