男子個人総合で優勝した田中啓介(清水綾子撮影)

■第32回全国高校新体操選抜大会・男子個人総合(3月21日・愛媛県総合運動公園体育館)

男子個人総合は、田中啓介(埼玉・埼玉栄2年)が総合得点69.200で優勝した。

終わってみれば4種目完全制覇の圧勝。しかし、田中にとっては初の全国大会での優勝だ。中学3年生のときに、全日本ジュニアで準優勝。同じジュニアクラブのチームメートが優勝し、とても悔しい思いをした田中は、「優勝は初なので、カップを持ち帰れるのがうれしい。自信につながる」と喜びを語った。

恩師の言葉で不安払しょく

昨年の全国高校総体(インターハイ)では4位。上位3人が全員3年生だったため、今回は優勝のチャンスがあると意気込んで臨んだ。たが、全国高校総体は2種目で競うが、全国高校選抜は4種目。練習では4種目をミスなくまとめることがなかなかできず不安はあったという。試合の直前にジュニア時代の恩師から電話で「落ち着いてやれば大丈夫」と言われ、その言葉に後押しされて本番に向かった。1種目目のスティックで投げが大きすぎてフロアから足が出てしまうミスがあったが、「それでかえって開き直って落ち着けた」と言う。

173センチの長身で長い手足を存分に生かした雄大さと洗練された動きの美しさが持ち味の選手で、情感に訴える演技にはジュニア時代から定評がある。高校生になってタンブリングの力強さも増し、実施力も上がってきた結果が今回の優勝だった。

「この試合は新人戦のようなものなので、ここがスタート。この後に続くユースや高校総体、全日本に向けて、よりよい演技ができるようにしていきたい」。今回の優勝で自信をつけた田中には、さらなる高い目標がはっきり見えてきたようだ。(椎名桂子)