2023年7月9日(日)、国内にある私立高等専門学校4校(神山まるごと高専・近畿大学工業高等専門学校・国際高等専門学校・サレジオ工業高等専門学校)が集まり、合同の「第2回私立高専合同説明会」を開催した。

 

5年一貫教育で実践的な専門知識を身につけられる

『高専』は実験や実習を通じて、実践的な専門知識を身につけることができる「5年1貫の高等教育機関」。ものづくりを支えてきた日本独自の教育システムだ。

国公私立合わせて全国に58校あり、約6万人の学生が学んでいる。

今回の合同進学説明会は、昨年に続く2回目の開催。国内にある私立高専4校がすべて集まり、個別ブースとプレゼンテーションにより各校の説明を行った。

当日は、小学生や中学生とその保護者らが100名以上参加。それぞれに特徴、魅力がある4校の説明を熱心に聞く様子が印象的だった。

 
 

 

それぞれが異なる魅力! 私立高専4校を紹介!

神山まるごと高専

神山まるごと高専は徳島県神山町に2023年4月に開校したばかり。起業家の育成を目指す全国でも珍しい学校で、学科は「デザイン・エンジニアリング学科」ただ一つ。情報工学を中心としたエンジニアリングと、デザイン分野における専門性を横断的に学べるのが特徴だ。

学習の機会を学校における授業だけではなく、課外活動や地域住民との交流、寮生活など幅広く捉えることで、学生が主体的に成長できる様々な機会を用意し、学生生活の中に数多の学習機会があるのも魅力の1つ。

「テクノロジー×デザイン×起業家精神」を教育の土台としながら、コミュニケーションやリーダーシップ、レジリエンスといった起業家精神を身につけ、どんな場所やどんな時代であっても、社会で活躍できる「人間力」を養う。

 

1学年40人と少人数で、全員が寮生活となる。説明では、寮の様子や一番の自慢だという食事が紹介された。株式会社ZOZO NEXT 取締役の大蔵峰樹氏が初代校長に就任していることでも話題だ。

 

近畿大学工業高等専門学校

1962年4月に学校法人近畿大学の併設校「熊野高等専門学校」として開校し、三重県名張市への移転を経て創立60周年を迎えた歴史ある学校。人格教育と実社会に役立つ教養と専門知識の育成に努め、想像力あふれる技術者の養成を目指している。

1年生では一般科目や工学基礎科目などの基礎を学び、3年生から「機械システム」「電気電子」「制御情報」「都市環境」の4つのコースから博士からの専門的な指導が受けられる。こうした実践的技術者教育を行う高等教育機関で、5年・7年の一貫教育システムをとっている。

卒業生の7割が就職しており、ほとんどがものづくりやITの大企業で技術者・研究者の道に進んでいる。残りの3割は大学へ3年次編入という形で進学しており、国立大学(豊橋技科大・長岡技科大・信州大・福井大・岐阜大・三重大・筑波大・名古屋大・名古屋工業大・他)や近畿大学・立命館大学等の私立大学への進学実績がある。

 

個性を育む学校活動としてクラブ活動が盛んであることもアピールされた。

 

国際高等専門学校

国際高等専門学校(ICT)は1年生から英語で数学や物理、化学、生物、コンピュータやAI、IoT、ロボット工学などのテクノロジーを学ぶ、グローバルイノベーターを目指す高専から大学院までの5+4の9年間一貫教育が特徴。

2018年度より国際理工学科に改組し、急速に変化する世界に対応できる幅広い分野の学習を行っている。1年・2年次では白山麓のキャンパスで全員が寮生活をする。3年次ではニュージーランドにある国立オタゴポリテクニクへ1年間留学し、企業でのインターンやプロジェクト活動など様々なプログラムも準備されており、英語力をさらに磨くことができる。4年・5年はより高度なEnglish STEMを学ぶことができ、金沢工業大学の学生と連携した研究やプロジェクト活動を行う。

進路で最も多いのが金沢工大3年次への編入で、その他にも英語力を生かして海外の著名大学へ留学したり、国公私立大学へ編入学する選択肢もある。就職率は毎年男女ともに100%を達成しており、システム会社や通信インフラなど、多くの上場大手企業から内定を得ている。

 

高専から大学の研究室へ入って共同研究を進めることや、外国の企業に長期有償インターシップで実際に働く体験ができることなど、興味深い話も伺うことができた。

 

サレジオ工業高等専門学校

東京にある国内唯一のカトリック系高専。1934年にカトリック修道会のひとつであるサレジオ会により東京育英工芸学校として現在の杉並区に創立され、その後幾度かの改称を経て、2005年にサレジオ高専として町田多摩境キャンパスに移転開校した。

現在の4つの学科(デザイン・電気工学・機械電子工学・情報工学)いずれかを5年間を通して基礎からしっかり学び、本科修了後は「専攻科」にて少数精鋭で大学3・4年に相当する更なる研究活動を行うことができるため、出口の強さが特徴。

専攻科進学の他にも、東京海洋大学大学院・電気通信大学・東京理科大学・武蔵野美術大学など国公私立大学への3年次編入や、技術系企業への就職など多様な進路を選べる。

 

卒業生の就職実績や、卒業生を介した多様な産学連携の事例も紹介された。