「創作活動って興味はあるけど、何をしたら良いかわからない…」そんな方に必見!創作活動のポイントを短歌の部・審査員の田中先生に伺いました。

審査のポイント

「~なり」「~けり」のような言葉を使って、無理に短歌のような短歌をつくろうとしなくても、自分らしい言葉・自分だからこその言葉で表現してほしいです。
 審査のポイントはたったひとつ――他の誰かでは描くことのできない、自分自身だからこその作品をつくることができているかどうか、ということ。部活動の歌でも恋の歌でも家族の歌でも将来の夢でもかまいません。フィクションでも、ノンフィクションでもいいです。誰かと似た表現ではなく、他の誰かでは決して描くことのできない、「自分だからこそのこだわりのある歌」を詠んでみてください。誰にも言えなかった気持ち、自分の心の中の主人公への“三十一文字の手紙”でもいいのではないでしょうか。

創作時のアドバイス

<初級編>
たとえば、色彩を表現するとき、誰もが使いがちな「赤」「黄色」「青」「緑」などではなく、「茜色」「若草色」「純白色」「漆黒色」「萌黄色」など、自分が好きなこだわりある色彩を見つけて表現するほうが、他の誰かと違う自分らしい歌(自分だけの歌)に近づきます。「和の伝統色」などを調べると昔の日本人は実にたくさんの色彩にこだわって表現してきたことが実感できると思います。五七五七七の三十一文字が、もし「お弁当箱」だとしたら、自分の好きな食材や色彩、味付けにもこだわった、【手作りの言葉】のお弁当を意識すると、個性のある歌が生まれるかもしれません。まずはぜひチャレンジを!

<上級編>
もし野球部員だとしたら、バッターボックスに立っている自分を詠むのか、守備位置の自分を詠むのか、グローブやバットなどの「用具」を主人公に詠むのかでも表現が異なります。自分の心のカメラが何を一番描こうとしているのかをよく見つめて、ぜひ【心の主人公】を描いてください。五七五七七の最初の五文字を何から始めるのか。映画でいうファーストシーンへのこだわり、最後の終わりかた(七七)へのこだわりなど、プロは最初から最後のたった一文字までこだわって表現します。大事に使うグローブについた傷はすべてが違っていて、作者だけの唯一無二の日記帳かもしれません。ぜひ心の主人公にスポットをあててください。それが他の誰かでは描くことのできないオリジナルなものを表現する秘訣です。

【 田中 章義・たなか あきよし 】
 
1970年静岡県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。大学一年生のとき第36回角川短歌賞を受賞。以後、「地球版・奥の細道」づくりをめざし世界を旅しながら、ルポルタージュ、紀行文、絵本など多数執筆。世界で詠んだ短歌が英訳され、2001年国連WAFUNIF親善大使に就任。JICA「21世紀のボランティア事業を考える会」検討委員、国連環境計画・地球環境平和財団「地球の森プロジェクト」推進委員長、ワールドユースピースサミット平和大使などを歴任。短歌集の他、絵本や人物ルポルタージュなどの著述もあり、松井秀喜選手や北島康介選手の社会貢献活動を紹介した単行本も執筆。BEGINなどミュージシャンの歌詞も手掛けている。

 

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