千葉・習志野高校吹奏楽部の部員たち

千葉・習志野高校吹奏楽部は、各種大会で常に上位入賞を果たす強豪だ。211人の部員たちは、「習高サウンド」と呼ばれる伝統の音を守り続けている。毎年チケットが即日完売する定期演奏会が近づいた秋の日、部員たちが奏でる音の秘密について話を聞いた。(文・久保陽子、写真・幡原裕治)

公演は年50回以上

部の活動場所である音楽室に掲げられた行事予定表には、年末までびっしりと大会やコンサートの予定が書きこまれていた。部長の照木龍君(3年)は「週に1回は本番があるので、1年で50公演近くになります」と、忙しい日々について語る。部員が多いため、3つのグループに大きく分かれて活動している。

合唱で音を合わせる

練習で特徴的なのは、部全体で音をそろえる意識を共有するため、楽器演奏だけでなく、全員での合唱を欠かさないことだ。副部長兼打楽器パートリーダーの石原笑(えがお)さん(3年)は「歌は未経験の人も多く、全員で声をそろえるだけでも大変です。でも、みんなが一つになって音色を合わせようという気持ちを楽器演奏にも生かしています」と語る。

コンクールや公演と並行して、野球部の応援演奏も担う。顧問の石津谷治法(いしづやはるのり)先生は「スタンドで誠心誠意、魂を込めて演奏する生徒たちを見てもらえば、(観客らに)部活に対する部員のピュアな気持ちが伝わる」と部員の姿勢に太鼓判を押す。 

定期演奏会に向けて練習

手話取り入れ工夫

部員211人全員で参加できるのは、11月下旬の定期演奏会のみ。生徒たちは、全ての人に喜んでもらおうと、観客参加型の演目や手話を取り入れるなど、工夫を重ねる。

 木管リーダーの尾前(おざき)愛さん(3年)は「音楽に詳しくない方でも楽しんでいただけるような、会場全体が笑顔と感動あふれるステージをつくりたいです」と目指す姿を語った。

 「自分たちが心から音楽を楽しんでこそ、お客さまにも伝わる」という石津谷先生の言葉を体現するかのように、部員たちは、相手への気持ちを演奏に乗せることで「習高サウンド」を奏でている。

 
【TEAM DATA】
1961年創部。部員211人(男子26人、女子185人。3年生74人、2年生66人、1年生71人。金管94人、木管99人、打楽器18人)。2015年度は、全日本吹奏楽コンクール(高校の部)金賞、全日本マーチングコンテスト(高校以上の部)2年連続金賞。フルート奏者の三上麻結さんや竹山愛さんらを輩出。部訓は「悔いのない一日を」