高校生・中学生世代に起きがちな胃腸の悩みへの対処方法を、消化器内科医の山岸征嗣先生に相談した。(野口涼)

Q.緊張するとなぜかおなかが痛くなってしまいます。腹痛の原因はなんでしょうか?

A.胃腸と脳が密接に連絡しているからです。

腸がストレスに過敏に反応

胃腸と脳は「脳腸相関」といわれるほど、密接に連絡しています。緊張するとおなかが痛くなるのは、普通なら感じない程度のおなかの張りや痛みが脳に強く伝えられてしまってストレスになり、そのストレスに腸が過敏に反応して下痢になるという悪循環によるもの。こういった体質は過敏性腸症候群と呼ばれる病気に近く、人口の1割はいると言われています。

Q.対処法があったらおしえてください。

A.自分なりのリラックス法を見つけましょう。

筋弛緩(しかん)法でリラックスした状態を カフェイン、エナジードリンクは避けて

まずは生活リズムを整えること。過度の緊張の状態が続くと症状が悪化することが多いので、自分なりのリラックス法を見つけておくのもいいでしょう。緊張を解くのに有効といわれているのが筋弛緩(しかん)法です。肩をすぼめ、体にぐっと力を入れてから一気に脱力することで、意識的にリラックスした状態をつくることができます。

 

ソルビトールなどの人工甘味料や香辛料、カフェインも下痢の原因になります。注意したいのは、覚醒作用があるエナジードリンクです。夜遅くまで頑張ろうとする人がよく飲むことがあるでしょう。緊張すると腹痛になる体質の人が飲んでしまうと、下痢を起こしやすくなります。

困っているなら医療機関に相談を

ストレスを感じるとおなかを壊す体質の人は、まずは「自分はストレスに弱い」とある程度受け入れましょう。それを受け入れるだけでも違います。その上で自分に合った対処方法を見つけていきましょう。受験やテストに照準を合わせるなら、医療機関にもできることはあります。体質だからと諦めず、積極的に医療機関に相談してください。受験など、腹痛を起こしたくない大事な日には、前もってもらっておいたお腹の痛み止めや下痢止めを使う選択肢もあります。

山岸征嗣先生

 

やまぎし・せいじ 医療法人社団めぐみ会自由が丘メディカルプラザ消化器内科医師。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医。