広いスペースを使ったミニゲームでは、果敢に攻め込むプレーが多く見られた

昨年度は全国高校サッカー選手権初出場、そしてユース年代の2部リーグ「プリンスリーグ関東」への昇格を果たした昌平(埼玉)サッカー部。狭いスペースで激しくボールを奪い合う練習で、ボールをキープする力、パスの精度、守備力を磨いている。
(文・写真 茂野聡士)

密集でボール奪い合う

ウオーミングアップから20分後、20〜30メートル四方のスペースに20人の選手が集まった。試合を行うピッチの10分の1以下という狭さ。10人ずつのチームに分かれると、ボールを奪い合う「ポゼッションゲーム」を始めた。

「どうボールを扱うのか考えておかないと、すぐに奪われるぞ!」
 藤島崇之監督の声に呼応するかのように、ボールを持った選手は限られたパスコースを探す。対するディフェンダーは、パスを防ごうと粘り強い守備を見せる。選手たちはこの密集した状況で、攻撃と守備の技術を磨く。

「攻撃時はパスを受ける位置、ボールを足元のどこでキープするかを意識します。守備ではボールを持つ選手に近寄ってプレッシャーをかけるよう厳しく言われます」と、キャプテンの高嶋俊碩(2年)は話す。

絶えず声掛け合う

練習中、選手たちは絶え間なく声を掛け合い続けていた。互いが何を考え、どのようなプレーをしようとしているのかを随時確認し合うためだ。松本泰志(2年)は「声を掛け合うことで、試合中も一つ一つ細かいところを修正できるんです」と話す。

同部が力を付け始めたのは、藤島監督が就任した8年前から。当時は、中学時代にサッカー部以外の部活に所属していた選手が多かった。そのため藤島監督は、ボールをつなぐ、奪うという「サッカーの基礎を大事にする」指導を行うようになり、その意識の高さが伝統になりつつある。

 
球際の粘り強さを意識
藤島崇之監督

 チームに身体能力の高い選手はいません。フィジカルの戦いになると不利なので、自分たちができる限りボールを保持する状況を目指しています。狭い局面では相手がすぐに寄ってくるため、素早く、正しく判断しなければボールを奪われます。練習で繰り返すことで、ボールを持つ重要性と球際の粘り強さを意識させています。

【TEAM DATA】
1979年創部。部員163人(3年生60人、2年生57人、1年生46人)。2007年、藤島監督が就任して以降、成績が急上昇。14年2月、県高校新人大会で初優勝。近年は卒業後も大学などで活躍する選手が増加。強豪ぞろいの埼玉県内で躍進を果たしている。文を入力してください