この夏の全国高校総体(インターハイ)女子サッカーで初優勝を遂げた十文字(東京)。部員80人の大所帯の女子サッカー部でキャプテンを務めるのが三谷和華奈(3年)だ。サッカー人生で初めてとなるキャプテン就任に迷いが生まれる時期もあったが、チームメートを頼りながら運営するスタイルを確立してチームの先頭に立っている。(文・写真 茂野聡士)

自分の意見に自信がない

部員が多い中で一人でも違う方向を向いてしまうと、1試合1試合勝っていくことが難しいと実感していたという。「だからこそ試合に臨む選手、そしてメンバーから外れた選手も日本一に向けて準備していくことをみんなで意識したことが結果につながりました」

インターハイ優勝の要因を語る理路整然とした語り口は、キャプテンらしさにあふれていた。だが、実はこれまでのサッカー人生でキャプテンを務めたことはなく、初めてチームをまとめるという立場になった。実際、これまでの自分についてこう自己分析している。

「自分自身、どんどん全員を引っ張ったり指示をしたりするタイプではありませんでした。また自分の意見に自信がありませんでした」

三谷は周囲と協力する主将像を作り上げている

一人で抱え込まない、周りを頼る

今年3月にキャプテンに就任して以降、そんな自分自身が変わっていく。「(就任して)責任感が生まれましたし、その中で悩みながらもどんなキャプテンでいるべきかとすごく考えました」と、自分なりの理想を模索した。そこでたどり着いたのが、チームメートに頼ることだった。

「何から何までテキパキとできるタイプではないからこそ、自分がやるべき仕事をやりながら、周りを頼ってやっていい、一人で抱え込まなくていいと考えるようになりました」

チームの風通しを良くする

もちろん練習などで集中が切れた場面があればチームを引き締める言葉をかけたり、選手それぞれと対話する機会を持ったりすることも三谷の役目だ。ただ他の同級生と協力することで、チームの風通しを良くしている。

その雰囲気作りが実って夏の大会を制した。「選手権では他の高校も成長してくると思います」。「理解し合うこと」でチームと自身の成長を感じている。三谷は気を引き締めて最後の冬に向けての準備を進めている。

TEAMDATA

1996年創部。80人(3年生22人、2年生31人、1年生27人)。練習は平日だと放課後から約1時間半~2時間弱の中で強度の高いメニューを行っている。2016年度の全国高校女子サッカー選手権で優勝。