昨年度の「書の甲子園」こと第27回国際高校生選抜書展(毎日新聞社ほか主催)で、2年連続の北関東地区優勝を飾った滑川総合高校書道部。部員たちは、顧問の石原裕子先生が専門とする「かな」の作品づくりや、校内外で披露する書道パフォーマンスに向けた練習に取り組んでいる。

滑川総合高校書道部

大作「万葉のうた」全国へ

入部後は、筆に慣れるため何度も円を描いたり、「いろはにほへと」のかな文字を書いたりして基礎的な技術の習得に努める。部長の大竹咲楽さん(3年)は「先輩方の書は針のような細い文字で、本当に筆で書いたのかと驚きました」と、入部当時を振り返る。

大竹さんは毎日の地道な練習で腕を磨き、2年生の時に書き上げた縦約60センチ×横約160センチの大作「万葉のうた」が、今年夏に佐賀県で開かれる全国高校総合文化祭書道部門に出品される。「万葉集」の和歌27首をしたため、中央部分には和歌を書いた扇面を散りばめた。行間や文字が書かれていない要白(余白)部分にも気を払うことで、作品の完成度を高めた。

大竹部長は夏の全国高校総合文化祭「万葉のうた」を出展する

作品に人間性が表れる

「かなの作品は、文字の『線』や『軸』が1ミリ違うだけで印象が変わる世界」(大竹さん)。文字の形やバランスが美しい作品を書くためには、繊細な心が必要だという。「ですので、書に向かう時だけ繊細な心持ちになるのではなく、日常生活においても、人への気遣い、心配りを忘れてはいけません」(石原先生)

ダイナミックな筆さばきが目を引く書道パフォーマンスにも力を入れる

部員たちは普段からあいさつやマナーを徹底、人への感謝の気持ちを感じながら学校生活を過ごしている。作品には書き手の人間性がはっきり表れるという。大竹さんは『一生懸命は楽しい』という石原先生の言葉を心に留める。「書道に限らず、何事にも一生懸命、そして楽しむ。すると、中学のころの私より自信が持てるようになり、内面の成長に合わせて作品がより良くなっていきました」

部活データ

創部年不明。部員9人(3年生2人、2年生7人)。活動日:毎日。書の甲子園北関東地区2年連続優勝。全国高校総合文化祭には3年連続で出場。