新体操男子個人で初優勝した堀孝輔

新体操男子個人が8月7日、大阪市中央体育館であり、堀孝輔(三重・高田2年)が初優勝を飾った。

 番狂わせが起きた。昨年度の王者でジュニア時代から無敵だった安藤梨友(岐阜・済美2年)が大会序盤でミスを犯し優勝争いから脱落したのだ。同学年の安藤は、堀にとっては最大のライバルであり、新体操を始めた時からずっと目標にしてきた選手だ。5月の全日本ユースチャンピオンシップでは安藤に次ぐ2位に迫っていた。

 堀の演技順は、大会後半だった。「慎重に、ミスしないように少し意識しすぎて、最後の技を抜いてしまった」と言うが、持ち味である多彩な手具操作、美しい動きを十分に発揮。1種目目のスティックで9.375と今大会最高得点をマークし、続くリングでは華麗かつ力強い演技で9.300。全国大会での初優勝を勝ち取った。

 高田は、新体操の強豪校ではなく、練習環境に恵まれていない。試合と同じように演技を通す練習をするスペースは学校になく、バック転や宙返りなどのタンブリングを入れた演技の練習ができるのは、試合会場での公式練習だけという。

 そんな堀が高校チャンピオンになれたのは、集中力と想像力があればこそ。また、同じ東海地区に安藤という最強のライバルがいたことによって培われた向上心も、大きな原動力になったに違いない。初優勝の歓喜もそこそこに「自分は体力がないので、もっと体力をつけたい」。すぐに次の課題に向かっていた。

(文・椎名桂子、写真・清水綾子)

PROFILE
 ほり・こうすけ 1998年10月12日生まれ。三重県出身。三重・四日市南中卒。三重・四日市南中卒。三重県のジュニアクラブ・Leo RGに所属し、ジュニア時代から頭角を現す。2013年全日本ジュニア4位、14年インターハイ個人3位。