藤原奨太の攻守に渡る活躍が勝利を引き寄せた

第69回全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)の決勝が1月8日、東京体育館で行われた。男子は駿台学園(東京)が東亜学園(東京)を3-1で破って初優勝し、全国高校総体(インターハイ)、国体を合わせた3冠を達成した。(文・田中夕子 写真・幡原裕治)

東京対決、知り尽くした相手

春高史上初の東京勢同士の決勝。3冠達成を目指す駿台学園と、2010年以来7年ぶりの優勝を目指す東亜学園。数えきれないほどに対戦し、互いを知り尽くした両者の対決は歴史に残る好ゲームとなった。

駿台学園が、インターハイ予選で今季唯一黒星を喫した因縁の相手が東亜学園だ。駿台学園の坂下純也主将(3年)が「苦手意識もあった」と言うように、駿台学園のウイークポイントを着実に攻める東亜学園がエースの中道紘嵩(3年)の活躍で第1セットを先取する。

第2セットも5-10と東亜学園がリードしたが、駿台学園は村山豪(3年)と伊藤洸貴(2年)のポジションを入れ替え、調子の上がらない坂下を下げ、小出捺暉(2年)を投入。村山が「みんなが、どのポジションもできるのが今季のチームの強さ」と言うように、ガラリと変わったスタイルで新たな展開に持ち込んだ駿台学園が再びリズムを取り戻し、逆転の末に第2セットを奪取した。

セッター本沢凌斗が抜群の攻撃力を生かした

「自分が決めなきゃ」主将復活

駿台学園は、坂下を第3セットで再びコートに戻した。「周りから『お前が決めないと勝てない』と言われて、自分がやらなきゃダメだと思った」と言う坂下らが、本沢凌斗(3年)の高く伸びやかなトスを力強くたたき込み、次々得点を重ねる。

ジワジワと点差が開く中、東亜学園もリベロの大吉匠主将(3年)や中道が必死でボールをつなげ、駿台学園に追いすがるも、調子を取り戻した坂下、村山を止められない。藤原奨太(3年)や伊藤のサーブポイントで得点を加え、最後は村山が中道をブロックで止めて悲願の春高初制覇、そして今年度の3冠制覇を達成した。

試合終盤に気迫のこもったプ レーを見せた坂下純也主将

坂下は「東亜はいいライバルで、いい仲間。最後に勝てて本当によかった」と笑顔を見せた。一方、東亜学園の大吉匠主将(3年)は、悔し涙を流しながらも「最後まで駿台のライバルでいられて幸せだった」と、互いの健闘をたたえた。

(チームデータ)
1963年創部。部員30人(3年生11人、2年生7人、1年生12人)。15年のインターハイ準優勝、16年の春高3位。学校はバレーボールを「校技」と位置づけ、毎年クラス対抗バレーボール大会が行われている。

春高バレーで初優勝した駿台学園