インターハイサッカー男子決勝は8月4日、長野・松本平広域公園総合球技場で行われ、初出場の三浦学苑が古豪・武南(埼玉)を2-1で下した。神奈川第二代表ながら、試合を重ねるごとに強さを増して成し遂げた日本一だ。 (文・写真 東憲吾)

勝てばどちらも初優勝という試合が動いたのは前半9分。戸邉凱也 (3年)=神奈川・豊田中出身=のセンタリングを、高城翔伍(3年)がダイレクトで決めて先制。小学校時代から同じチームでプレーをする、あうんの呼吸がもたらしたゴールだった。その後、同点に追いつかれたが、前半終了間際の35分に高城のパスを受けた若林大輝(3年)=神奈川・大津中出身=が放った強烈なミドルシュートがゴール左隅に決まり、そのまま逃げ切った。

インターハイ初出場で優勝した快挙に枝村隼人監督(27)は「まさかここまで来ることができるとは。試合を重ねるたびに成長していく選手を目の当たりにして、感無量です」と振り返った。

優勝を決めた後、キャプテン栗原奨吾(3年)=同・衣笠中出身=は、開口一番「ちょ~うれしいっす」と目を赤く腫らして喜びをあらわにした。

チームを「やんちゃ軍団」と評する栗原。遠征先の宿舎では子どものようにはしゃぎ、練習中はふざけすぎて監督の話に耳を傾けないこともしばしば。勝利を求める雰囲気とは言い難かったが、今大会に入ってからは違った。「試合を重ねるごとに、チームが一つにまとまっていきました」と振り返る。

そこには一つの気付きがあった。自分たちの力だけで、ここまで来られたのではない。過密スケジュールの合間を縫い、対戦相手の情報分析を行う監督やコーチがいたからだ。勝ち進むうちにその存在の大きさを知った選手たちの心が変わっていった。「昨日の夜は皆で集まり『おれたち三浦に入って本当に良かったよな、ずっとこのチームでサッカーしたいよ』なんて話を素直にできるまでになった」(栗原)

心の底から一つにまとまり、勝ち取った栄冠。次の目標はもちろん、冬の全国選手権への出場だ。「まずは神奈川を制し、そこから頂点を目指したい」と栗原は意気込む。

【TEAM DATA】
1979 年創部。部員数115 人。枝村監督はJリーガー枝村匠馬(セレッソ大阪)の実兄。部員の多くが神奈川出身で、半分以上は地元横須賀や三浦から通っている。08 年に人工芝のサッカー場が完成し、ナイター設備も新設した。

写真説明=初出場で初優勝。次は全国高校選手権制覇を目指す