まとまった時間がある夏休みに取り組みたい高校生向けのコンテスト。文系向け、理系向け、アート系などさまざまな分野があるなかで、今回は「地域の伝承文化に学ぶ」コンテストについて徹底調査、その特徴に迫ってみた。

どんなコンテスト?

地元で古くから続いているお祭りや伝統行事、おじいちゃんおばあちゃんから教わった古い遊び。例えば、こうしたものを「伝承文化」として研究し、まとめるのがこのコンテストの概要。伝承文化を扱う高校生のコンテストでは国内随一だ。ふだん、身近すぎて当たり前のような風景が、研究に値する伝承文化かもしれない。さらに部門としては地域民話研究部門もあり、それぞれ個人でも団体でも応募できる。知的探究心や好奇心の強い人におすすめのコンテストだ。

どんな作品が評価される?

では、「伝承」コンテストで、どのような作品が受賞したのだろうか?2016年の表彰作品や審査員の講評を振り返ってみよう。

【地域文化研究部門(団体)】
 最優秀賞は、「吉野川下流域の高地蔵に迫る」をまとめた徳島・徳島文理高等学校の郷土研究部。川の多い徳島で、洪水によって何度も流されてしまうお地蔵さんを台座に乗せ
たのが「高地蔵」。研究部は高地蔵の大きさ・種類・年代・向きなどを調査し、地図にまとめ、分析・研究した。部活動で5年間続けてきた研究で、先輩の調査から学びながら計
277基の高地蔵の具体的なデータを収集した点や、年代別に整理し、高地蔵造立の背景を明らかにした点、その意味を深く読み取ろうとしている点などが評価された。

 
 

【地域民話研究部門(団体)】
 「民話から探る「山の世界」-下呂市萩原町の事例から-」を発表した岐阜県立益田清風高等学校地域研究が最優秀を受賞。約92%が森林という地元・下呂市の、山に関わる民
話について調査、研究した。実際に山を登り民話の舞台の場所を写真に収め、さらに関係者に事実確認をするなど、周到で手堅い準備と方法に基づいている点が、評価のポイント
だった。

 

表彰は?

受賞者は12月に國學院大学に招かれ、表彰式が行われる。全国から受賞者が一堂に集まる。もちろん、中村航氏(作家)や田中章義氏(歌人)などの審査員も出席。彼らと話すことができるのも貴重な体験だといえるだろう。(昨年の様子はこちらへ)

昨年の表彰式の様子

★第13回「地域の伝承文化に学ぶ」コンテスト 応募要項はコチラ